僕がまだ社会人3年目くらいだった頃のとある夕方。
職場の先輩がまっすぐ家に帰るか呑んでから帰るか迷っておられました。
迷った末に先輩は奥様にコール。
先輩「今日の晩ごはん何?」
奥様「野菜炒めだよ」
先輩「あ、今日呑んで帰るから晩ごはんいらんわ」
……。それからしばらく先輩は奥様に口も聞いてもらえなかったとか(笑)。
かほど、夕飯の食卓に肉があるかないかは人のテンションを左右するものなのでしょうかね。「夕飯に肉料理がゼロなんてありえない」なんて思う人もけっこういるのでは?
けど、ちょっと待ってください。
日本人が肉を食べるようになったのは明治時代からです。
当たり前のように夕飯に肉が登場するようになったのは第二次世界大戦後、食糧事情がよくなった昭和30年以降のことでしょう。
それまでの日本人は野菜中心の食事が当たり前で動物タンパク源と言えば魚でした。
何百年もかけて進化し続けてきた和食の歴史がたかだか65年の歴史しかない肉料理の文化に負けるのはなんか納得いかない。
ということで、今日はお肉がなくても十分豪華で楽しめる夕飯のアイデアを解説したいと思います。
肉がない日の技あり献立
ということで諸事情により冷蔵庫にお肉がない日の夕飯のアイデアをご紹介します。
肉料理の肉を野菜に置き換える
例えば酢豚。
豚肉をジャガイモに置き換えて「酢じゃが」という料理を作ったことがあります。
フライドポテトがごろごろ転がっている炒め物ですが酢豚のあの味付けだとまるで違和感がありませんでした。
そして、じゃがいもは腹持ちが良いので満腹感も半端ないです。
酢じゃがのレシピ
【材料】(4人分)
-調理時間:20分-
- じゃがいも(中サイズ):2~3個
- ありあわせの野菜:タケノコ、干し椎茸、ピーマン、玉ねぎ、にんじん、さやえんどうなど適宜
[下味パート]
- 濃口醤油:12g(小匙2)
- 酒:7g(大匙1/2)
- おろし生姜:ひとかけ分
[調味料パート]
- 干し椎茸の戻し汁+水:100g(100cc)
- 砂糖:20(大匙2強)
- 濃口醤油:36g(大匙2)
- 酢:20g(大匙1+小匙1)
- トマトケチャップ:10g(小匙2)
- 片栗粉:9g(大匙1)
- にんにく:ひとかけ(微塵切り)
【作り方】
- じゃがいもは皮を剥いて半分に切り更に櫛形に切ってスーパーのレジの外に置いているような透明ビニール袋に入れて[下味パート]を合わせ水風船のように口を括ります(少量の調味料で下味が付けられます)。干し椎茸を水で戻し、にんじんとさやえんどうは4分ほど茹でます。調味料パートのにんにく以外を合わせます。
- 1.のじゃがいもに片栗粉(分量外)をまぶして、180度の油で3分ほど揚げます。 ※中華鍋があれば、それで揚げると以降の手順がスムースになります。洗い物も減ります。
- 中華鍋かフライパンに油(分量外)を多めに敷いて(大匙1くらい)、みじん切りにしたにんにくを入れます。にんにくがきつね色になったら[具材パート]の野菜のうち、さやえんどうなど青みのもの以外を全部入れて2~3分炒めます。[調味料パート]を加え、とろみがつくまで煮ます。
- 2.のじゃがいもと青み野菜を加えて、とろみのついた調味料に絡ませてできあがり。
代用食材を使う
数年前、異世界食堂という深夜アニメがありました。
毎週土曜の日に異世界へと店の扉がつながってしまう不思議な洋食屋を舞台にしたファンタジー作品です。
ある時、エルフの娘が来店。この異世界のエルフは完全なヴィーガンで動物性のものは全く受け付けないとのこと。
「肉も魚も乳も卵も入ってない料理があるならそれを頂戴」
と言われて店の主人が出したのはこれ。
豆腐ステーキでした。
豆腐やこんにゃく、厚揚げ、薄揚げなどは肉の代用食としても活躍します。
おでんに入っているがんもどき(関西では飛竜頭(ひろうす)とも言います)は、雁もどきと書いて鶏肉に見立てた食べ物として考案されたものです。
最近セブンイレブンで売り出された大豆ミート(ソイミート)のお惣菜も肉の食感を意図した大豆の加工品ですね。
他にもインドネシアにはテンペと呼ばれる発酵食品がありますし、強力粉から作るグルテンミートも生姜焼きや唐揚げにして楽しめます。
グルテンミートは一度挑戦したことがあるのですが、あまりにも作る手順が面倒なので封印してしまったレシピではあります。
我こそはと思う方はチャレンジしてみてくださいな。
グルテンミートのレシピ
【材料】(8~9切れ分)
-調理時間:2日-
- 強力粉:500g
- 塩:9g
- 水:250g+アルファ(様子を見ながら少しずつ加えていく)
【作り方】
- 強力粉と塩を合わせてよく混ぜます。これに水250gを加えてこねます。まだ粉っぽさが残っていると思うので少しずつ水を加えて耳たぶくらいの硬さにします。
- 1.に塗れ布巾をかけて1時間寝かせます(グルテンを成長させるためです)。 ※これも人によっては一晩置くと書いていました。確かにその方がグルテンは成長します。
- 2.をボウルに入れ、たっぷりの水を加えてもむように洗います。でんぷん質が洗われて水が白く濁ります。水を何度も変えながら透明になるまでこの洗いの工程を繰り返します。あとにはゴムまりのように弾力を持ったグルテンが残ります。
- 3.を四角い器(タッパを使いました。倍の量で作るのであれば、パウンド型などが良いかも)に入れて冷蔵庫で一日放置します。
- 4.を手のひらサイズを目安に切って、沸騰したお湯に放り込み強火で5分、弱火で30分くらい茹でればできあがり。 ※茹でると倍くらいの大きさに膨らむので、手の平サイズくらいが扱い易そうです。
調味料で食べさせる
今日のレシピ投稿で書いたもやし炒め(レシピはこちら)などはその好例だと思うのですが実は肉の美味しさを楽しむのではなく調味料の味を楽しんでいるんじゃないかと思う料理があります。
焼肉のタレや蒲焼きのタレ(スーパーで蒲焼きを買うとおまけで付いてくるやつ)、マヨネーズ、ケチャップなどそれを使うと食材がなんであれ美味しいと感じちゃう万能調味料が世の中にはあります。
これをじゃがいも、茄子、れんこん、ごぼうなどなどボリューミーな野菜に使えば食べごたえのあるおかずに変身させることができるのです。
調理法で魅せる
例えば揚げ物などは揚げだねが何であるかに関わらず満足感の高い料理だと思います。
かき揚げや串カツ(肉はないけど^^;)にしてしまえば野菜でも普通に主菜になると思うのです。
料理を選ぶ
具材はなんでもありの料理というのもあります。
カレー(先週はほうれん草のカレーを作りました)、グラタン、皿うどんなんてどうでしょうか。ツナと野菜の巻き寿司なんてのもコンビニ的でありだと思いますよ。
肉がない日に備える
諸事情により冷蔵庫に肉がないという事態に備えて(どんな事態やねんw)、常備しておくと便利なアイテムもあります。
ひき肉、ハム、ウィンナー、ツナ缶、チーズなどがあれば料理のバリエーションはグンと広がります。
例えば麻婆豆腐なんてひき肉が30gも入っていれば成立してしまう料理なのですから。
まとめ
なんかキワモノ的なアイデアも交えてお肉がない日の晩御飯のアイデアを紹介してきましたがまとめは基本に戻りましょう。
和食の文化は野菜料理の文化です。僕らのご先祖様は数百年かけて野菜料理を磨き進化させてきました。
お肉がなくても豊かな食卓を囲むことはできるということを証明するにはそういった野菜料理を勉強するのが本道だと僕は思うのです。