2025年春クールにオンエアされたアニメ「中禅寺先生物怪講義録先生が謎を解いてしまうから。」は昭和20年代の高校を舞台にした日常の謎を目つきの悪い教諭が解くという筋立て。
ライトなミステリーで気軽に観れるのでけっこう楽しませてもらいました。
同作内のエピソードに「子供がじゃんけんに変なルールを持ち込もうとして困っている」という相談が持ち込まれる話がありました。
近所の子供たちがじゃんけんをする際に一人の子供が親指と人差し指を立てて残り3本の指を折って、「これはチョキでも、グーでも、パーでもあるからどの手にも勝てるんだ」と言い張ってきかないというのが相談事。
他の子たちも最初は「ずるい」とか「ちゃんとやってよ」と抗議していたのですが、その子が我を通そうとするのでギスギスしてきて、「あいつ抜きで遊ぼうぜ」みたいな雰囲気になって来ているらしい。
相談を持ちかけられた探偵役の中善寺先生は「なら、その子の言う通りその手はオールマイティというルールにすれば良い」とにべもなく答えます。
「いや、それではじゃんけんにならないでしょう」
と困惑する相談者に中善寺先生は
「但し、ルールをもうひとつ設けるのです。その手はオールマイティだが、他にもその手を出した者がいた場合は無条件に負けとするのです」──一発即死のリスクを冒してでも最強の手を出すか迷うジレンマを作ってやれば遊戯性は損なわれませんよ、と。
こうして、子供たちの間で新ルールのじゃんけんが流行りました。
なかなか巧い回答だなと感心したのですが、それより笑ってしまったのは、子供って時々、遊びをルールで縛るのを嫌がることがあるよなぁというあるあるネタの方でした。
例えばミニカーで遊んでいた子供がいきなり「ブーン」とか言いながら手で持ったミニカーを宙に浮かせてビルや山を飛び越えさせるなんてことをやったりします。
「自動車は空は飛べないんだよ。道路しか走れないんだ」
と言っても「そんなのつまんない」なんて言い返してきたりしますよね。
このミニカー少年の思考は感覚重視の非論理的思考、少年をたしなめている大人の思考は論理重視の非感覚的思考(理詰めの思考)と言えます。
料理のアレンジをする場合、前者の発想をすれば先のじゃんけんの例のように誰も見たことがない新しい料理が誕生するかもしれません。
けど、一発即死の可能性の方が……高い気がするなぁ。
やはり無難な夕食が食べたければフリーダムに料理をしたい気持ちは抑えて理詰めで考えることをおすすめします。
例えばこの料理の着想は雑炊という日本の伝統料理を起点にしています。
雑炊の構成要素はご飯、スープ、具材。
このうち、ご飯を別物にしたらもはや雑炊ではなくなるので据え置きにして、スープと具材をタイの伝統的な料理"トム・ヤム・クン"に置き換えたものです。
一見突飛に見えますが、実はすでに美味しいことが実証されている料理同士を組み合わせただけというけっこう理詰めなアレンジ。
衝撃的な新しさはないけれど、米とココナッツミルクが思った以上に相性が良いという新発見もあったりしてなかなか楽しいランチになりました。
【材料】(1人分)
-調理時間:20分-
- ご飯:1膳分
- むき海老:30g
- エリンギ:半本
- 生姜スライス:1枚
- にんにく:ひとかけ分
- サラダ油:4g(小さじ1)
- ココナッツミルク:100g(カップ1/2)
- 水:200g(カップ1)
- 粗挽きブラックペッパー:少々
[調味料パート]
- トムヤムペースト:10g(小さじ2)
- ナンプラー:6g(小さじ1)
- 鶏がらスープの素:小さじ1/2
【作り方】
- エリンギは5mm角の拍子木に切ります。生姜、にんにくは粗みじん切りにします。
- 小鍋にむき海老、エリンギ、水を加えて蓋をし、強火で1分温めます。蓋を取ってごく弱火にし、10分ゆっくりと煮込みます。 ※エリンギの旨味成分は水温70-80度で最も引き出しやすくなります。また、他の旨味成分を持つ食材と一緒に加えると、さらに効果的です。そのため、海老と一緒に70度付近まで強火で一気に温め、そこからごく弱火でじっくり旨味を引き出します。
- 2.と並行してフライパンに生姜、にんにく、サラダ油を合わせて中火にかけます。香りが立ち始めてにんにくが淡く色づき始めたら火を止めておきます。
- 2.の小鍋にココナッツミルク、[調味料パート]を加えて中火にかけひと煮立ちさせます。これにご飯を加えて弱火で3分煮ます。
- 4.に3.の生姜、にんにくを加えてざっくり混ぜ、器に移します。これに粗挽きブラックペッパーを振ればできあがり。
【一口メモ】
- アジアンテイストな雑炊です。酸っぱ辛くて旨し。ココナッツミルクの風味も案外、ライスに合っています。
- このレシピはむき海老を使っているのでトム・ヤム・クン雑炊(クンはタイ語で"海老"という意味)ですが、鶏肉を使ってトム・ヤム・ガイ雑炊にするのもありだと思います(ガイはタイ語で"鶏肉"を指す言葉です)。
- トムヤムペーストは大型スーパーや業務スーパー、KALDIなど輸入食品を扱うお店で売られています。200gくらい入った瓶入りでお値段は300円台。本格的なタイ料理がこれ一本で作れるので辛いアジアン料理がお好きなら常備しておいて損のない調味料です。ちなみに僕はKALDIで買ったナンファーのトムヤムペースト(227g)を愛用しています。