口に出すと余計にうんざりしそうですが……ここ数年は特に夏の暑さがとんでもなくて食欲も減退しがち。
アイスクリームだのかき氷だの冷たいものがひとしお恋しくなります。
で、ふと思ったのです。冷蔵庫がなかった時代の涼味ってどんなものだったんだろうって。
今日のブログはちょっととりとめがないかもだけどひんやりした気分を味わえる先人たちの夏の料理の楽しみ方に思いを馳せたいと思います。
冷蔵庫はないけど冷やす
冷蔵庫がなかった時代でも食べ物を冷やして食べるという文化はありました。
たとえば西瓜(すいか)。
深く掘った井戸などは日も差さないので井戸水はひんやりと冷たい。
そこに吊るして入れておくと西瓜はよく冷えておいしかったらしい(あ、さすがに実体験する時代に僕は生きていません^^;)。
あるいは甘酒。
ちょっと意外な気もしますが甘酒の季語は「夏」です。(冬に熱々を飲むイメージがありますけどね)
江戸時代、甘酒売りの声を聞くと「あ、夏が来たな」って気分になったとか。
甘酒売りが売り歩いていた甘酒は冷たくて美味しかったらしい。
なのでアイスやかき氷はありませんが、冷蔵庫はなくても案外、冷たい食べ物を楽しんでいたようです。
清涼感を得る
ハッカやミントテイストのガムを噛むと口の中がひんやりした気分になります。
いわゆる清涼感というやつですね。これを料理に応用するというのもありです。
使われる食材は生姜や茗荷。
生姜を仕込んだ野菜の煮物などは口に入れると一段口の中がひんやりしてちょっと夏が好きになるかも。
たとえば今夜の夕飯にこんな料理はいかがでしょう?
茄子の生姜煮
【材料】(2人分)
-調理時間:25分-
- 茄子:2本
- おろししょうが:ふたかけ分
- 鰹節:適宜
- サラダ油:12g(大匙1)
[調味料パート]
- だし汁:200g(1カップ)
- 濃口醤油:27g(大匙1.5)
- 味醂:12g(小匙2)
- 砂糖:3g(小匙1)
【作り方】
- 茄子はがくを取って縦半分に切り菜箸・茄子・菜箸と並べて斜めに細かく包丁目を入れます。これを横半分に切って10分水に浸しアクを抜きます。 ※菜箸で挟むように並べることで茄子の途中までしか包丁目が入らないようにし切り落としを防ぎます。
- 鍋にサラダ油を入れて中火にかけ温まってきたら水を切った茄子を入れて油を吸わせながら2分ほど炒めます。
- 2.に調味料パートを加えてひと煮立ちさせ、アルミホイルで落し蓋をして弱火で10分煮たら火を止めます。
- 3.を冷ましながら味を染みさせます。器に盛って鰹節を載せて頂きます。
辛味を味方にする
辛いものを食べると汗をかきます。
汗をかくと体が冷えます。これを応用して辛い料理を暑気払いに使うというのもありですね。
怖い話を聞くとぞっとして背筋に汗が伝って寒くなる──夏の名物、怪談や肝試しにも通じるものがありそう。
辛味をつける食材として和食の定番といえばやはりこれでしょう。
赤唐辛子。別名、鷹の爪です。これと夏野菜を合わせた煮物なんかはじわっと汗ばむ辛さです。
例えばこのブログで紹介している「茄子の炒め煮」などもじわっと絡みが口の中に広がるのでオススメの一品ですよ。
酸っぱいものが欲しくなる
酸味の強い料理もひんやりした気分になれますよね。
酸っぱい食べ物と言えば……
梅干し、もずく酢、酢飯、レモン、マヨネーズ。
あ、冷麺が食べたいな。
なかんずく日本が誇る酸っぱいものの代表選手は梅干しじゃないでしょうか。
せっかくなのでいかにも納涼っぽいそうめんのレシピをご紹介しましょう。
ねば×3 梅酢そうめん
【材料】(1人分)
-調理時間:10分-
- そうめん:1~2束
- 山芋:厚さ2cmくらいの輪切り
- 納豆:1パック
- オクラ:2本
- 茗荷:半本
- 刻み海苔:適宜
[梅酢ダレパート]
- だし汁:100cc(カツオ出汁)
- 薄口醤油:18g(大匙1)
- 三温糖:6g(小匙2)
- 酢(できれば黒酢):10g(小匙2)
- ねり梅:たっぷりめ:なければ梅干2~3個をほぐして加える
【作り方】
- 納豆は添付のタレやからしを加えて十分糸を引くくらいに練っておきます。オクラは小口切りにします。茗荷は斜め切りにします。[梅酢ダレパート]の材料を合わせておきます。
- 素麺を茹でて冷水で〆ます。これを器に盛ります。
- 山芋の皮を剥いてすりおろしながら2.にかけます。納豆、オクラ、茗荷をトッピングして[梅酢ダレパート]を回しがけます。刻み海苔を散らせばできあがり。
敢えて熱いものを摂る
暑い日に冷たいものを食べるとその瞬間は涼味が楽しめるのですが後からじわっとまた暑気が戻ってきます。
逆に熱いほうじ茶や熱い料理を食べるとすっと汗が引いたりします。暑い日には却って熱いものが暑気払いには良いのかもしれません。
僕の長年の夢で、未だに果たせていないのですが日が陰った夏の夕暮れ、縁台にこしかけて夕涼みをしながら熱燗を呑むというのがあります。
まだ、残っている地面の熱さえ味方につけて夏を満喫する──なんとも贅沢なひとときだと思うんですよね。
まとめ
冷蔵庫に頼らない料理を使った納涼についてまとめておきますね。
- 生姜や茗荷、口に入れるとすうすうする薬味を使って涼味を得る。
- 辛いものを食べて汗をかく
- 酸っぱいものを楽しむ
- 敢えて熱いものを摂る
案外まだまだ涼を楽しむ料理はありそうな気がします。