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献立の呪いを祓う

献立の呪いを祓う② ~料理のレパートリーの整理をしよう~

前回のまとめ

献立を作る苦手意識(=呪い)を祓う第1歩として料理のレパートリーを増やすコツやテクニックを紹介してきました。簡単にポイントをまとめておきますね。

  • このブログでは「あなたが作れる料理」ではなく「あなたが知っている料理」をあなたの料理のレパートリーと定義します。
  • 料理の分類を体系立てて理解しておくことは料理のレパートリーを増やす際にも、増やしたレパートリーを整理する際にもとても重要になります。
  • 検索エンジンを使ってレシピを検索する際には2つ以上のキーワードを使って検索すること。そして、検索オプションを賢く活用しましょう。
  • グルメサイトで検索できるお店のメニュー情報はプロが組み立てた献立のヒントのかたまり、特にコース料理や定食は複数の料理を組み合わせるアイデアがぎっしりと詰め込まれています。
  • 映画やアニメを観ていて美味しそうな料理が出てきたら一時停止。小説を読んでいて美味しそうな料理が出てきた時もちょっと読書をストップ。「(映画やアニメ、小説の)作品名」、「料理の特徴」、「再生時間(小説ならページ数)」をメモしておきましょう。

これらのテクニックを使ってレパートリーを増やす上で大事なことが2つあります。

  • 一度にたくさんかき集めようとしないこと。ぜったい疲れて挫折します。ちなみに僕は2000以上のレシピの手控えを持っていますがここまで貯め込むのに10年以上かかりました。
  • あ、美味しそうと思ったらメモはその場でとること。日常生活の中で情報をメモしておくことを習慣にしましょう。

それでは今日の本題に入っていきます。

はじめに

人間というのは1日およそ数億の要件を記憶するそうです。

「いやいや、わたしそんなに超人的な記憶力してないし」とあなたは言うかも知れません。

けどね、例えば自転車で道を走っていて「あ、前の信号が黄色に変わった」と気づいたとします。次の瞬間他のことに気を取られたとしても『信号が黄色に変わった』ということは覚えているでしょ。これが記憶するということです。

ただ、残念ながら数十%以上のことは覚えた端から忘れていくらしいのです。ま、信号を通過したらその信号が黄色だったかどうかっていつまでも覚えていても仕方がないのですが。

なので、覚えておきたいことがあれば忘れる前にメモを取ることこれが基本です。

今日のテーマはずばりこれ「料理のレパートリーを記録して整理しておく」です。せっかく手に入れた情報を忘れないように目に見える形で残すコツとテクニックについて書きます。

レパートリーを片付けておく引き出しを作ろう

さて、レパートリーの片付けをこれからやっていくわけですが、そもそも何かを整理するとはどういうことでしょう。それは、

モノを「決められた場所(=定位置)にしまっておいて、引き出したい時にどこにしまったかわかるようにしておく」ことです。

例えばあなたが服を3着しか持っていないとしたら1つの衣装ボックスに突っ込んでおいても目当ての服を探すのに苦労することはないでしょう。

けれど服を100着持っているのに1つの衣装ボックスに無造作に突っ込んでいたら「あの服はどこに行った」って必ずなっちゃいます。

そういう時は衣装ボックスを複数用意して「夏物の服はこの箱」、「冬物の服はこの箱」、「部屋着はこの箱」とわけてしまえば探し易さが断然違います。

料理のレパートリーも同じこと。PCやスマホの1つのフォルダにごちゃっとしまっていると遠からずお目当てのレシピを探すのに苦労する日がやってきます。

そうならないためにもまずはレパートリーをしまう引き出しを作りましょう。で、「和食はこの引き出し」、「洋食はこの引き出し」と言ったふうに役割を決めておきましょう。

けど、どんな役割の引き出しを作っておけば良いのかな? と、あなたは思うかもしれません。ここで冒頭の前回のまとめで僕が書いたことを思い出してください。

料理の分類を体系立てて理解しておくことは料理のレパートリーを増やす際にも、増やしたレパートリーを整理する際にもとても重要になります』

そうなのです。こういうときこそ、前回紹介した料理の体系を使って引き出しに役割を割り当てるのです。料理の体系についてちょっとおさらいをしておきましょう。

■(僕が使っている)料理のレパートリーの分類体系

[体系1]料理の系統(国籍)による分類

和食、洋食、中華料理などその料理が食べられている国や地域で分類する体系

[体系2]料理のジャンルによる分類

麺類、ご飯もの、スープ、サラダなどその料理のジャンルで分類する体系

[体系3]主食材による分類

肉料理、魚料理、野菜料理などその料理のジャンルで分類する体系

どの体系を使っても良いのですが例えば「茄子の煮浸し」を探しているのに洋食の引き出しを覗いたり、魚料理の引き出しを覗く人はいません。10人いれば10人、100人いれば100人。和食の引き出しや野菜料理の引き出しを覗くに決まっています。

料理の体系を活用することでその料理はどこにしまってあるはずということが直感的にわかるようになるのです。使う体系はどれか1つでも構いませんし2つ以上を組み合わせても構いません。

では、実際に僕が使っているレパートリーを例にしてレパートリーの引き出しの具体例を見ていきましょう。

レパートリーの引き出し事例

僕はレパートリーを2層構造の引き出しを使って整理しています。

整理を始めた時は「料理のジャンルによる分類」を使って第1層分の引き出しを作っていたのですが、ジャンルによってはだんだんとっちらかった衣装ボックス状態になってきたので第2層を継ぎ足して細分化を図りました。

第2層は更に「料理のジャンルによる分類」を使ったり「主食材による分類」を使って細分化を図っています。

では、実際にレパートリーの引き出しを見ていきましょう。

■第1層(使っている体系:料理のジャンルによる分類。おかず系は料理の系統による分類で細分化)

サラダ
スープ
ご飯もの
パスタ
ラーメン(アジアの麺類含む)
和麺
おかず系(和食)
おかず系(洋食)
おかず系(中華・点心)
おかず系(アジアン)
カレー
パン・ピッツァ
デザート
ソース・合わせ調味料
飲料
漬物

■第2層の例(使っている体系:料理のジャンルによる分類または主食材による分類)

◆ご飯ものの第2層

雑炊・粥・リゾット・ドリア
炊き込みご飯
炒飯
お茶漬け
その他ご飯もの

◆おかず系(和食)、おかず系(洋食)の第2層

魚の料理
貝類、甲殻類、イカ、タコ、海藻の料理
野菜の料理
茸の料理
根菜の料理
牛肉の料理
豚肉の料理
鶏肉の料理
羊肉の料理
加工肉料理(ソーセージ、ベーコン等)
その他の食材料理(納豆、豆腐、こんにゃく、卵、粉物等)

僕の感覚では1つのひきだしにしまうレパートリーは20~30個くらいまでが適切。50個を超えると探すのに苦労しだします。

あと、引き出しを作るコツとして「その他」というのを作っておきましょう。必ずと言って良いほど分類に悩む料理が出てきます。そういった時、感覚でどれかの引き出しに突っ込んじゃうとあとで探すのに苦労します。悩んだらとりあえずその他に入れておくのが無難だと思います。

あと、当たり前の話ですが、このレパートリーの引き出しは僕にとって使い勝手の良い形に調整したものであり、あなたにとっては必ずしも使い勝手が良いとは限りません。たとえばあなたが和食のレパートリーを3つしか持っていないのならこれほど細分化する意味はないですよね。

ですので、あなたに当てはまりそうと思う部分だけ参考にしてもらえれば良いと思います。

実際に引き出しを作ってみよう

アナログ的な手法でレパートリーの引き出しを作ろう

レパートリーを整理して片付けておくにはパソコンやスマホを使うほうが圧倒的に便利なのですが(検索機能が半端ないのと、物理的な場所を取りませんから)、もしあなたがパソコンもスマホも持っていなかったとしてもレパートリーをアナログ的に整理しておく方法はあります。

たとえば、ルーズリーフのようにページを増やせるタイプのノートを中仕切りで仕切ってレパートリーを追加していくというやり方があります。

中仕切りのタグに「和食」や「パスタ」と言ったふうに以降に続くページに書かれているレパートリーのジャンルを書いておけばOKです。

あるいは100均ショップでクリアファイルや封筒を買ってくるというのもありです。特にクリアファイルはカラフルなものが売られていますので「赤は肉料理」、「青は魚料理」といった風に決めておけば見た目一発で何の引き出しかわかります。

パソコン(Windows)を使ってレパートリーの引き出しを作ろう

僕はパソコンでレシピを整理しています。

使っているのはhtmlという言語でホームページに仕立ててJavaScriptでプルダウンメニューを作って検索できるようにしているのですがこれは少し専門的な知識が必要です(一応僕の本業はSEなんですよね^^)。

パソコンを使ってレパートリーを整理する一番簡単な方法は料理の体系に沿ってフォルダを作り、そのフォルダの下にメモ帳でメモをためていく方法だと思います。試しにちょっとフォルダを作ってみました。こんな感じです。

まず赤い四角で囲んだ部分を見てください。「3)ご飯もの」というフォルダの下に「1)雑炊・粥・リゾット・ドリア」や「2)炊き込みご飯」などの第2層のフォルダを作っています。

次に青い四角で囲んだ部分を見てください。「4)パスタ」、「5)ラーメン(アジアの麺類含む)」、「6)和麺」と麺類が続いています。麺類系のレパートリーはできれば固めたいところですがフォルダ名を「パスタ」、「ラーメン(アジアの麺類含む)」、「和麺」とすると並びが離れ離れになってしまいます。

エクスプローラは名前でソート(並び替え)するのでパとラと和では間に他のフォルダが入っちゃうんですね。そこで、フォルダ名の先頭に敢えて番号を付けて固まって表示されるようにしています。

ちょっとした工夫ですけど結構便利なテクニックです。

最後に右ペイン(エクスプローラの右側の枠)を見てください。和食で主食材が魚の料理名でテキストファイルが作られています。このテキストの中に必要な情報(後述)を書いておけばレパートリーの整理は完了。

あとで例えば「ぶりの照焼」が食べたいと思った時はこのフォルダを開きます。ファイル名でソート(並び替え)をすればファイルが数十個あってもすぐに見つけ出すことができます。

料理名でファイル名を付ける際のちょっとした注意点を1つ書いておきますね。

ファイル名の右端に来る単語は「かな」か「漢字」かを統一すること。例えば「アジの塩焼き.txt」というファイルと「鯵の押し寿司.txt」というファイルを作ってしまうとアジの料理を探す際に「かな」と「漢字」の両方を探さないといけなくなって手間が増えます。

フォルダの作成は1つ1つ、手で作っても構いませんが数が多いと手間です。なので以下に簡単なバッチを書いておきますね。

md 1)サラダ
md 2)スープ
md 3)ご飯もの
md 4)パスタ
md 5)ラーメン(アジアの麺類含む)
md 6)和麺
md 7)おかず系(和食)
md 8)おかず系(洋食)
md 9)おかず系(中華・点心)
md 10)おかず系(アジアン)
md 11)カレー
md 12)パン・ピッツァ
md 13)デザート
md 14)ソース・合わせ調味料
md 15)飲料
md 16)漬物

■フォルダ作成用バッチファイルの使い方

  1. エクスプローラでフォルダを作りたい場所に移動してそこにテキストファイルを1つ作ります。名前はなんでも構いませんがmkdir.txtにしましょうか。
  2. mkdir.txtを開いて上の四角に書いた文字列をコピー&ペーストします。
  3. 各行のmd の後の文字列をあなたが作りたいフォルダ名に修正します。(例:「1)サラダ」を「1)サンドイッチ」に修正等)
  4. 不要な行(あなたが作りたくないフォルダの行)を削除します。
  5. テキストファイルを保存して閉じます。
  6. テキストファイルのファイル名をmkdir.txtからmkdir.batに直します。(拡張子を変更すると、ファイルが使えなくなる可能性があります。変更しますか? というポップアップが出ますが「はい」を選んでください)
  7. ファイル名を修正したmkdir.batをダブルクリックしたらフォルダが一括作成できちゃいます。不要になったmkdir.batは削除しておきましょう。

スマホ(iPhone)を使ってレパートリーの引き出しを作ろう

スマホでのレパートリーの引き出しの作り方もパソコンの場合と基本的に同じです。

メモを階層構造で管理するアプリは多数出ていますのでGoogleなどで検索してダウンロードしてみてください。

ここで、有名どころのアプリをご紹介しても良いのですが、スマホのアプリは浮沈が激しくて唐突になくなったりすることがあるので控えておきます。すぐに情報が古くなっちゃうんですよね。

レパートリーメモの具体例

最後にレパートリーをメモにまとめる際にどんな情報を控えるべきかについて具体例を挙げてご紹介します。

メモの内容はそのレパートリーをどうやって手に入れたかによって異なってきます。ただ、どれも1~2分でメモできる情報ばかりです。情報を手に入れたその場で忘れないうちにメモすることがポイントです

1.検索エンジンから情報を手に入れた場合

■メモの具体例(その1)

  • 料理名
  • サイトのURL

基本的にこれだけでOK。ただし、ネットのサイトはいつ消滅するかわかりません。絶対になくしたくない情報であればそこに書かれたレシピはざっと控えておいたほうが良いかも。

2.外食したお店で情報を手に入れた場合

■メモの具体例(その2)

    • 店の名前
    • 料理の名前
    • 料理の写真
    • 料金
    • 使われている食材
    • 味の特徴

検索エンジンと違ってレシピが手に入ったわけではないので「使われている食材」はできるだけメモしておきましょう。あと、せっかく実際に食べたのですから「料理の写真」、「料金」、「味の特徴」も遺しておきたいところ。

味の特徴といっても別にテレビで見かけるようなグルメレポ風でなくても構いません。例えば「めっちゃ辛い」とか「不思議なスパイスの匂いがした」なんてのでもOK。不思議なものでその文言を見た途端、すうっと頭の中に料理の味が思い浮かぶこともあるのです。

3.グルメサイトで情報を手に入れた場合

■メモの具体例(その3)

  • 店の名前
  • 情報を見つけたグルメサイトのURL
  • 料理の名前
  • 料金
  • 気になったレビュー

自分が外食した場合と違うのはそのサイトに投稿されている「写真」は原則としてコピーしないこと。昨今、著作権に関するルールがいろいろ議論されていて法律も紆余曲折状態。写真をコピーした行為が先々で違法になる可能性だってあるような気が僕はしています。

あと「気になったレビュー」ですが、自分が直接そのお店で食べたわけではないので他の人のレビューは要チェックです。ただしこちらもまるごとコピーするのではなく要点を簡単にメモするだけにしておくことをおすすめします。

4.映画、アニメ、小説などで情報を手に入れた場合

■メモの具体例(その4)

  • (映画、アニメ、小説の)作品名
  • 料理の特徴
  • 映画、アニメなら開始から何分のシーンか。小説ならページ数

基本的にこの3つの情報さえあればいつでも再現できます。そしてネットの情報と違ってこれらの作品は唐突に消えてなくなることはないので安心です。

あと、作品によってはその料理を調理する描写が含まれているものもあります。その場合は使われている「食材」、「調理手順」などをできるだけ控えておきましょう。

ただし、その情報は鵜呑みにしないこと。観客を惹き付ける演出として現実の調理手順や調理法とは異なった描写がされている場合もあります。それは実際にキッチンに立って試しみないとわからない話ですね。

まとめ

  • 人間は忘れっぽい動物です。せっかく手に入れたレパートリーはすぐその場で「記録して整理しておく」ことが大切です。
  • 整理するとはモノを「決められた場所(=定位置)にしまっておいて、引き出したい時にどこにしまったかわかるようにしておく」ことです。
  • 料理の体系を活用することで客観的に見てその料理はどこにしまってあるはずということが直感的にわかるようになります。
  • 料理のレパートリーをしまっておく引き出しは工夫次第でアナログ的にもパソコンでもスマホでも作ることができます。
  • パソコンやスマホに引き出しを作る場合はフォルダの機能を活用して階層的に作りましょう。その際、フォルダ名やファイル名にちょっと工夫をこらすと名前でソート(並べ替え)した時に見易い並びにすることができます。
  • メモすべき情報はそのレパートリーをどうやって手に入れたかによって異なってきます。ただ、どれも1~2分でメモできる情報ばかり。情報を手に入れたらその場で忘れないうちにメモしましょう(大切なことなので2度書きました^^)

以上、今回のブログのまとめでした。

これであなたは

  • ひとりで頑張らなくてもレパートリーを増やす方法を知りました。
  • 手に入れたレパートリーを忘れないように、そしてほしい時にすぐに引っ張り出せるように整理する方法を知りました。

最初はほそぼそとした情報で構いません。レパートリーを増やして整理するというアクションを日常生活に組み込みさえすればあなたが思いつける料理はあっという間に増えます。

1ヶ月後、半年後、1年後。引き出しにしまってあるレパートリーはあなたが献立を組む際の強力な味方にきっとなってくれます。

さて、次回はいよいよ献立の呪いを祓う最終章。実践編です。1週間分の献立を一気にまとめて組んでみましょう。

ちょっとヒントを差し上げるとあなたに劇場のオーナーになっていただきます(今は「なんのこっちゃ」と思うでしょうけど^^;)。ではお楽しみに。

【次回予告】

献立の呪いを祓う③ ~実際に献立を組んでみよう~」 を投稿します。お楽しみに。

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