鶏肉はとても身近な獣肉の食材です。
一週間の献立で牛肉が一度も登場しないことはあっても鶏肉が一度も登場しないのは珍しいのでは?
安くて、料理の種類が豊富で、美味しい。
夕飯の食卓で「えーお肉がない」なんて文句をいう家族を黙らせるにはかっこうのアイテムですね。
けど、料理してみたら身がパサパサでイマイチだった──なんて経験はありませんか。
「ま、ブロイラーだししょうがないね」
なんて諦めるのはまだ早い。同じ品種の鶏だって鮮度によって味は雲泥の差があります。
今日は毎日の食卓に欠かせない鶏肉の目利きについて解説します。
目次
美味しい鶏肉の選び方
美味しい鶏肉の条件
品種が同じなら鶏肉が美味しいかどうかは鮮度で決まります。
どんなお肉でも解体した直後よりしばらく時間を置いて寝かせた方が美味しくなります。
これは肉のタンパク質が分解されてアミノ酸になることでお肉の持つ旨味成分が増えるからでこの工程を「熟成(エージング)」と言います。
エージングに適した期間は肉の種類によって異なり牛肉なら10~21日、豚肉なら4~6日、鶏肉なら1日と言われます(潰して8~12時間後くらいが一番アミノ酸が多くなるという記事も見たことがあります)。
つまり、鶏肉の場合、店で買う→家に持って帰る→冷蔵庫に入れる→夕方調理するという流れを考えた場合、潰して間もない新鮮なものが美味しいのです。
鶏肉はどこで買うべきか
けっしてスーパーをディスるわけではありませんが餅は餅屋と言います。
もしも生活圏に腕の良い精肉店、できれば鶏肉専門のお店があれば鶏肉はそこで買うのが安心です。
腕の良い肉屋は目が肥えていますから店に並んでいる肉は目利き済み。
しかも肉が一番美味しいタイミングのものが並べてあります。これならわざわざ客が目利きをする必要もありません。はい、このブログはここでおしまい(をい)。
では、そういった店をどうやって見つけるのか?
イマドキはネットに情報が溢れているので口コミ情報を検索するのもひとつの手でしょう。
けど、アナログな情報も侮れませんよ。
関西にいた頃、僕は仲良くなった焼き鳥屋のご主人にこっそりオススメの鶏肉店を教えてもらいました。
評判の良い個人経営の焼き鳥やの主人も目利きのプロ。教えてもらった店の鶏肉は確かに美味しかったです。
鶏肉はいつ買うべきか
鶏肉の熟成期間が短いことを考えると鶏肉はその日の朝に潰したばかりの朝挽きものが美味しいです。
まさか、お店で鶏を飼っていてそこで潰す……なんてことはありませんので、朝挽きの鶏は運ぶ時間を勘案すると午後から店に並ぶのが一般的。
逆に言うと朝イチで売られている鶏肉はまず間違いなく前日以前のものになります。
ですので、都合が許せば鶏肉を買うのは午後がオススメ。
できれば、お店の人と仲良くなって午後の何時くらいに朝挽きの鶏が入ってくるか情報を仕入れておけば完璧です。
美味しい鶏肉を見分けるポイント
とはいえ生活圏に腕の良い肉屋がなければ鶏肉を一般的なスーパーマーケットなどで買うことになりますので自分で目利きをする必要があります。
いくつか見るべきポイントを解説しますね。
パックを傾けてみる
まずは鶏肉のパックをちょっと傾けてみましょう。
その際、赤い液体が流れ落ちて隅にたまるものは避けたほうが良いです。
この赤い液体はドリップと言って鶏肉から流れ出た水分です。
鶏肉は非常に水分の多い食材ですがドリップが出ているということは水分が抜けて身がパサパサになっているのです。
これは牛肉や豚肉にも同じことが言えます。お肉を買うときはパックをちょっと傾けて赤い液が流れ落ちないか確かめてください。
鳥肌の立っている肉は旨い
もも肉や胸肉で最初に見るべきは皮。
毛穴が大きく盛り上がっていわゆる鳥肌が立っている状態で細かいひだが入っているのものは鮮度が良いです。
鶏の身で見るべきポイント
鶏の身は肉厚できれいなピンク色をしていてつやがあり、多少かたいくらいの弾力があるものが新鮮です。
鶏の部位ごとの目利き
ちょっと細かい話になりますが、鶏の部位ごとに見るべきポイントも書いておきますね。
もも肉
ふっくらと身に厚みがあって押すとちょっと硬いくらいの弾力がるものがオススメ(って、店で肉を押すわけにはいかないのですが^^;)
鮮度が落ちるとハリがなくなって全体的にだらっとした感じになります。
胸肉
色とつやを見ます。綺麗なピンク色で光沢があるものを選びましょう。
ささみ
色が濁っていなくて透明感のあるものがオススメ。
手羽先
ポイントはもも肉と同じです。
鮮度の良い手羽先はふっくらと身に厚さがあります。
鮮度が落ちると身にハリがなくなって、全体的にぺったりと薄くなります。
レバー
お肉をちょっと店の照明で照らしてください。鏡のように光を反射するくらいのものが新鮮です。
そういったレバーはきれいな紅色をしていて光沢があります。
レバーは傷みが早い鶏肉の中でも一番早く傷みやすい部位です。買ったらできるだけその日のうちに食べましょう。
鶏肉の保存法
せっかく目利きして買って帰っても鶏肉の鮮度はあっという間に落ちていきます。
ですので本当はその日のうちに、できれば買って帰ってすぐに調理して夕飯に出すのが鮮度の良い鶏料理を食べるコツなのです。
とはいえ献立の都合で次の日以降に食べることだってありますよね。
そういう場合は冷蔵庫で保存することになりますがちょっとしたコツがあります。
まず、パックのまましまわないこと空気に触れさせないのがポイントです。
鶏肉をパックから出したらこんな感じでひと手間かけてください。
- キッチンペーパーで水気をしっかりと拭き取る
- ひとつまみの塩と少量の酒をまぶす
- ラップで包んで更にジップロックに入れる。ジップロックの口を閉じるときは端にストローを刺して中の空気を吸い取る(簡易真空パックになります)。
- 冷蔵庫のチルドで保存
このやり方には別のメリットがあって酒と塩で既に下味が付いているのでレシピに書かれた下味の工程を省くことができます。
使いかけの鶏肉も同じ要領でしまいましょう。特にキッチンペーパーで表面の水気を拭き取る工程が重要です。
冷凍した鶏肉の調理法
鶏肉はできるだけ早くに食べるにこしたことはないのですがジャンボパックを買ってしまって大量にある場合は小分けにしてラップで包んで冷凍保存すれば1ヶ月程度はもちます。
冷凍の鶏肉の解凍で注意すべきことは冷蔵庫に入れてゆっくり解凍しないこと。
ドリップが出て水気と旨味が抜けてしまいます。冷凍した鶏肉は流水で表面の氷を洗い落としてそのまま一気に調理してください。
手早く火を通して水気や旨味の流出を防ぐのがコツです。
まとめ
鶏肉はごく身近な美味しいお肉。ちょっとしたコツでより美味しく食べることができます。
それでは良いチキンライフを。