今や死語となってしまった感がありますが、僕が子供だった昭和40年台頃には「舶来」という言葉が活きておりました。
呼んで字の通り船舶で運ばれて輸入されてきたもの、つまり外国(=欧米)で作られたモノといったほどの意味でした。
で、舶来品といえば言外に「高価な」、「上等な」といった形容詞がくっついているのがお約束。
あの頃は「所詮、国産品。欧米のものにはかなわない」と自らを卑下するような風潮があったのです。
その発想はモノだけにとどまらず、例えばスポーツの世界でも「所詮、日本でトップ選手なだけ、大リーグでは通用しない」みたいな風潮がありましたね。
いやいや、王や長嶋クラスなら当時の大リーグでもエース選手になったと思うのですが。
更に文化や風習でも和物は「地味」、「暗い」という印象があり、欧米のものは「明るい」、「華やか」と思われがちでした。
んで、クリスマスなどのイベントに日本人は憧れたのです。
当時、身近な柑橘系といえば温州みかんでしたが、これも例外ではなく、なんとなくオレンジなんかに比べて「安物」、「野暮ったい」みたいに思われてました。
ま、冬の間中、こたつの上のかごにてんこ盛りにされてればありがたみも薄れるというものですが。
もし、今日の料理なんかが当時の食卓に上ったら「何か、めでたいことでもあったの?」と家族に聞かれそう。
オレンジの果汁をふんだんに使った洋風の煮物なんて贅沢で華やかな「おごちそう」以外の何物でもありませんでしたから。
【材料】(2?3人分)
-調理時間:10分-
- 鶏もも肉:1枚(300gくらい)
- レタス:数枚
- サラダ油:少々
[煮汁パート]
- オレンジジュース(果汁100%):100g(0.5カップ)
- 鷹の爪:半本
- おろしにんにく:ひとかけ分
- 濃口醤油:18g(大匙1)
- 味醂:18g(大匙1)
【作り方】
- 鶏肉は大きめの一口大に切ります。レタスは食べ易い大きさにちぎります。鷹の爪はキッチンバサミで小口切りにします。にんにくはすりおろしておきます。
- フライパンにサラダ油と鶏肉を皮を下にして入れ中火にかけて焼き色がつくまで焼きます(1分くらい)。ひっくり返して同じように焼いて火を止めます。フライパンを斜めにして脂を寄せ集めキッチンペーパーでしっかり拭きます。 ※この工程で脂をしっかりとっておかないと脂っぽい料理になっちゃいます。
- 2.に[煮汁パート]を加えて蓋をし、時々鶏肉をひっくり返しながら中火で6分ほど煮込みます。
- 蓋を取って更に煮詰めて照りを付ければできあがり。レタスを敷いたお皿に盛り付けて供します。
【一口メモ】
- オレンジの香りが華やかでいつもの照り焼きがぐっとご馳走っぽくなります。ちょっとしたホームパーティーの一品としてもお薦め。
- 冷めると煮汁は煮凝りになりますので、そのままお弁当箱に詰めるのもあり。ランチタイムにはに凝ったソース付きのご馳走料理が楽しめます。
- 鶏以外に玉ねぎやもやしなど野菜類を一緒に煮てもOK。ボリュームと栄養価が上がります。
- レタス以外に赤や黄色のパプリカのみじん切りを散らすと見た目がぐっと華やかになります。