野菜炒めは今でこそありふれた夕飯のおかずですが案外、歴史は浅くて家庭に浸透したのは太平洋戦争後、高度成長期の1950年代から60年代だそうです。
ま、調理法を考えれば分かる話ですが、それ以前は野菜炒めに限らず一般家庭で炒め物を作るには2つ足りないものがあったのです。
ひとつは高火力を安定供給できるコンロ。
かまどに薪をくべる調理法は煮炊きには向いていても炒めるという調理法には向きませんでした。
第一、一般家庭には鍋はあってもフライパンは普及していなかったのです。
そしてもうひとつは油。
炒め物には欠かせないアイテムですが戦前は高かったそう。
高度成長期に安価な植物油が売られるようになって初めて炒め物という調理法が普及したと言えます。
炒めものの味付けといえば洋食の世界なら塩一択な気がしますが、日本の場合は多彩な調味料が選択できました。
塩炒め、醤油炒め、味噌炒め。
ほぼラーメンの味と同じ種類の調味料が手軽に使えたのでそれぞれの味付けが浸透していきました。
やがて、COOK-DOのように炒め物専門の合わせ調味料が登場し、鶏ガラスープの素やオイスターソースなどそれまでは一般家庭になかった中華調味料が普及するに至って炒めものの味付けは百花繚乱状態になりました。
味だけではなく香りの進化もめざましく使う油をごま油にしてみたり、バターにしてみたり、おろしにんにくを加えてみたり……日本人ってホント料理の研究には貪欲ですよね。
この料理などもそんな炒め物の進化系のひとつ21世紀ならではの調味料と風味をぜひ堪能くださいな。
【材料】(1人分)
-調理時間:15分-
- 鶏もも肉:150g
- キャベツ:数枚
- 揚げ油:適宜
[下味パート]
- おろしにんにく:ひとかけ分
- 塩:ひとつまみ
- 片栗粉:9g(大匙1)
[調味料パート]
- 鶏ガラスープの素:小匙1
- 粗挽きブラックペッパー:少々
【作り方】
- 揚げ油を160度に温めます。これに大きいままのキャベツの葉を投入して30秒素揚げして引き上げます。粗熱が取れたらざく切りにします。
- 1.をやっている間に鶏肉を食べ易い大きさに切って[下味パート]をまぶしておきます。
- フライパンにサラダ油を入れて中火にかけ鶏肉を皮を下にして入れて焼き色が付くまで焼きます。鶏肉をひっくり返して同様に焼き色が付いたらキャベツを加えて蓋をし、3分蒸し焼きにします。
- 3.の蓋を取って[調味料パート、を加えて和えるようにさっと炒めればできあがり。お皿に盛ってお好みでブラックペッパーを振って戴きます。
【一口メモ】
- シンプルな塩味なのでかえって飽きが来ずもりもり食べられます。普通の塩と違って鶏ガラスープの素は出汁が利いていますので旨味がしっかりしていますよ。
- 調理のポイントはキャベツを素揚げにしてから炒めること。中国料理の油通しという技法で野菜の青臭さが抜け色鮮でしゃっきりとした食感が楽しめます。野菜全般の炒め物の下ごしらえに使える技法ですので覚えておきましょう。
- 具材は他にも人参、きくらげ、白ネギなどを加えるとにぎやかな皿になりますよ。