子供の頃、夏になると3時のおやつに蜜豆などの涼味を利かせた冷菓がでることがありました。
冷菓の楽しみの一つは入っている果物。それがみかん缶なんかだと「しょぼっ」などと生意気なことを考えていた覚えがあります(をいをい)。
これが、桃缶だとかなりハイテンション。「おお、今日はリッチじゃん」なんて思ったものです。
あ、一つ注釈を加えると僕が小さかった昭和40年台にはおひとりさま用の蜜豆パックなんてものは売られていなくて、母が蜜や寒天から自作していたのです(ホント、ありがとうございました)。
子供心に果物缶にもヒエラルキーはある気がして桃缶はかなり上位に位置していました。その理由の一つは桃が浸かっているあのトロンとしたシロップが美味しかったからな気がします。
ずっと後に料理をするようになってあれはコンポートと呼ばれる果実を煮込む料理なのだと知りました。加えて使ってある桃はまだ熟れていない硬いものを使うのだということも知りました(熟した桃を使うとぐずぐずになってしまうのだ)。
コンポートは果物だけでなくこの料理のように野菜にも応用が利きます。
そして、野菜のコンポートは普段は見ることがないその野菜の別の顔を見せてくれるのですよ。
【材料】(2人分)
-調理時間:15分-
- 茄子:1本
- 水:100cc(0.5カップ)
- 砂糖:9g(大匙1)
- はちみつ:11g(大匙1/2)
- レモン果汁:15g(大匙1)
【作り方】
- 茄子はヘタを取り、ピーラーで皮を剥いて1cm幅の輪切りにします。更にこれを半月切りにします。
- 小鍋に全ての材料を合わせてひと煮立ちさせ、弱火で10分煮込めばできあがり。粗熱を取ったら冷蔵庫で冷やしてから戴きましょう。
【一口メモ】
- 何もいわずにこの料理を出したらきっとこう聞かれます。「これなんの果物?」。レモンの風味が利いた甘やかな風味に騙されてとても茄子だとは思えない一品に化けます。
- あれば、千切りにした大葉を飾ると見た目も涼し気です。
- りんごのコンポートでよくやる手法ですが、シナモンやナツメグなど好みのスパイスを少量加えても楽しいですよ。
- 同じ要領で人参やセロリなどの野菜でも作れます。蕪のコンポートなんかも面白いんじゃないかな。