「隣の芝生は青く見える」
なんて諺があります。

地方に住んでいる人が東京暮らしに憧れ、東京に住んでいる人が田舎でのんびりスローライフを楽しみたいなんて夢想するのは分かり易い例ですよね。
あるいはイマドキはそうでもないと思いますがかつては結婚すればバラ色の人生が開けると独り身の人は思い既婚者は独身に戻って自由を謳歌したいなんて考えたりしたものです。

フランスの哲学者ミシェル・ド・モンテーニュはこんなことを言っています。
「結婚は鳥かごに似ている。外にいるものは必死で中に入ろうとし、中にいるものは必死で外に出ようとする」
言い得て妙なだなぁw

料理の世界で言うと昭和の高度成長期に家庭料理の洋食化が一気に進んだ原動力のひとつはこの「隣の芝生は青く見える」という心理だったんじゃないかなと僕は思っています。
洋画やアメリカのホームドラマに出て来る料理はどれも美味しそうで何よりオシャレ。
それに比べて毎日食べているおかずは地味でなんかパッとしない

──そんな想いが高じて「ちょっと挑戦してみようか」と思ったお母さんたちが多かったんじゃないかなぁ。
かくいう僕にも「隣の芝生は青く見える」的な料理があります。
それは──お雑煮。

僕の実家は両親もそのまた両親も四国でお正月に食べるお雑煮は白味噌仕立てのつゆに餡入りの餅と決まっていました。
子供の頃から食べつけているものですし、これはこれで美味しいので別に不満はなかったのですが東京を舞台にしたテレビドラマなどに出て来る透明なつゆに焼餅が浸かったお雑煮がなんとも美味しそうでオシャレっぽく見えて端的な話……
「あのお雑煮を食べてみたい!」
とずっと思っておりました。
けどね、よくよく考えてみたら『憧れのお雑煮を食べる』という野望(?)は「上京して東京暮らしを始める」だとか「誰か良い人を見つけて結婚生活を始める」なんて野望に比べたら全然ハードルが低いのです。

「食べたけりゃ自分で作って食べれば良いじゃん」
と自分で自分の背中を押して過日、生まれて初めて関東風のお雑煮作りに挑戦してみました。
【材料】(1人分)
-調理時間:20分-
- 切り餅(角餅):2切れ
- 鶏もも肉:30g
- (あれば)蒲鉾:2切れ
- 野菜類:椎茸、大根、ほうれん草、人参など
- ポン酢醤油:3g
[つゆパート]
- かつお出汁:200g(1カップ)
- 薄口醤油:6g(小匙1)なければ同量の濃口醤油でもOK
- 塩:1g(小匙1/6)
【作り方】
- お餅はオーブントースターでこんがり焼きます。大根、人参は5mm厚の短冊切りにし沸騰した湯(分量外)で5分下茹でしておきます。ほうれん草はざく切りにして軸の部分を3分、葉の部分を1分下茹でしておきます。鶏肉は一口大に切ります。
- [つゆパート]を小鍋に合わせてひと煮立ちさせます。これに鶏肉と野菜類を加えて5分煮ます。火を止めてポン酢?油を加えさっと混ぜます。
- 椀にお餅を入れ2.を具材ごと注いで盛り付けを整えます。蒲鉾を添えるように盛り付ければできあがり。
【一口メモ】
- すっきりした味わいのつゆに香ばしいお餅がよく合います。鶏肉、蒲鉾を筆頭に具沢山なのも嬉しいところ。
- 本式には柚子を半分に切って絞って柚子の皮も飾ったりするのですが柚子はけっこう高いので柚子果汁を使ったポン酢醤油で代用しています。香りが飛ばないように火を止めてから加えてください。
- 主役はお餅でそれ以外の具材はあり合わせでOK。お好みで白身魚の切り身などを加えても美味しいですよ。

