おかずに名前が付くようになったのはいつごろからなのでしょう。
ふと、そんなことを思いました。
いや、もちろん僕の子供の頃だってハンバーグだの餃子だの肉じゃがだのちゃんとした名前を持つおかずはいくらもありましたよ。
けど、それと同じくらい……いや、もっとたくさん名前のないおかずがあった気がするのです。
「今晩は何?」と訊ねたら「野菜の煮物」とか「焼き魚」とか「炊き合わせ」とか答えるお母さんはたくさんおりました。
せいぜい、その発展形で「ほうれん草と大根の煮物」、「サンマの塩焼き」、「お高野と里芋の炊いたん」など食材名が付くくらい。
それがいつのまにやらあ「チンジャオロースよ」とか「クラムチャウダーだよ」とか固有名詞が付かないとなんか手抜き──みたく思われるようになっちゃった気がします。
これじゃ、おかあさんも肩が凝っちゃいますよね。
普段着のおかずって本来はお店で出されるような気張ったものではなく冷蔵庫のあり合わせで作る名もなきもので十分なんじゃないでしょうか。
材料はありあわせでも、名前なんか付いていなくても、美味しければそれで良いじゃん。
このお菜を食べながらしみじみそんなことを思いました。
【材料】(1人分)
-調理時間:8分-
- じゃがいも:1個
- 小松菜:半束
- 濃口醤油:9g(大匙1/2)
- バター:10g
【作り方】
- じゃがいもは皮を剥いて7mm厚のいちょう切りにします。これを耐熱容器に入れてラップをかけ電子レンジの500ワットで2分チンします。待っている間に小松菜の軸を切り落としざく切りにします。
- フライパンにバターを入れて中火にかけます。バターが融けたらじゃがいも、小松菜を加えて小松菜がしんなりするまで炒めます。
- 2.の鍋肌から醤油を流しいれ具材と絡めながら水気がほぼなくなるまで炒めればできあがり。
【一口メモ】
- シンプルイズベストの見本のようなお惣菜です。使っている調味料は醤油だけ。けど、バターと合わさるとなんとも食欲をそそる風味に変貌するのです。バター醤油を考えた人は天才だな。
- 主菜が鶏肉や白身魚など淡白なものを使った料理の副菜に特におススメ。野菜オンリーの小鉢料理ながらパワーがあるので献立全体の満足感がアップします。
- 小松菜はホウレンソウなど他の青菜でもOK。じゃがいもも下茹でした里芋、大根、蕪などに置換可能です。
- 冷めても美味しいのでお弁当のお菜にも使えます。手早く作れるので朝の忙しい時分でも大助かりですよ。