ミステリー小説で使われるトリックの1ジャンルに叙述トリックというのがあります。
作中の犯人が警察や探偵を欺くためのトリックではなく作者が読者を欺くことを目的としたトリックで主に文章の書き方で読者を錯誤させます。
曰く主人公は品川から日本橋まで行くのになぜ1日もかかってしまったか? → 現代と錯覚させていたが物語の舞台は江戸時代だった。
陰惨な殺戮シーンが繰り広げられる戦争映画のエンドロールを観てヒロインはなぜニコニコ笑っていたのか → 彼女は盲目だった。
家族から引き離されて隔絶されたホームでの暮らしを強要される少年少女の物語 → と思ったら認知症老人の施設の話だった。
などなど。
作家たちはそれはそれは苦労して仕掛けを考案します。
で、こういった仕掛けを考える際には4W(いつ、どこで、誰が、何を)に注目すると実はいろいろ思いつけたりするんですよね。
実は戦国時代の話だった。
実はここは潜水艦の中だった。
実は主人公は(男と思わせておいて)女だったなど。
ちょっと条件を加えると不条理な謎にも光が当たるのです。
たとえば、風邪を引いた客人に主人が自慢のホットワインを振る舞ったら、その客人がこっそりそれを捨てていた。
それを知った主人がショックを受けたなんて話がありました。
けど、その客人が日本人だったとしたら……
ヨーロッパの人からは想像しにくいことだと思うのですが日本人の中にはアルコールの分解酵素を全く持たず酒が一滴も飲めない人がいるんですよという種明かしができます。
このソースを試作していてふとそんな話を思い出しました。
口にすると鼻に抜ける濃厚な日本酒の香り。
下戸の人にとってはちょっと苦手なソースかもしれないなんてね。
【材料】(1人分)
-調理時間:5分-
- 酒粕:15g
- 味噌:18g(大匙1)
- 酢:5g(小匙1)
- ごま油:ひとたらし
- にんにく:ひとかけ
【作り方】
- 酒粕を細かく切って器に入れ味噌、酢を加えます。これを電子レンジの500ワットで30秒チンします。
- 待っている間ににんにくをみじん切りにします。
- 1.のソースにごま油を加えて酒粕の塊がなくなるまでよく混ぜます。これににんにくを加えてさっと混ぜればできあがり。
【一口メモ】
- 肉や魚の焼き物に添えて戴きます。茹で野菜に付けても美味しいですよ。つんと抜けるお酒の香りが酒呑みにはたまりません。
- 赤味噌だけだとちょっと辛味が強いので味噌はできれば白味噌:赤味噌=2:1くらいのブレンドにしてみてください。
- 肉や魚にまぶして焼いても美味しいですよ。