NHKの「きょうの料理」は齢60年を超えるご長寿料理番組です。
長い放送年月の中には後々語り草になった回が数多くあると思うのですが比較的最近では2014年10月に放送された土井善晴さんの「塩むすび」回が伝説(レジェンド)だともっぱらの評判です。
なにせ15分の放送時間を使って紹介するのがおむすび!
「え、なにそれ? 1分もかからず放送終了するんじゃね」
なんて言うなかれ。
土井先生は手の洗い方から懇切丁寧に解説されたのです。
先生いわく、美味しい塩むすびを作る秘訣は2つ。
1つは手を丁寧にきれいに洗うこと。
もう1つは熱々の炊きたてご飯を使うことなのだそうです。
ごくありふれた料理でも作る人によって味に差が出ます。
つまり、美味しく作るポイントがいくつも潜んでいて美味しく作れる人はそれをわきまえて実践しているんじゃないかなと思うのです。
例えば、おいしい目玉焼きの作り方。
おいしいインスタントラーメンの作り方。
おいしいインスタントコーヒーの淹れ方などなどなど。
かれこれ14年ばかりかけて書き溜めたレシピはとうとう2600を超えてしまいました(注:この手控えを書いた2022年頃の話。2024年夏には間もなく3200を超える予定です)。
けど、僕の手控えの中には目玉焼きのレシピもインスタントコーヒーのレシピもないじゃんということにふと気づいてしまったのです。
誰でも作れる簡単な料理をきちんと美味しく作る──そのためのポイントを書き残しておくのは意義あることではないかと思った次第。
とある土曜日の朝、手始めにこの料理をガチで作ってみるべとチャレンジしたのがスクランブルエッグだったのです。
【材料】(1人分)
-調理時間:3分-
- 卵:2個
- 牛乳:15g(大匙1)
- 塩:ひとつまみ
- バター:6g(大匙1/2)
- ドライパセリ:少々
【作り方】
- フライパンを強火にかけて煙が立つまで空焼きします。これを濡れ布巾に載せて粗熱を取ります。
- 1.をやっている間にボウルに卵、牛乳、塩を合わせて泡立て器で泡が立たないように静かにしっかり混ぜます。 ※これを裏ごし器で裏濾すと更になめらかな触感のスクランブルエッグが作れます。
- フライパンを中火にかけバターを加えます。バターが融け切ったら2.の卵液を静かに流し入れそのまま20秒いじらずに焼きます。
- 卵の端から菜箸または大きめのスプーンで掬い上げるように中央に寄せます。溢れた卵液がまたフライパンの表面を覆うので固まってきたら同じ要領で中央に寄せていきます。卵液が溢れ出ないようになったら皿に移してできあがり。ドライパセリを散らして戴きます。
【一口メモ】
- ふわふわが身上の料理ですので火を通しすぎないよう気をつけましょう。ちょっと心もとないかなと思うタイミングでお皿に移すのがコツです。あとは「戴きます」をするまでに余熱で半熟程度に火が通ってくれます。
- もう一つのコツは卵を焼きながらかき混ぜないこと。火が通った箇所から掬い上げるように寄せていくと薄い卵の層が積み重なってその間に適度に空気が入ります。この空気がふんわりとした食感を作り出してくれるのです。
- 塩は小匙1/6(1g)で試してみたのですがわりとしっかり目の味が付いてしまいました。ひとつまみくらいが素材の味も楽しめてオススメかなと思います。
- 工程1.で濡れ布巾を使って粗熱を取るとフライパンが可能な熱を持たず卵が焦げるのを防ぎます。錦糸卵にも応用できる手法ですよ。
- 贅沢ですが手持ちがあれば牛乳の代わりに生クリームを使うとコクがぐっと増しますよ。