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魚料理(洋食)

アブラカレイのムニエル

美味しんぼの29巻に主人公の山岡さんが同僚に「付き合い始めた彼女とのデートに同行してほしい」と相談を受けるエピソードがあります。

どゆこと?──と訊き返したくなるような相談ですが実はその彼女がお金持ちのご令嬢とのこと。

「俺はラーメンライス専門だからシャレたレストランも知らん。行ってもマナーなんぞわからん。だから助けてくれ」

と言うことらしい。

で、デート当日。

お洒落なフレンチレストランでなんとか料理を選んだところでソムリエがテーブルに寄ってきます。

「ワインはいかがいたしましょうか」

そう言われて同僚はワインリストを渡されますが書かれている内容はちんぷんかんぷん。

「山岡、お前が選んでくれ」

とワインリストを山岡さんにパス。

「よし、俺が究極のワインの選び方を教えてやる」

自信満々に言い放って山岡さんはソムリエにこういうのです。

「俺たち○○を頼んだんだけどそれに合うワインを赤と白で一本ずつ選んでください。但しサラリーマンが払えるお値段のやつで」

ソムリエはにっこり笑ってノリノリでおススメのワインを紹介してくれます。

「しかしずるいな。究極の選び方なんて言うから期待してたら店の人に訊くなんて」

ソムリエがテーブルを離れたところで同僚は山岡さんの肘をつつきます。

「何言ってるの。ちゃんとしたレストランにはソムリエと呼ばれるワインの専門家がいるんだよ。彼らは経験も知識も俺たち素人の何倍も持っている。店にあるワインの中でどれが良いかも熟知している。ソムリエに頼らずにワインを選ぶなんざ船頭のいない船に乗るようなものさ」

フランス料理のレストランで食事をするのって案外簡単なんだ──そう漏らす同僚に山岡さんは言ってのけます。

「当たり前じゃないか。料理屋は楽しむところであって苦しむところじゃないもの」

このエピソードは美味しんぼの中でも1、2を争う大好きな話です。

フランス料理や懐石料理のお店など世の中にはハードルが高いと気後れしてしまう飲食店があります。

「俺なんかが行っても場違いじゃないか」

「店の人になんだこいつみたいな目で見られたらどうしよう」

「うっかりマナー違反なことをしでかさないかしらん」

──お店に入る前から胃が痛くなる……けどちょっと待って。

たかだかご飯を食べるだけじゃないか。

料理屋は楽しむところであって苦しむところじゃないもの──そう自分に言い聞かせるだけですっと心が軽くなります。

おうちで作る夕飯も同じこと。

「たまには気張ってフランス料理を」

なんて考えても

「お前はそういう柄じゃないだろ」

と心の中の意地悪なささやきに負けそうになったりします。

けど、たかが晩御飯。

我が家にプロのソムリエはいないけれどそれっぽい料理が作れれば上等! そう自分を鼓舞して果敢に挑戦してみましょう。

【材料】(1人分) 

調理時間:10分-

  • アブラカレイ:1切れ
  • 塩:1g(小匙1/6)
  • ブラックペッパー:少々
  • 強力粉:4.5g(大匙1/2)
  • オリーブオイル:8g(小匙2)
  • ドライパセリ:少々

[ソースパート]

  • バター:8g(小匙2)
  • レモン果汁:7.5g(大匙1/2)

【作り方】

  1. キッチンペーパーでアブラカレイの水気を拭きとり塩、ブラックペーパーを振ります。更に強力粉をまぶします。
  2. フライパンにオリーブオイルを入れて中火にかけます。30秒待ってフライパンが温まったらアブラカレイを入れます。オリーブオイルをスプーンで掬ってアブラカレイにかけながら3分焼きます。ひっくり返して同様に1分焼きます。これを皿に取ります。
  3. 2.のフライパンを洗わずに[ソースパート]を入れ中火で30秒温めます。これを2.のアブラカレイに回しがけてドライパセリを振りかければできあがり。

【一口メモ】

  • パッと見ちょっと高級そうなフレンチに見えますが段取り良く作れば10分くらいで作れる簡単料理です。しかもこのアブラカレイは100g78円の爆安価格だったんですよ。実情を知れば全然高級ではないのですが黙って家族に出せばわかりっこありません。
  • 魚などの焼き物を作る際はできれば薄力粉ではなく強力粉をまぶしてください。表面がカリッと仕上がって食感がぐんと良くなります。
  • レモンバターソースは汎用性の高いソースです。白身魚の焼き物全般に応用できますのでぜひいろいろ試してみてください。

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