うちの娘は1998年生まれのバリバリ20世紀少女なのですが──
「スマホがない生活なんて考えられない」なんてのたまいます。
いやいやスマホが流行り出したのは2010年頃以降。
君は中学を卒業するまでその「スマホがない生活」を送っていたでしょうがと言ってやりたくなるのですが(笑)
一度便利なものに慣れてしまうと元に戻れないと感じることは往々にしてあるようですね。
- スマホがない生活
- コンビニがない生活
- インターネットがない生活家電製品がない生活
- 電車がない生活……
などなど、その「便利なもの」がないと生きていけないと思うものは枚挙にいとまがありません。
けど江戸時代にはそのどれもがなくてそれでも人は普通に生きていたんだよなぁと考えるとなんか不思議な気がします。
同様に一度その味を覚えてしまったら元に戻れないと感じる料理も往々にしてあります。
夕飯にお肉のおかずがないと駄々をこねるご主人の話題をネットで見かけることがありますが江戸時代まで遡らなくても三丁目の夕日の舞台になった昭和30年代くらいならまだ肉料理はたまのご馳走だった気がします。
ましてやお肉を食べる文化がなかった江戸時代(実際にはこっそり食べられたりしたようですが)、それでも人々を楽しませる食文化はありました。
還暦に手が届くこの年になるとそんな江戸時代の普段着のお惣菜が肉料理以上にごちそうに感じるから不思議。
けど、近頃ホントにこういった地味なおかずに白いご飯を戴くと「ごちそうさまでした」と自然に手を合わせたくなるのです。
【材料】(1人分)
-調理時間:40分-
- ごぼう:5cm
- 椎茸:1本
- 人参:1/4本
- ごま油:4g(小匙1)
[ごぼうの下ごしらえパート]
- 水:200g(カップ1)
- 酢:5g(小匙1)
[煮汁パート]
- 水:80g(80ml)
- 出汁の素(かつお出汁):小匙1/2
- 砂糖:5g(大匙1/2強)
[調味料パート]
- 濃口醤油:9g(大匙1/2)
- 味醂:6g(小匙1)
【作り方】
- ごぼうは3mm厚の斜め切りにし[ごぼうの下ごしらえパート]に5分晒してアクを抜きます。椎茸は軸を取って半分に切ります。軸は石突を外して一緒に煮ます。人参は小さめの乱切りにします。
- 小鍋にごま油を入れて中火にかけます。これに水気を切ったごぼうと人参を加えて1分炒めます。
- 2.[煮汁パート]と椎茸を加えて蓋をし、強火で1分煮ます(ごく小さな気泡が立ち始めるくらいまで煮汁を一気に温めます)。蓋を取って火をごく弱火にし10分かけてゆっくり温度を上げます。 ※椎茸は70度~80度で旨味成分が最も抽出しやすくなります。この温度をゆっくり通過させることがこの料理を美味しくさせる秘訣です。
- 3.の煮込みが10分経ったら蓋をして中火にかけ煮立たせます。蓋を取ってアルミホイルで落し蓋をして弱めの中火で5分煮込みます。[調味料パート]を加えて再度落し蓋をして5分煮込みます。落し蓋を外して火を止めそのまま自然に常温に戻すまで放置して煮含めればできあがり。
【一口メモ】
- 地味なお惣菜ですが丁寧に作ると手を合わせたくなるくらい美味しくできます。家族には敬遠されがちな見た目かもしれませんがぜひ強く推してくださいな。
- 温度管理がこの料理の成否の要になります。特に椎茸の出汁を挽く工程3.は丁寧に行ってください。
- 工程4.で火を止めてから常温にゆっくり戻すことで素材が煮含められて味染みが良くなります。加えて余熱で水分が蒸発して味が濃くなり料理として完成します。ヒマはかかりますが(それでも10分くらいかな)放置OKなので少し早めに調理にかかってくださいな。
- 椎茸は他の茸でも置換可能。茸類の出汁は同じく70度~80度で一番抽出しやすくなりますので同じ要領でこしらえてください。
- お好みで高野豆腐を加えると至福の出汁を吸ったふかふかの食感を楽しむことができます。