日常生活で自転車に乗っている人に「乗れるようになる前の自分を思い出して」と言っても「無理」って言われそうな気がします。
泳げる人に「泳げるようになる前の自分を思い出して」と言っても然り。
世の中にはできるまでは「なんでできるかわからない」ことが、できるようになっちゃうと「なんでできなかったかわからない」と不思議に思う類のことがあるようです。
卵焼きを作るのもそれに似ているかも。実は僕にとって卵焼きは長いこと苦手な料理でした。
完成形はわかっているのにあんな風に焼けない。
レシピをいろいろ調べてみてもシンプルすぎて参考にならない。
だって材料は卵と調味料少々なだけ。
卵焼き器かなければフライパンで薄焼き卵を作り、巻いてはまた作りを繰り返すだけ。
これほど作り方を文章で表現するのが難しい料理もないよなぁと思っていました。
なのである時、焼き鳥屋でバイトをしている女子学生がこともなげに卵焼きを作ってみせたのは衝撃的でした。
小さな女の子が自転車を漕ぎながら近づいてきて「ええ、おじちゃん自転車乗れないの? かわいそう」なんて言われた気分。
うるさい、ほっといてくれと言いたい気分。
ただ、僕の短所であり長所は性格がわりとしつこいところ。
できないことを投げ出せなくて何度もトライしちゃうんですよね。
で、まだまだ下手くそだけど今ではそれなりに卵焼きを作れるようになっています。
【材料】(1本分)
-調理時間:5分-
- 卵:3個(2個でも作れます)
- 砂糖:3g(小匙1)
- 塩:ひとつまみ
- サラダ油:少々
【作り方】
- 卵焼き器かなければフライパンにサラダ油を入れて強火にかけて十分熱します。待っている間に材料をボウルに合わせて菜箸の先を底から離さないようにしながら切るように溶きます。 ※混ぜすぎると卵のコシがなくなるので注意。
- 卵焼き器に卵液の1/3を流し込み均等に広げます。この際、炎から卵焼き器が離れないように気をつけます。表面が乾き始めたら菜箸で奥の端から手前に巻いていき巻き終えたら菜箸で押して奥に戻します。
- 卵液の残り半分を流し込みます。この際、奥にある焼き上がった卵の端を持ち上げて卵液をその下に潜り込ませます。再び卵の表面が乾き始めたら2.と同じ要領で巻いてまた奥に戻します。同じ要領で残りの卵液を焼いたらできあがり。
【一口メモ】
- ほんのり甘くてふわふわな食感。昭和の昔から子どもたちだけでなく大人も魅了してきたあの料理が自分で作れるというのはなんとも感無量な気がします。
- 文章で書くとこんな感じなのですが実際に作ってみると何度も失敗しました。ひどい時はスクランブルエッグになったりして……。ま、味に変わりはないのですが。ふわふわじゃないのは悲しい。
- コツは最初から最後まで強火で手早く焼くこと。慣れてしまえば小中学生にだって作れる料理です。めげずにトライしましょう。