料理を美味しいと感じる要素は何?と訊ねられたら多くの人が「味付け」とか「味」と答えるでしょう。
けど、それ以外にも美味しいを構成する要素はあるのです。
例えば香り。
鰻のかば焼きなんかはもう食べる前から食欲をそそる匂いですし、スパイスの刺激的な香りにつられてカレー屋の戸を開ける人もいるでしょう。
例えばいろどり。
サラダの鮮やかな緑。
エビチリの火色。
牡蠣のしぐれ煮の佃煮色。
見た瞬間に口の中にまだ食べていい料理の味が広がる気がします。
例えば音。
じゅうじゅう音を立てている焼き肉や唐揚げ。
ポップコーンなんかも音を聞いただけでワクワクが止まりません。
そして──食感。
噛み応え。
がちがちに硬くなったお餅やふにゃふにゃのビーフジャーキーやスルメは味が良いとか悪い以前の問題です。
そして複数の食材を使う料理ではこの噛み応えの調整って意外と重要で難しかったりするのです。
ちょっと想像してみてください。
フランスパンで作ったハンバーガーは美味しいでしょうか?
ジューシーで柔らかいハンバーグがメインの料理なのにかぶりついても噛み切れない!
それどころかパンが硬くてハンバーグまで到達できない!
なんてこったいとなってしまいます。
以前、バーガーバンズを作ってみようとレシピを調べたことがあるのですが最初は誤記だと思いましたもん。
水と強力粉の比率がおかしい……おかしすぎる!
それくらい粉に対して水の量が多いのです。
いろいろ勉強して学んだことは──ハンバーガーのバンズはパティより柔らかくなければいけない。
でないとかぶり付いても?み切れないということです。
なので単体でバンズだけ食べると「ウソっ」って思うくらいふにゃふにゃで頼りない食感なんですよ。
勇気のある方はハンバーガーを解体してトライしてみてください。
そこへいくとこのラーメンはどうなのでしょう。
ラーメンの主役はあくまでもラーメンであるべきです。
その添え物であるトッピングが麺よりずっと硬いというのはどうよ──そうは思ったのですがなぜかそのコリコリ感がアクセントになってヤミツキになっちゃっうんだよなあ。
ま、常識から外れているのに美味しい料理というのは案外あるのかもしれません。
【材料】(1人分)
-調理時間:20分-
- 袋入りラーメン(塩):1袋
- 砂肝:2粒
- 卵:1個
[下味パート]
- ごま油:6g(大匙1/2)
- 塩:1g
- ブラックペッパー:少々
- にんにく:ひとかけ
- 生姜:スライス1枚
- 白ネギ:10cm
【作り方】
- 砂肝は薄くスライスします。[下味パート]のにんにく、生姜はみじん切りにします。白ネギは小口切りにします。砂肝と[下味パート]を合わせて10分置きます。
- 1.の漬け込みを待つ間に湯呑みに卵を割り入れ水を15g─大匙1(分量外)加えて電子レンジの200ワットで1分チンして緩い温泉卵を作ります。
- 1.の漬け込みが終わるころ合いにラーメンを普通に作り始めます。並行して1.をフライパンに移して中火にかけ砂肝の色が変わるまで炒めます。
- ラーメンを丼に移し、2.と3.のフライパンの中身を油ごと加えればできあがり。
【一口メモ】
- ごま油の香りがたまりません。そして砂肝のコリコリした食感は良いアクセントになってクセになります。具材の味付けは塩なので塩ラーメンと相性が良いですよ。
- 少し食べたら温玉を割って黄身をスープに混ぜ込みましょう。味がマイルドに変化して楽しいですよ。
- 手持ちがあれば[下味パート]の塩を塩麹6gに替えてください。塩を使うとちょっと味がきつくて主張が強いのですが、塩麹なら味の角が取れてでしゃばらずスープを程よく引き立ててくれます。