地元の観光名所に地元民は行かない──というのは一つのあるあるネタなのかもしれません。
僕は神戸生まれの神戸育ちですが未だにポートタワー(中突堤のフェリーの船着き場そばに立っている高い塔)に登ったことがありません。
職場は大阪市内でしたが三十数年通ったわりには通天閣は一度も登っていないですね。
大阪城は1回だけ登ったかな。
逆に単身赴任で横浜に住んだ時は真っ先に中華街を歩きましたし、浅草なんかは電車を乗り継いで1時間以上かかるのに何度も行きました。
いつでも行けると考えると案外行かないものなんだよなぁ。
それと同じ理屈で地元の名物を食べたり地元の名店で食事をしたりというのも意外としないかも。
これは、「うちまですぐそこだし、家で晩御飯食べた方が安くつくって」──なんて心理も働いているのかもしれないな。
逆に旅行などに出かけたらとりあえず名物を食べておくというのも人情。
あれは一種のスタンプラリー的な心理なんじゃないかしらん。
〇〇に行ってきたよと友達に自慢できるしイマドキならSNSに写真をアップして証拠も残せます。
だからなのかなと思うのですが、地元の名所や名物って地元民より旅行客の方が時に詳しかったりするようなのです。
「とんかつラーメン(カツラーメン)」は岡山名物のご当地ラーメンだそうです。
岡山の地元情報誌『タウン情報おかやま』によると──「とんかつをトッピングにするラーメンはよその街にもあるけど岡山のそれとは一線を画する。岡山のとんかつラーメンは選べるトッピングの中にとんかつもあるよというのではなく、とんかつが載っていることが前提のラーメンなんである」なのだそうです。
プレーンのカレーライスにトンカツのトッピングを頼むのとカツカレーを注文するのとの違いみたいなものかしらん。
ちなみに、同情報誌によるとその発祥は戦後すぐにまで遡るとか。
しかし……僕はこのとんかつラーメンというのが岡山名物だなんて聞いたことがないのです。
岡山大学のOBである僕は1980年代の学生時代を岡山で過ごしました。
なんなら留年したので5年も住んでおりました。
その間、一度もとんかつラーメンという言葉を街で見かけたこともなければ知人たちから聞いたこともないのです。
ちなみに先の『タウン情報おかやま』を愛読していて5年間毎月購読しておりましたがその紙面でも見かけた覚えはありません。
ま、これも「地元民は案外地元の名物を食べない」現象のひとつなのかなぁ。
とまれ、最近ネットでとんかつラーメンというワードを目にしてから気になって仕方がなかったので三十数年の遅ればせながら岡山名物のラーメンを自作してみました。
【材料】(1人分)
-調理時間:22分-
- 袋入りラーメン(醤油または塩):1袋
- (お好みで)粗挽きブラックペッパー:適宜
- トンカツ用の豚肉:1枚
- 塩、ブラックペッパー:少々
- 薄力粉:少々
- 卵:1個
- パン粉:適宜
- 揚げ油:適宜
- キャベツ:4、5枚
- バター:5g
[キャベツの煮込みパート]
- オリーブオイル:6g(大匙1/2)
- 白ワイン:25g(25ml)
- 白ワインビネガー:7.5g(大匙1/2)
- コンソメの素(顆粒):2g
- 粒マスタード:小匙1/2
【作り方】
- キャベツを千切りにします。フライパンにバターを入れて中火にかけ半ば融けたらキャベツを加えてしんなりするまで炒めます。[キャベツの煮込みパート]を加えて蓋をし、弱火で5分煮込みます。時間が来たら蓋を取り余熱で水分を飛ばしておきます。煮込みを開始したら揚げ油を火にかけて170度に温めます。
- 揚げ油が温まるのを待っている間にトンカツ用のお肉は筋切りをして塩、ブラックペッパー、薄力粉をまぶします。これを溶き卵にくぐらせてパン粉を付けます。再度卵をくぐらせてパン粉をもう1度付けます。 ※パン粉を二度付けすることでしっかりした衣に仕上がります。ラーメンスープに浸すことが前提のため衣は厚めを意識しましょう。
- 揚げ油が温まったら片面1分半つごう3分揚げます。揚がったトンカツは立てて置きしっかり油きりをします。
- 鍋に麺を茹でる湯(分量外)を沸かします。並行して小鍋にラーメン添付の粉末スープを半分入れパッケージに記載の水の量の半量を加えてひと煮立ちさせます。待っている間にトンカツは食べやすい大きさに切っておきます。
- ラーメンを茹でる湯が沸いたら麺を投入し1分半茹でます(規定時間よりかなり短時間です)。麺の湯切りをし、丼によそいます。これにトンカツ、キャベツをトッピングし、お好みで粗挽きブラックペッパーを振ればできあがり。
【一口メモ】
- 思った以上にトンカツの存在感があります。衣を厚めにしてあるのでスープでふやけることなくサクサク感が楽しめます。ザワークラウト風の酸味が強いキャベツも良いアクセントになっています。
- 付け合わせにキャベツのザワークラウト風を選んだのは完全に僕のオリジナルアレンジです。実際にお店で出している料理の画像を見るととんかつ以外は普通にシナチク、ネギ、味玉などが載っている模様。ものによっては更にチャーシューが盛ってあって次次郎系を彷彿とさせる丼もありました。
- かつ丼をイメージしてレシピを組み立てましたのでスープの量はカツがどっぷり浸からないよう半量にしました。塩分の過剰摂取も抑えられるのでおススメですよ。
- 予想はしていましたが手数の多いレシピです。「トンカツを揚げる」、「キャベツを煮る」、「ラーメンを茹でる」という3つの作業をいかに並行して行えるかで完成までにかかる時間は大きく変わってきます。ぜひ、タイムトライアルに挑戦してみてくださいな。