社会人3、4年生になった頃。
学生時代を過ごした下宿を引き払って実家に戻りお菓子作りに明け暮れていた頃のことです(変な社会人だったな(笑))。
ちょっと変わった料理本を購入しました。
本のタイトルは「お菓子「こつ」の科学」。
- 生クリームを攪拌するとふんわり泡立つのはなぜでしょう?
- 「折り込みパイ生地」が層状に焼きあがるのはなぜでしょう?
- 「発酵パン」がふっくらと大きく膨らむのはなぜでしょう?
- 「強力粉」と「薄力粉」はいったいどこが違うのでしょう。
料理や製菓をやっているといくつもの「なぜ」に出会います。
けどその「なぜ」は当たり前過ぎて深く考えもせず見過ごしてしまいがちなんですよね。
「いや、レシピにそう書いてあるんだからその通り造れば間違いないって」
なんて思ったりもして。
この本はそういった「なぜ」について分子レベルの科学としてわかりやすく解説してくれたものです。
面白いことに料理本のくせに料理のレシピはただのひとつも載っていないんですよね。
ひたすら製菓のメカニズムが図解されているだけ。
けど、そこに書かれた知識はとても勉強になりました。
たとえば強力粉と薄力粉ではグルテンの含有量が違います。
なのでこういったお菓子には強力粉が向く、ああいったお菓子には薄力粉が向くと明確な使い分けができるのです。
その知識が未知のお菓子の開発に挑む時、使う小麦粉はどうあるべきか判断するための素地になってくれるのです。
この本と姉妹本の「「こつ」の科学」(こっちは料理全般の解説書)ともどもロングセラーらしく今でもAmazonで売っているのを確認しました。
興味のある方はぜひご一読くださいな。
「こつ」の科学 調理の疑問に答える 新装版/柴田書店/杉田浩一
過日、かきたま汁のレシピを調べていて「卵にマヨネーズを加える」というレシピを見かけました。
『そうすると卵がふわふわになるんだよ』ですって。
で、やってみるとホントにふわふわ卵のかきたま汁ができたという。
あんまり不思議な現象だったのでその仕組みをいろいろ調べてみたらこういうことらしいと分かりました。
- マヨネーズは卵と植物性油脂を乳化(水と油を均一に混ぜる技法)させた食品・マヨネーズを卵に加えてよく混ぜると普通の卵の分子と乳化された卵の分子が適度に混ざり合った状態になる。いうなれば男子校と女子高が合併して共学になった感じ。
- これに熱を加えると卵オンリーだったらむさくるしいくらいがっちり結束した状態になりますが(硬派な男子校状態)、卵分子同士の結束を阻害する油を含んだ乳化卵が周りにいるので結束がふわっとした感じになる(ゆるふわ共学校状態)。
ということらしい。
なるほど。
とまれ、料理は科学です。
料理で使う技法には必ず理由(原因)があってそれが結果を導き出してくれるのです。
久しぶりにそれを思い出しました。
ちょっと「料理の科学」のお勉強をしてみようかな。
【材料】(1人分)
-調理時間:7分-
- 卵:1個
- マヨネーズ:6g(大匙1/2)
- 玉ねぎ:1/8個
[スープパート]
- 水:300g(カップ1.5)
- コンソメの素(顆粒):3g
- 塩:1g(小匙1/6)
- ブラックペッパー:少々
【作り方】
- 玉ねぎを薄切りにします。
- 卵とマヨネーズを合わせてよく混ぜておきます。
- 小鍋に玉ねぎと[スープパート]を合わせて中火にかけひと煮立ちさせます。これに2.を2、3回に分けて加えます。卵が一度沈んで浮き上がってきたら次を加える要領で全て加えます。卵が浮いてきて固まれば菜箸でさっとかき混ぜてできあがり。 ※卵を加えた直後は箸などでかき混ぜないようにしましょう。スープが濁ってしまいます。
【一口メモ】
- 卵がふわふわもこもこにスープいっぱいに広がって楽しいです。食感もライトで飲みやすい。
- 卵がふわふわになる秘密はマヨネーズ。マヨネーズは植物性油と乳化した卵でできています。その植物性油が卵のタンパク質同士の結合を阻害してゆるふわに仕上がるという科学的なからくりです。
- 応用編として卵焼きを作るときにマヨネーズを加えるとふわっと仕上がります(卵2個に対してマヨネーズ6g(大匙1/2)が目安)。それだけでなく冷めても硬くならずふわふわ。これも植物性油が常温でも固まらない性質を利用した科学です。お弁当作りにぜひ活用してください。
- 手持ちがあれば玉ねぎ以外にもいろいろ野菜を加えるとにぎやかなスープになりますよ。