「未来の国じゃ馬なんてものは使ってない。自動車と呼ばれる機械仕掛けの荷車があって……」
映画「バックトゥザフューチャー3」の1シーン。
タイムマシンの発明者であるドクが100年前の西部の酒場で未来の様子を熱く語るシーンです。
「みんなその自動なんたらっていうのに乗ってんじゃ誰も歩いたり走ったりしねぇのかい?」
とんだ与太話だとげらげら笑う西部の男たちの一人がこう尋ねます。
「たまには走るさ。レクリエーションのために楽しみで」
と返すドクに男たちは更に大爆笑。
「遊びで走るって、それなんだよ」
まあ、そうなるよなぁ。
そんな世界信じられないよなぁと僕も映画館の客席で笑いながら観ておりました。
そこまで過去にタイムトラベルしなくても今では信じがたいものって意外と身近にあるものです。
例えば「冷ご飯」。
僕の子供の頃には電子レンジはありませんでした。
それどころか炊飯器(当時は電気釜と呼ばれていましたが)も炊く機能しか付いておらず保温モードがなかった。
つまりご飯は炊いたらおひつに移すだけでそこからは冷たく、硬くなるしかなかったんですね。
けどそれを不便と思う人は皆無でした。
だってそれまで何百年もそれが当たり前の生活を送ってきたのですから。
そこに未来からやってきたという男が現れて
「未来の国じゃ冷や飯を食べるなんてことはありえない。ご飯は冷凍しておいて食べたい時に電子レンジという機械で温めればいつでも熱々のものが食べられるんだ」
なんて力説されたら……
「ウソだぁ」って笑っちゃうでしょうね。
長い米食の歴史の中でその冷たく硬い冷や飯を美味しく食べる知恵として生まれたのが「湯漬け」、「茶漬け」の文化です。
電子レンジが普及した今となってはお茶漬けを食べる理由はホントはないはずなのですがスーパーに行くとお茶漬け海苔のコーナーにずらっと商品が並んでいるのはこはいかに。
「だったらさ、未来では茶漬けを食べるやつなんかいないのか?」
と訊ねられたらその未来から来た男は平然と答えるでしょうね。
「たまには食べるさ。レクリエーションのために楽しみで」
ほかほかに炊いたご飯をおにぎりにしてわざわざ焼いて硬くして、それにお茶をかけて食べる──
こんな料理を見せられたら昔の人は呆れるでしょうか(笑)
【材料】(1人分)
-調理時間:16分-
- ご飯:1膳分
- (あれば)好みのトッピング:今回は鮭の柚庵焼き(何かおかずになるものをチョイスしてください)
[焼きおにぎりのタレパート]
- 濃口醤油:3g(小匙1/2)
- 味醂:3g(小匙1/2)
[出汁茶パート]
- 水:120g(120ml)
- 塩:1g(小匙1/6)
- 濃口醤油:3g(小匙1/2)
- 鰹出汁の素:小匙1/2
- 昆布汁の素:小匙1/2
【作り方】
- ご飯を2等分しておにぎりを2個作ります。これに[焼きおにぎりのタレパート]を塗ってオーブントースターの200度で10分焼きます(時々、[焼きおにぎりのタレパート]を重ね塗りします)。おにぎりをひっくり返して更に3分焼きます。
- 1.をやっている間に[出汁茶パート]を小鍋に合わせてひと煮立ちさせておきます。
- 1.の焼きおにぎりを茶碗に入れて熱々の2.を注げばできあがり。トッピングを添えて頂きます。
【一口メモ】
- 香ばしく焼けたおにぎりに出汁茶は好相性。出汁の旨味も相まってクセになる旨さです。
- 食べ方は自由ですがひつまぶし的に食べるのがおススメかな。最初は焼きおにぎりとしてそのまま齧って食べる→おにぎりを崩しつつ戴く→トッピングの鮭の身を崩して出汁茶を味変するといった感じです。
- [出汁茶パート]はできれば水ではなくきちんとお茶を淹れれば風味が格段に増します。お茶は煎茶がおススメ。
- 昆布と鰹の合わせ出汁にしてありますが比率を変えると風味が変わります。いろいろ試してお好みの風味を探ってみてください。