ミステリーの世界には「見えない人」という用語があります。
確かにそこにいたのに意識の外に追いやられていなかったように思える人というほどの意味かな。
具体的に言うと例えば寝台車で殺人事件が起きます。
発見者は不眠症でずっとデッキで夜空を眺めていた乗客。
ところが被害者が自分の個室に入るのを目撃してからその死体を見つけるまで誰も通路を通らなかったとその発見者は証言します。
個室は完全な密室状態だったと。
けど、通った人が1人だけいたんですよね──そう、車掌が犯人だったのです。
乗客ならどんな地味な服装の人でも目撃者が忘れるはずがありません。
けど、制服を着た車掌さんは寝台車の景色の一部になって認識されていなかったというオチです。
「見えない人」というトリックというかオチはミステリーの世界では古典に属するほど古く、客船なら船員。
飛行機ならパイロットやCA。
マンションを張り込んでいる刑事にとっては郵便配達夫や宅配便のお兄さんといろいろなバリエーションが考案されましたが仕組みは同じ。
いても当たり前過ぎて違和感を覚えないということ。
我が家の冷蔵庫にとっての「見えない人」はさしずめ卵でしょうか。
週末が近づいて冷蔵庫の中がすっからかん。豚肉が少々残っているけど一皿作るには心もとない。
「なんにもないじゃん」 と嘆いている僕は目の前にでんと鎮座している卵のことになぜか気づかなかったりするのです。
けど、この日は二度見して「あ」と声を立てました。
「卵があるじゃん」 ってね。
【材料】(1人分)
-調理時間:10分-
- 豚バラ肉:50~70g
- ありあわせの野菜:玉ねぎ、人参、茄子、ピーマンなど
- ごま油:少々
[卵液パート]
- 卵:1個
- マヨネーズ:12g(大匙1)
- サラダ油:6g(大匙1/2)
[調味料パート]
- オイスターソース:9g(大匙1/2)
- 味醂:9g(大匙1/2)
- おろしにんにく:ひとかけ分
- 鶏ガラスープの素:ひとつまみ
【作り方】
- 豚肉と野菜類は食べやすい大きさに切ります。[卵液パート]をボウルに合わせてよく溶いておきます。
- フライパンにサラダ油少々(分量外)を入れて中火にかけ[卵液パート]を加えて半熟のスクランブルエッグにし一旦皿に取ります。
- 2.のフライパンにごま油を入れて中火にかけ豚肉と野菜類を加えて肉に焼き色が付くまでしっかり炒めます。
- 3.に2.と[調味料パート]を加えて水気がなくなるまで炒め合わせればできあがり。
【一口メモ】
- 冷蔵庫のあり合せで作れる中華惣菜です。具材はなんでもあり。買い出し前で食材が乏しくなってきた時に特にオススメです。
- 卵はどんな具材でもひとつにまとめてくれる便利なアイテムです。切らさずに常備しておけば夕飯の強い味方になってくれますよ。
- オイスターソースをポン酢と酒に変えれば和風に。ケチャップやウスターソースを使えば洋風のおかずにすることもできます。