ファミレスチェーンが運営する食品工場で工場長をやっていた知人が面白い話をしてくれました。
ある時、本部からこんな発注があったらしい。
「A食材を50g入れたパッケージと100g入れたパッケージをそれぞれ500セット作ってください」
そうすれば、店舗の厨房で食材をいちいち量らなくても、パッケージを開封してそのまま鍋に入れて均一の量の料理が出せるから効率的。

ただ、料理によって使う分量が違うから2種類作ってほしいという要請だったみたい。
それを受けた彼は、50g入りのパッケージを1500セット作って出荷。
本部とはひと悶着あったみたいですが──
「2種類のパッケージを作るには工場のラインを2つ作らないといけません。A食材が100g必要な料理は、50gのパッケージを2つ開封して使えば良いでしょ」と彼が説明すると黙ったそうな。

まさにおっしゃる通り、というか本部の人も誰かそこに気付けよ(笑)。
大は小を兼ねると言いますが、これは小は大を兼ねるというべき実例ですね。
別の話ですが、過日、居酒屋で常連のお姉さん(主婦歴ン十年のベテラン)とおしゃべりしている時に、
「トンカツが食べたかったのに冷蔵庫を覗いたら卵がなくてねぇ」と僕が漏らしたら、
「そんなんマヨネーズを使えばええねん」と教えてくれました。

マヨネーズの主成分は卵、油、酢、塩。
酢に目をつむれば、まんまトンカツの衣の成分といっしょだそうな。
目からうろこが落ちる思いをしました。
これも1種類のパッケージを2種類の料理に使い回すアイデアと似た発想のテクニックだよなぁ。
そういえば以前、幽庵焼きを作るのに柚子果汁がなかったのでポン酢醤油を使ったことがありました。
あれも、ポン酢醤油に含まれる柚子果汁を転用した、似たアイデアだったな。
過日、冷蔵庫を覗くと鶏肉が50gくらい残っていました。

おかずにするにはボリュームが足りない。
せめてミンチならそぼろにしてご飯に振りかけるとかできるのに──なんて考えていて、ふと我に返ったのです。
ミンチにすれば良いじゃん!

ミンチはかたまり肉には戻りませんが、かたまり肉をミンチにするのは簡単。
包丁で細かく切って叩けば良いだけ。
昭和の昔、藤谷美和子さんのCMで、
「100円でカルビーポテトチップスは買えますが、カルビーポテトチップスで100円は買えません。あしからず」
なんてのがありましたが、その馬鹿馬鹿しくも当たり前のフレーズが頭をよぎりました。

視点を少し変えれば、手持ちのもので済ませられるライフハック的アイデアは意外と身近に転がっているものなのかも。
ということで、その日のランチはこのねぎ塩そぼろ丼になりました。
【材料】(1人分)
-調理時間:8分-
- ご飯:1膳分
- 鶏ミンチ(部位はもも、胸いずれでも可):100g(なければ鶏ももまたは胸肉を粗みじん切りにしてもOK)
- 玉ねぎ:1/4個
- (あれば)蓮根:1cmの輪切り分
- ごま油:4g(小さじ1)
[香味パート]
- 生姜:スライス1枚
- にんにく:ひとかけ
[調味料パート]
- 鶏がらスープの素:小さじ2
- 塩、ブラックペッパー:少々
【作り方】
- 玉ねぎと[香味パート]をみじん切りにします。蓮根は3mm角程度の粗みじん切りにします。ミンチでない鶏肉を使う場合は、粗みじんに切って包丁の刃で叩いてミンチにしてください。
- フライパンにごま油を入れて中火にかけます。1.を加えて1分半炒めます。
- 2.に鶏ミンチを加えて色が変わるまで炒めます。
- 3.に[調味料パート]を加えて30秒炒めます。
- 丼にご飯をよそい、4.を載せればできあがり。
【一口メモ】
- 鶏もも肉が微妙に残っていたので叩いて、鶏がらスープの素で味付けしたそぼろにしてみました。にんにくの風味がたまりません。
- そぼろ丼ですので使うのはミンチですが、鶏肉の手持ちさえあれば、わざわざミンチを買ってこなくても包丁で叩いてミンチにできちゃいます。フードプロセッサーを使えばさらに簡単ですよ。そぼろ以外につくねやハンバーグにも応用できるので、知っておくと便利な技です。
- 蓮根を加えるとコリコリとした食感が良いアクセントになるのでおすすめです。ほんのり優しい甘みも加わって風味も複雑になります。

