諸物価高騰の昨今、生きにくさを嘆く呟きがSNSで溢れていますが、あえて反論させてもらうと、昔よりずっとマシになっていることや、生きやすくなっていることだっていっぱいあるのではと僕は思っています。
たとえば、当たり前すぎて気づいていないだけで、とんでもなく便利なサービスが無料で使える時代に僕らは生きています。
Googleなどの検索エンジンは、ありとあらゆる情報を無料で入手できるツールです。

ChatGPTのような生成AIは、無料コースだけでも日常生活を強力にサポートしてくれます。
初めての街を歩く時に必須の多機能地図サービス、経路案内、天気予報などなど、毎日のように活用しているのに僕らは1円もお金を払っていません。
今が昭和の時代以前だったら──おそらくどのサービスも有料にして商売の種にされていたんじゃないかと想像します。

あるいは中世なら、一部の特権階級だけが使うことを許されて、そもそも庶民はそんなサービスがこの世にあることすら知らずに生涯を終えていたかもしれません。
庶民化(大衆化)という言葉があります。
貴族や特権階級に限定されていた文化・風俗・サービスが、一般大衆(平民)の生活に広く普及し、享受されるようになるプロセスを指す言葉です。

その原因について語り出すと話がそれてしまうのであえて省きますが、日本では特に江戸時代の後半以降、庶民化が進みました。
平たく言うと、「昔ならお貴族様だけができた暮らしを僕ら庶民が当たり前のように享受する」時代に僕らは生きていると思うのです。
分かりやすい例を挙げましょう。
数年前、『異世界食堂』というアニメがオンエアされました。
店の入り口が中世風の異世界に7日に一度つながる不思議な食堂のお話です。
店で供されるのはメンチカツ、エビフライ、カレーライス、照り焼きチキンなど、どこの洋食屋でもメニューに載っていそうなありふれたものばかり。

けれど、店を訪れる客たちはその味に驚嘆し、至上のご馳走だと喜ぶのです。
つまり、僕らは知らず知らずのうちに、お貴族様だけが口にすることができた料理を毎日食べている──とも言えます。
そう考えると、ありふれたお惣菜もご馳走に見えてきませんか(笑)。
今日のレシピでは酒蒸しという技法を使います。
酒蒸しとは、あさり、白身魚、鶏肉などの食材に日本酒を振りかけ、蓋をして蒸し上げる調理法です。

日本酒のアルコールが気化する時の蒸気で素材が持つ臭みも気化させる、共沸効果と呼ばれる現象を応用して上品な風味に仕上げるのが特徴です。
江戸時代頃にはすでに広く用いられていた調理法で、日本酒の普及とともに庶民にも広まりました。
千年前なら一生食べることがなかった料理が目の前にある──そんな風に考えると、ありふれたおかずもご馳走に見えてくる気が……するかなぁ(笑)。
【材料】(1人分)
-調理時間:15分-
- 豚バラまたはローススライス:100g
- キャベツ:3?4枚
- 刻み葱:適宜
- 黒ごま:適宜
- 酒:15g(大さじ1)
[タレパート]
- ポン酢醤油:22.5g(大さじ1.5)
- 豆板醤:3g(小さじ1/2)
【作り方】
- 豚肉は2cm幅の小口切りにします。キャベツは芯を取ってざく切りにします。
- フライパンにキャベツを敷き詰め、その上に豚肉を並べます。これに酒をふりかけます。蓋をして中火にかけ、8分蒸し焼きにします。蓋を取って火力を少し弱めて2分水分を飛ばします。並行して、[タレパート]を合わせてよく混ぜておきます。
- 火を止めて[タレパート]を回しかけ、よく和えます。これを皿に盛りつけ、刻み葱と黒ごまを散らせばできあがり。
【一口メモ】
- フライパンに材料を並べれば、あとは火が通るまで待っているだけのワンパン料理です。簡単だけど、さっぱり風味で旨いのだ。
- 段取り良く仕上げるポイントは、材料を切ってフライパンに並べて火にかけるまでを最短にすること。なので、[タレパート]を合わせるのは火にかけた後、待っている間にやるのがおすすめです。
- 酒蒸しは本来、お酒のアルコールが気化する際の共沸効果を利用して食材の臭みを除去する技法です。なのでジビエなどクセの強い食材におすすめ。手に入るのなら猪肉などでやっても美味しいんじゃないかなと思います。
- 黒ごまの手持ちがなければ炒りごまでもOK。ただ、料理自体は白系の彩りなので、黒ごまの方が見栄えは良くなります。
- 辛いのが苦手な方は豆板醤を抜いてください。あと、手持ちがあれば刻み海苔を散らすと風味がアップしますよ。

