とかく西に行きましても東にいきましても──
なんて書くと寅さんの口上みたいですが日本全国どこに行ってもお肉屋さんやスーパーのお肉コーナーに並ぶ商品はさほど変わり映えしません。
もしかしたら北海道に行くと本州では見かけないラムとかマトンなんかが並んでいるかもってくらいですかね。
間違っても熊肉、鹿肉、馬肉、鴨肉などご当地ジビエが豊富に並んでいるお店はそうそうないでしょう。
それに反して魚屋さんやスーパーのお魚コーナーは実に地方色豊かです。
関東に単身赴任するまで僕は関西以外に住んだことがなかったのでその認識がなかったのですが横浜の魚屋さんでは生まれて初めて見る魚介をいろいろ見かけました。
生のエイなんてのも売っていたな。
エイと言えば飲み屋で頼むエイヒレくらいしかイメージできてなかったので衝撃的でした。
関西に戻ってきまして尼崎で暮らすようになってその認識を改めねばと思ったことがあります。
それは──「同じ関西でもまだまだ見たことのない魚介が魚屋に並んでいることがある」ということです。
過日、魚介が安いスーパーを覗いたら「コノシロ」というお魚が売られていました。
寡聞にして聞いたことがない魚。
けどそこそこ大きい魚体で4尾入って198円はめちゃ安い気がする。
根が珍しいもの好きなので食べた方も知らないクセについついかごに入れて購入してしまいました。
家に帰って調べてみると「コノシロは逆出世魚です」なんて面白い情報が飛び込んできました。
どうやら寿司屋ではおなじみのネタ「コハダ」が成長したもののようですね。
なるほど言われてみれば同じシルエットの魚体な気がする。
で、逆出世魚というのは成長すればするほど値が下がる魚のことを指す言葉らしい。
シンコ(約4cm)→コハダ(約10cm)→ナカズミ(約12cm)→コノシロ(約15cm以上)といった感じで成長するのですが一番高価なのはシンコ。
コハダも寿司屋ではそこそこ値が張りますので高級魚でしょう。
けど今回買ってきたコノシロは4尾で198円。
なるほど安いなw
けど成長して食べられる身が増えているはずなのに安くなっていっているというのはなんか納得がいかないのですがw
コハダと同じ魚と分かれば酢漬けにするのが良いんだろうなと見当がついたのですがせっかくなのでいろいろな食べ方を試したくてまずは塩焼きにしてみました。
【材料】(1人分)
-調理時間:60分-
- コノシロ:1尾
- 塩:適宜
- 酒:適宜
【作り方】
- うろこ取りで(なければ包丁の背で)尾から頭に向けて擦ってうろこを落とします。 ※うろこはけっこう飛び散るのでシンクの中で作業するのがおススメです。
- エラ蓋の後ろから包丁を差し込んで前後に刃を動かしながら切り進めて頭を落とします。更に腹の際(きわ)5mmくらいを切り落とし内臓を露出させます。腹に指を突っ込んで内臓を引き出し終わったら流水で体内をきれいに洗います。 ※内臓が残っていると臭みの元になるのできっちり引き出しましょう。
- できあがりの写真を参考にして頭から尾にかけて5mm間隔で包丁目を入れて骨切りをします。中骨まで切り落とさないよう気を付けましょう。 ※コノシロは小骨の多い魚なのでそのままでは塩焼きに向きません。骨切りをすることで食べても気にならなくなります。
- 3.に強めに塩を振って冷蔵庫で30分休ませます。
- 4.に酒を振って塩を洗い落とします。魚焼きのグリルで両面こんがり焼けばできあがり。
【一口メモ】
- 白身の魚特有のもちもちした身がめちゃ旨いです。鯛のような淡白な身も良いけどこれはこれで旨し。
- 骨切りが少し甘かったようでところどころ小骨が障りました。これは練習を積めば解消できるだろうなと考えています。
- コノシロは寿司ネタでおなじみのコハダが成長したもので10cm前後のものをコハダ、15cm以上のものをコノシロと呼びます。コハダ同様に食べ方は酢漬けがメジャーです。小骨が多いので本来塩焼きには向かないのですがこのレシピのように骨切りをしてやれば美味しく戴けます。
- お好みでハーブと合わせて洋風の焼き物にするのもありだと思います。