1983年。
生まれてから18年間過ごした神戸の街を後にして岡山に引っ越しました。
岡山大学で化学を勉強するため──だったのですが初めての一人暮らしは勉学を忘れさせてくれるくらい(をい)刺激的でした。
級友の中には地元出身者も多数いたのですが彼らが自然に使う方言はほっこりと温かく馴染みやすいものでした。
「じゃて、そこは試験に出るて言うとったじゃろうが」とか
「そりゃ、おえまあ(=いけないだろう)」とか
「でえれぇ(=どえらく)、てぇへん(たいへん)だったんじゃ」とか
そんな彼らに「この料理に使っている魚は何?」って訊いたらきっとこう答えたことでしょう。
「サンマじゃが」
あ、料理名と繋がった。
って、前フリが長くなりましたが先週末によく行くスーパーに立ち寄ると缶詰の特売をやっていました。
どれでも1個98円!イマドキ惣菜缶がこのお値段はかなり魅力的。
中で目を惹いた「サンマの味噌煮缶」を思わずかごに入れてしまいました。
もちろんそのまま蓋を開けて箸を突っ込んで頂くという選択肢もあったのですがそれでは味気ないというかつまらない。
それで自分にひとつ課題を与えてみました。
「これを主食材にして1品作りな」
僕が出した答えはこれ。
「サンマじゃが」です。
肉じゃが風の味付けで缶詰の味に沿わせつつ更に風r味を深める工夫を凝らしてみました。
【材料】(1人分)
-調理時間:20分-
- サンマの味噌煮缶:1個
- じゃがいも:1個
- 玉ねぎ:1/4個
- 人参:1/3本
- 粉山椒:適宜
- サラダ油:少々
[煮汁パート]
- 水:材料がひたひたになるくらいの量
- 昆布出汁の素:小匙1/2
- 味噌:6g(小匙1)
- オイスターソース:6g(小匙1)
[調味料パート]
- 濃口醤油:9g(大匙1/2)
- 砂糖:4.5g(大匙1/2)
【作り方】
- じゃがいもは皮を剥いて乱切りにします。玉ねぎは櫛形に切ります。人参は乱切りにします。
- 小鍋にサラダ油と1.を入れて中火にかけて炒めます。玉ねぎがしんなりし始めたら[調味料パート]を加えて炒りつけるように炒めます。 ※この工程では水を加えないでください。野菜から水分がけっこう出るので焦げ付くことはありません。
- 2.に[煮汁パート]を加えてひと煮立ちさせアクを取ります。弱火にして蓋をし、7分煮込みます。
- 3.にさばの味噌煮缶を煮汁ごと加えます(缶に少量の水を加えて残った煮汁も溶かして加えます)。再び蓋をして4分煮ます。鍋の中身をざっくり混ぜます。器によそって粉山椒を振ればできあがり。
【一口メモ】
- 肉じゃが風の1品に仕上がりました。野菜もいろいろ入って主菜級のボリュームが出せます。元が缶詰とは思えない出来栄えと自画自賛。
- 煮込む前にメインの調味料で野菜を炒りつけることで味の染み方がぐっと良くなります。煮物全般に使える手法なので覚えておきましょう。
- 味付けの立役者は味噌とオイスターソース。これらを少量加えることで風味がぐっと複雑になります。
- 手持ちがあればインゲンを加えると色目が鮮やかになりますよ。