以前にも書いたことがありますが、街で売られている魚介類は関西と関東で随分違います。
その中のひとつが生食できる白魚。
体長2、3cmの小さな魚で名前の通り肌の色は真っ白です。
関西ではとんと見たことのない魚でしたが関東ではよく魚屋で見かけます。
白魚は横浜に越してくるよりだいぶ前からちょっと憧れていた魚で機会があればぜひ食べたいと思っていました。
そう思うようになったきっかけはとある時代小説でした。
宮部みゆきの短編連作小説に「白魚の目」という話がありましてその中で生きたままの白魚をおどり食いする場面が出てくるのです。
それを旨そうに食べる岡っ引きの親分の横で手下(てか)の1人がどうしても食べられないと漏らします。
あの小さな黒い目にじっと見られているようでどうにも哀れに思えて箸が伸びないのだと。
それを聞いた親分は「あれは白魚を食べると思うもんじゃない。春を食べると思ってつるつるってかき込むもんだ」と笑うのですが……。
担当した事件が後味の悪い結末を迎えた後、当の親分も白魚が食べられなくなってしまったという皮肉なオチが付いて物語は幕引きとなります。
流石に踊り食いは食べるのに勇気がいりそうですが、刺し身はどんな味がするのか食べてみたいとずっと思っていました──。
横浜に越してきてはや8年。
何度食べたか思い出せないほど白魚を食しました。
丼にしたり、塩辛にしたり、卵とじにしたり。
けど、いっとう好きなのはシンプルなこの食べ方かなと思います。
【材料】(1~2人分)
-調理時間:1分-
- 白魚:1パック
- おろし生姜:ひとかけ分
- 刻みネギ:少々
- ポン酢:適宜
【作り方】
- 白魚を小鉢に盛ります。ポン酢を回しがけます。刻みネギを散らして、おろしショウガをちょんと載せればできあがり。よく混ぜて頂きます。
【一口メモ】
- レシピと言うほどのものではないのですが、白魚の食べ方としては一番好きな方法なので備忘録的に残しておこうと思います。
- 江戸っ子はせっかちなのでそうめんのようにつるつるっと食べていたようです。僕は酒飲みなので熱燗片手にちびちび箸でつまんで食べています。
- ポン酢の代わりにたまり醤油をかけても美味しいですよ。