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魚料理(和食)

鱈の柳川風

最近知ったのですが"残欲"という言葉があるそうです。

子孫を残したい、名前を残したい、生き様(業績)を残したい、作品を残したい、足跡を残したいなど、要は生きた証を残したいという欲求のことらしい。

でおそらくは、「のちの世の人に褒めてもらいたい」という承認欲求とワンセットなのでしょう。

僕自身はそういう欲はあまり強くなくてピンと来ないのですが、人間というのはそうした欲を持つ生き物なのだろうということは理解できます。

残欲の帰結として人は様々な行動に出ます。

わかりやすいのは"自分の銅像を建てる"なんてやつですかね。

僕だったら誰かが僕の銅像を建てようとしたら(誰もしないだろうけど)、全力で阻止するけどな。

格好良いポージングなんかしている自分の銅像が駅前とかに建っているのって恥ずかしすぎるでしょう(笑)

あと、よくあるのは何かに自分の名前を付けるというやつですかね。

祖父が自分の名前の一文字を孫の名前に含めるといったごくプライベートなものはまだ微笑ましい気がしますが中には万人が知るパブリックなものに自分の名前を付けるのも恥ずかしい気がするんだけどな。

ビル、公園などなどに人名が付いているのを見かけることがありますね。

中には特権として命名権がもらえる類のものもありまして、小惑星、新種の生物、新発見された元素、新発見された古生物などは発見者に命名権が与えられるそう。

そういえば、小惑星に"イトカワ"なんてのがあった気がするな。

それに比べると料理に人の名前を付けるというのはだいぶお手軽な気がします。

たとえばタルト・タタン(リンゴの上にパイ生地が被さっている不思議なアップルパイ)は考案者のタタン姉妹の名前が付いていますし、フランス料理ではじゃがいもを使った料理の名前には必ずと言って良いほど"パルマンティエ"が付きます。

これの由来はアントワーヌ=オーギュスタン・パルマンティエという18世紀にフランスでじゃがいも料理を普及されたおじさんの名前にちなんでいるらしい。

ピッツァの定番、マルゲリータはイタリア王妃マルゲリータ・ディ・サヴォイアのナポリ訪問に合わせて考案、献上されたものだそうですが、王妃がたいそうこのピッツァを気に入ったのでそのまま彼女の名前が付けられたと言われています。

つまり、考案者じゃなくその料理がお気に入りの有名人の名前が付くこともあるわけですね。

料理名には人名だけでなく、それを名物とした店の名前が付くこともあります。

玉ひでの親子丼

万世のカツサンド

煉瓦亭のポークカツレツ

などは「この料理を出す店は数多あれどうちのは別格」という店の自負が込められている気がするな。

開いたドジョウを、ゴボウと共に甘辛い割り下で煮込んで卵でとじた料理を”柳川(鍋)"と呼びますが実はこれも店の名前にちなむもの。

江戸時代に神田にあった“柳川”という料亭の名物料理だったそうです。

僕は長いこと北原白秋の郷里の地名にちなむものかと思っていました。

柳川は今ではもう少し汎用的な使い方ができて、どじょうに限らず肉や魚とごぼうを煮て卵でとじた料理全般を指すようになりました。

鱈を使ったこの料理も"柳川"の一種ということになります。

鱈に限らず白身魚ならなんでもOK。

冷蔵庫に魚の切り身が一切れだけ残っている。

おかずにするにはボリュームが足りなさすぎるし、どうしよう──なんて時におすすめの1品ですよ。

【材料】(1人分) 

調理時間:16分-

  • 鱈の切り身:1切れ
  • 酒:5g(小さじ1)
  • 片栗粉:3g(小さじ1)
  • 揚げ油:48g(大さじ4)
  • 卵:1個
  • ごぼう:5cm
  • 野菜類:人参、葉野菜、椎茸などありあわせで

[煮汁パート]

  • かつおだし:100g(カップ1/2)
  • 濃口醤油:12g(小さじ2)
  • 味醂:12g(小さじ2)

【作り方】

  1. ごぼうはささがきにし、5分水に浸してあく抜きをします。野菜類は食べ易い大きさに切ります。「卵は卵黄を崩さないように卵白をよく溶き、ざっくり混ぜて白身と黄身が混ざりすぎないようにします。
  2. 揚げ油をフライパンに張って強火にかけ1分半温めます。待っている間に鱈は一口大に切って酒をふり、片栗粉をまぶします。油が温まったら鱈を重ならないように入れ、1分揚げ焼きにします。ひっくり返してさらに1分半揚げ焼きにし、引き上げて油をよく切ります。
  3. 2.のフライパンの油を片付けそのまま洗わずに[煮汁パート]を張ってひと煮立ちさせて、卵以外の具材を加えます。蓋をして中火で3分煮ます。
  4. 3.に卵を流し込み蓋をせずに40秒煮ます。火を止めて蓋をし、2分蒸らせばできあがり。

【一口メモ】

  • はんなりと優しい味です。それでいて鱈と煮汁は揚げ焼きの油を含んでいるので腹持ちがよく満足感の高いお惣菜に仕上がります。
  • 鱈は比較的安価な魚ですが、どう調理してよいかわからず敬遠されがちです。けど、このレシピのように片栗粉をまぶして揚げ焼きにしてしまえばブロックのお肉と同じように扱えてあんかけ、丼の具材、煮物などに応用できますよ。
  • 鱈の鮮度がイマイチと感じた場合は下ごしらえとして塩を少し強めに振って冷蔵庫で30分置いてください。これを酒で洗ってあとは工程2.の手順で揚げ焼きすれば臭みを抑えられますよ。
  • 野菜類はあり合わせで構いませんのでできるだけ多種類のものを使ってください。摂れる栄養素の幅が広がっておかずとしてのグレードが上がります。

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