僕が大学に入学した年、国民的な料理漫画の連載が始まりました。
その名は「美味しんぼ」。
バブル経済に向けて助走を始めていた時代背景もあって、『グルメ』という言葉が浸透し始めた頃。流行りモノのグルメとは一線を画して食文化の本質を問うというコンセプトのわりと硬派な漫画でした。
ずっと後には話がグダグダになったりとちょっと残念な感が否めませんが、当時は間違いなく食文化のフラッグシップ的役割を担っていた作品だったと思います。
彼らが目指す「究極のメニュー」や「究極」という言葉は流行語になりましたね。
最初の頃のストーリーでありがちな展開は主人公の父、海原雄山(料理版の星一徹みたいな人)が店の料理に激怒し、それを聞いた主人公が料理にアドバイスして再戦を挑み、海原雄山を唸らせる(あるいは黙らせる)というものでした。
あんな客がしょっちゅう来るなんて料理業界ってなんて大変なんだと思ったものです(をい)。
けど、だんだんこの展開もマンネリ化してきてそれを打破するために海原雄山が別の新聞社の監修となって料理対決を行うという設定が考案されます。
これが「究極のメニュー」と「至高のメニュー」の対決と呼ばれるものです。
記念すべき第一回の対決テーマは「卵を使った前菜」。至高側(海原雄山側)が出してきた料理がこの卵黄の味噌漬けでした。
料理自体はシンプルで素人にも簡単に作れるようなもの。
卵の卵黄だけを分離してぬか床のように敷いた味噌に落とし込んで2、3日漬け込むだけです。
新聞社の料理紹介ですから本来は読者に親しみが湧くようなこういうものであるべきでしょうね。
いつかは作ってみたいと思いながら放置していたのですが、数年前、冷凍卵を作ったのをきっかけに挑戦してみることにしました。
【材料】(2人分)
-調理時間:5分-
- 卵黄:2個分
- 味噌:適宜
【作り方】
- 卵はジップロックに入れて数時間冷凍します。一晩、冷凍庫に入れておけば間違いなし。
- 1.を器に入れ冷蔵庫に戻して解凍します。 ※ヒビが入っていると思うので卵白が漏れても大丈夫な器に入れましょう。
- ガーゼに味噌を塗ってラップを被せ薄く伸ばします。こんな感じ。
- 3.をひっくり返しておきます。2.を割って卵白と分離し卵黄を3.の上に載せます。こんな感じ。
- ラップをキャンディーのように包んで卵黄全体を味噌が覆うようにくるみます。こんな感じ。
- このまま一晩、冷蔵庫で寝かせればできあがり。
【一口メモ】
- 卵黄のねっとりと濃厚な風味が堪能できる一品。食感はかなり硬めで元の卵黄の食感とは別物です。卵かけご飯が大好きな方に特におすすめです。
- 逆に結構濃い味なので卵の風味が苦手という方には向かないかも。
- 美味しんぼではぬか床のようにたっぷり味噌を敷いて穴を開けて卵黄を落とし込んで漬け込む方法が紹介されていました。けど、味噌が勿体無いので冷凍してラップにくるむこの方式にしました。これなら大匙1杯程度の味噌で十分です。
- 今回、冷凍卵で作る方法を紹介していますが生卵でも美味しんぼ方式でやれば作れると思います。
- 漬け込み時間は一晩程度が頃合い。2、3日漬け込むと結構辛くなります。その場合は白いご飯に載っけて食べると吉かな。
- 残った卵白は塩と砂糖を加えて軽く泡立てて、卵焼きにして食べました。こっちも美味しかったですよ。