中島らもの短編小説に「日の出通り商店街いきいきデー」という作品があります。
世にも奇妙な物語でドラマ化もされたので、けっこう知っている人も多いかも。
どこにでもありそうな、ひなびた商店街『日の出通り商店街』では、年に一度「いきいきデー」というのが開催されます。
商店街の中の誰を殺しても罪に問われない奇妙なイベント。

商店主たちは商売道具を武器に闘います。
八百屋は包丁を仕込んだ大根を。
中華飯店は菜切り包丁を剣に、中華鍋を盾に戦うといった感じ。
電気屋の娘の電撃銃は金属に落雷のような銃撃を食らわせるので、刃物を持った男たちには脅威でした──
なんて、バカバカしいバトルが繰り広げられるストーリーなのですが、それを真顔でやっている俳優さんたちの心中……。

お察しします。
この話の着想って飲み屋で──
「商店街の中ならどの店が一番強いだろうか」
「花屋の鋏は強力な武器になるぞ」
「クリーニング屋のアイロン熱攻撃は防ぎようがないだろう」
なんて、バカ話をしていたのが元になったんじゃないだろうか、なんて僕は邪推しちゃいます。

酒好きな中島らもさんなら、さもありなんって気がするんですよね。
この物語のプロットはいわゆるバトルロワイヤルもの。
強者同士が最強を競って戦う話ですが、その真逆に様々な特技を持った強者が集結して敵と戦う、MarvelComicsのアベンジャーズ(アメリカンコミックでおなじみのヒーローたちがチームを結成して悪と戦うシリーズ)みたいなストーリーにもファンは熱狂します。
古くは七人の侍や荒野の七人、あるいは秘密戦隊ゴレンジャーに端を発する戦隊ものもこの系譜と言えるんじゃないかな。

2017年にオンエアされた『Infini-TForce』は、歴代のタツノコプロのヒーロー、科学忍者隊ガッチャマン、破裏拳ポリマー、宇宙の騎士テッカマン、新造人間キャシャーンが異世界の現代日本に転移・集結して敵と戦う物語で、子供の頃に夢中でオリジナルを観ていた僕もテンションが上がりました。
料理の世界でアベンジャーズ的なものと言えば、ラーメンの「全部のせ」かな。
叉焼、葱、メンマ、味玉、わかめ、もやし、コーン、海苔、きくらげ、紅生姜などなど。
どれが最強のトッピングかなんて議論はまどろっこしい。
全部載せてしまえば無敵だろう──あの発想が好きですねぇ。

2025年の暮れ。
毎年恒例のおせち料理作りにいそしんでいた時のこと。
いつものクセで何も考えずに塩クラゲを買っておいたのですが、定番の中華クラゲを作ろうとして手が止まりました。
「なんか、普通。もっと違うクラゲ料理が食べてみたいな」
と思ったのです。
で、ネットを検索していてこのレシピを見つけました。
上沼恵美子さんの秘伝らしい。

クリームチーズ、辛子明太子、マヨネーズ、カレー粉……そして塩クラゲ。
なんなんだ?
このおつまみ我儘セットは! こんなの旨いに決まってるやん。
ということで、2026年のおせち料理を飾ったクラゲ料理は、おつまみ界のアベンジャーズみたいな一品となりました。
【材料】(1人分)
-調理時間:33分-
- 室温に戻したクリームチーズ:40g(大さじ2)
- 辛子明太子:15g(大さじ1)
- マヨネーズ:4g(小さじ1)
- カレー粉:小さじ1/2
- 塩クラゲ:40g
【作り方】
- 塩クラゲを水(分量外)に30分浸けて塩抜きをします。
- 1.の工程終わりに合わせて、湯通し用のお湯(分量外、100mlくらい)を沸かしておきます。1.をざるに上げて沸騰したお湯に投入し30秒煮たらすぐに引き上げて流水で洗います。これを食べやすい大きさに切ります。
- 全ての材料をボウルに合わせてよく和えればできあがり。
【一口メモ】
- おせちのクラゲ料理といえば判で押したように「中華クラゲ」。それが嫌で目新しいレシピを探していて見つけたのがこのレシピ。上沼恵美子さんの秘伝らしい。うん、なんか新しい! そして旨い。
- 塩クラゲは塩抜きのあと、さっと湯通しするとゴムっぽい食感が抜けるので、ひと手間かけてください。
- 辛子明太子の代わりにイカの塩辛を使うと風味が変わって楽しいです。あと、練りうに又は粒うにの手持ちがあれば小さじ1ほどプラスすると、さらに贅沢なおつまみに変身しますよ。

