横浜に越して1年くらい経った頃のお話。
ある晩、けっこう馴染になったご近所の居酒屋さんに顔を出しました。
ここのウリは日本酒。
全国各地の純米酒が7、8種類呑めます。
しかも、行くたびに品揃えが変わるので、『今日はどんなお酒と出会えるかしらん』という楽しみがあります。
肴はご主人の手製で、素朴な料理が多いのですが拵えが非常に丁寧で好感が持てます(長いこと料理をやり付けているとそういうことはわかるようになります)。
達筆な文字で品書きを一品ずつ書いた短冊が壁に貼ってあるのですが、その日はちょっと変わったものを見掛けました。
『蛸のタタキ』?
タタキってやっぱりあれだよね? カツオで作ったりする。
気になったので早速注文。
すると「吸盤は好きですか?」と、ご主人。
うーん。
五十年以上生きて来てタコの吸盤が好きかどうか尋ねられたのは初めてかもしれない。
「まあ、そこそこ」と無難に答えると、吸盤たっぷりの軽く直火で炙ったタコの足が出てきました。
なるほど、活きの良さが自慢だったわけですね。
舌に吸盤が吸い付きそうな勢いでした。
ということで、あまりに美味しかったので作ってみました。
【材料】(2~3人分)
-調理時間:10分-
- タコ(水ダコがお薦め):200g
- 刻み葱:適宜
- ポン酢:適宜
【作り方】
- タコの両端に菜箸を刺し、両手で持ち上げられる状態にします。
- コンロを強火で着火し、タコをその上に持って行って炙ります。軽く焼き色が付くまで炙ったら氷水に投入して急冷します。
- 2.をぶつ切りにして刻み葱を散らせばできあがり。ポン酢で戴きます。
【一口メモ】
- 吸盤がコリコリして特に美味しいです。でも、おかずというより酒の肴かな。
- 生のタコには毒があるから火を通さないといけないと知人のドクターに伺ったことがあります。ネットを調べると意見が分かれていて良く分からないのですが、とりあえず、こういう食べ方なら安全かな。
- 特に焼き網がなくてもこの方法で炙り焼きはできてしまいます。逆にオーブンとかでは火が通り過ぎるのでNGですね。