どうやって料理を覚えたんですか?
と、人から訊かれることがあります。
それに対して「半分は母から、あとは独学で」と答えます。
僕の初めての料理の先生は母でした。
大学に入学して下宿することになった時、よく作る惣菜の手控えを戴きました。
それからも折に触れては実家に電話をかけては「あれが食べたいんだけど」といろいろ教わったものです。
やがて、料理に慣れてくると料理本を買ったり、後にはネットを活用してレパートリーを増やしていきました。
僕が子供の頃は祖母がよく母に料理の指南をしているのを見かけました。
そうやって、代々その家の味は伝えられていくものなんだなぁと当たり前のように思っていたのですが、もしかしたらそういう光景を見た最後の世代に僕は属するのかもしれません。
今どきはそうやって、お母さんが子供におばあちゃんが教えてくれた料理を教えるなんてご家庭の方が珍しくなったんじゃないでしょうか?
そう考えるとちょっと寂しい気がします。
この料理はネットで見かけたレシピ。
『母直伝』という文字に惹かれて作ってみました。
確かに時代は変わったけれど、こうやって見知らぬご家庭の味をネットを通じて誰かが引き継ぐというのも素敵なことだと思います。
マメに料理をする身にとってはネット文化はありがたい存在。料理の先生が何百万人にも増えたみたいで心強い限りです。
【材料】(1人分)
-調理時間:10分-
- ほうれん草:半束
- 大根おろし:1cm幅の輪切り分
- 刻み葱:適宜
- ポン酢醤油:適宜
- かつお節:適宜
- 刻み海苔:適宜
- すり胡麻:適宜
【作り方】
- ほうれん草は洗って根元を切り落とし、沸騰させた湯に入れて茹でます。まず軸だけ浸けて1分くらい、更に葉まで30秒くらいが目安。茹で上がったら、ざるに揚げて氷水で急冷します。
- 氷水で急冷することで色落ちを防ぎます。この技法を色止めと言います。
- 1.のほうれん草をよく絞って食べ易い大きさに切り、小鉢に残りの材料と合わせてよく和えればできあがり。
【一口メモ】
- 薬味に使える材料(葱、かつお節、海苔、胡麻)のオンパレードで風味がすっごく楽しいです。普通のお浸しのように醤油を使わずポン酢醤油にしているのも手柄。酸味がアクセントになって柑橘系の香りが全体を華やかに演出してくれてます。
- 分量の大半が「適宜」なのが如何にも家庭料理っぽい。昔のお母さんの中には醤油をくるっと回しがけてとか、カツ節をパッと入れてとか経験と勘だけで料理される方がよくいらっしゃいました。
- ほうれん草の代わりに春菊でやっても美味しそうです。春菊は独特の香りが苦手という方もいらっしゃいますが、風味の強い薬味を多数使っているので気にならなくなるんじゃないかな。