俗に三大洋食といえば、"カレー"、"とんかつ"、"コロッケ"なのだそうです。
三大洋食とは西洋料理も数あれど、その代表選手たる3つの料理といえばこの3品といったほどの意味です。
時代が明治になって、外国からもたらされた料理が庶民にも馴染み始めたのが明治の末頃から大正にかけて。
中でも人気があったのがこの三大洋食だったらしい。
けど、令和を生きる僕らからしたらちょっと違和感を覚えないでもない。
カレー、とんかつ、コロッケってホントに洋食?
と思ってしまいます。
だって、洋食と言えばレストランで食べるものです。
テーブルにナイフとフォークなどのカトラリーがセットされていて、パリっとした服装の給仕が分厚いメニューを持って注文を取りに来る──みたいなイメージが僕にはあります。
ところがカレー、とんかつ、コロッケが出されるお店と言えば軒先に暖簾がかかっている純和風のたたずまい。
格子戸を開けて中に入るとテーブル席以外に飲み屋のようなカウンター席もあって(お店によっては小上がりになった畳敷きのスペースもあったりして)、カレーを注文するとライスとカレーがワンセットになった皿になぜか福神漬けやラッキョウというどう見ても"洋食"ならざるものが付いてきます。
とんかつやコロッケを頼めばなぜか、ご飯に味噌汁がセットになった定食屋スタイル。
もちろん、ナイフもフォークも出てきません。
……、本当にこれが三大"洋食"? って思いたくもなりますやん(笑)
たぶん、明治の頃はこれらの料理は本当にハイカラでレストラン然とした洋食屋さんで供されていたのでしょう。
けれど、時代とともに僕らの生活に馴染んで……、馴染み過ぎて……、いつの間にか和食化したんじゃないかなというのが僕の仮説です。
で、和食になってしまった結果、珍しくもなんともないただの"おかず"に変貌した三大洋食はお店のみならず、家でも普段の夕飯にも出されるようになりました。
今日、紹介する料理はそういった"普段着のおかずに変貌した洋食"の先にあるものです。
ソースに使っているのはオリーブオイルと酢という和洋折衷のコンビネーション。
明治時代に出したものなら、家族はそのハイカラさに目を見張ったかもしれません。
けれど、21世紀の今、料理のレシピを解説しても「ふーん」で終わる気がするな。
時代とともに"特別"な料理も変貌します。
今から、50年先、100年先の食卓では何が特別で、何が普通になっているんだろう──ふと、そんなことを考えてしまいました。
【材料】(1人分)
-調理時間:8分-
- 豚ローススライス(できればしゃぶしゃぶ用の極薄のやつ):100g
- 茄子:1本
- 揚げ油:適宜
- 刻み葱:適宜
[ソースパート]
- ウスターソース:9g(大さじ1)
- 濃口醤油:9g(大さじ1)
- 酢:5g(小さじ1)
- 砂糖:3g(小さじ1)
- オリーブオイル:2g(小さじ1/2)
- いりごま:小さじ1/2
- ラー油:数滴
【作り方】
- 揚げ油を180度に温めます。待っている間に茄子はがくを取り、横半分に切ります。さらに6つ割りか8つ割りにします。[ソースパート]を合わせてよく混ぜておきます。油が温まったら、茄子を加えて1分半素揚げして引き上げます。
- 1.と並行して豚肉を茹でる湯(分量外)を沸かします。粗熱を取るためのざるを用意しておきます。沸騰したら豚肉を1枚ずつ菜箸でしゃぶしゃぶの要領で湯がき、肉の色が変わったら引き上げてざるの上に並べて冷まします。
- 茄子と豚肉を深皿に盛り付け、刻み葱を散らして[ソースパート]を回しがければできあがり。
【一口メモ】
- オリーブオイルと酢を合わせた和洋折衷のソースが決め手。数滴加えたラー油が刺激的なアクセントになります。
- 茄子は揚げ時間が長すぎるとくたくたになって食感が残念な感じになります。心持ち短めで引き上げるのがコツ。余熱で十分火は通ります。
- この[ソースパート]は揚げ野菜によく合います。冷蔵庫のあり合わせの野菜を素揚げして加えれば皿がぐっとにぎやかになりますよ。あと、豚肉の代わりに鶏むね肉かささみを茹でて細かく裂いて加えるのもありです。