とかく西に行きましても、東に行きましても、土地土地のお兄いさんお姉さんに厄介掛けがちなる若造です。
というのは、フウテンの寅さんのキメ台詞ですが、ホント日本という国は西に行けば行ったで東に行けば行ったでその土地独特の多彩な料理が楽しめる不思議な国です。特に江戸時代は幕府の政策で勝手によその土地に引っ越せない決まりでしたから、多くの人がごく狭いエリアで生涯を過ごしてきた結果なんでしょうね。食に限らず文化交流が起きにくかったんだと思います。
で、今日の料理。こづゆは福島県会津地方の郷土料理です。名前が表すように汁物なのですが、その特徴は内陸部の会津でも手に入れることができる海産物の乾物、主に干したホタテの貝柱で出汁を挽くこと。とはいえ、貴重で高価なものですから特別な日の祝い膳に供された特別な料理でした。朱塗りの椀に色とりどりの野菜。ほんのりと優しい味に会津の土地柄がしのばれる一品です。
【材料】(2~3人分)
-調理時間:95分-
- 干し貝柱の素(顆粒):5g
- 出汁昆布:3cm四方
- 水:600g(3カップ)
- 鶏もも肉:100~150g
- 里芋(中サイズ):2個
- 大根:3cmくらい
- 人参:1/3本
- ごぼう:15cmくらい
- 糸こんにゃく:半袋
- きくらげ:適宜
- (あれば)豆麩:適宜
[調味料パート]
- 濃口醤油:18g(大匙1)
- 味醂:18g(大匙1)
【作り方】
- 出汁昆布に料理バサミで細かくひだを入れ、水に1時間浸け込みます。きくらげは水で戻しておきます。
- 1.をやっている間に材料を食べ易い大きさに切ります。里芋は塩もみしてから5分ほど置き流水でよく洗います。更に大根、里芋は熱湯で5分ほど下茹でし、冷水にとって冷まします。(※里芋の塩もみと下茹ではぬめりで煮汁を濁らせないための技法です。)
- 1.を火にかけ沸騰寸前に出汁昆布を抜きます。これに豆麩以外の材料と[調味料パート]を加えて弱火で30分コトコト煮込みます。
- 3.に豆麩を加えて3分煮込めばできあがりです。
【一口メモ】
- ほんのり優しい味の汁物です。会津地方の郷土料理でお正月などハレの日には欠かせない一品だとか。辛口の日本酒との相性が抜群に良いですよ。
- 多品種の野菜を使うのがポイント、このレシピ以外なら椎茸やしめじなど茸類もお薦めです。鶏肉は本来は使わないのですが、家族の嗜好に合わせてお好みでといったところです。
- 本来は干し貝柱を使うのですが高価なので(良いものは数千円します)、お手軽に作れるレシピで組みました。もし、手に入ったら干し貝柱を一晩水で戻して本格的に作ってみて下さい。格段に味のグレードが上がります。戻した貝柱も具にして下さいね。
- 豆麩がない場合は豆腐か高野豆腐を小さめの賽の目に切って加えて下さい。
- だし汁が素晴らしく美味しいので、具が減ってきたらそうめんを加えてにゅう麺で戴くのもお薦めです。