昨日のエッセイにも書きましたが僕の生家は盛大におせち料理を作って食べる家庭でした。
で、おせちが完成した当初は1年に1度しか食べられない物珍しさもあって嬉々として箸を取るのです。
けど、2日目、3日目と日が経つにつれ、いくら好きなおかずでも飽きてきちゃうのは必定。しかも、人気のあるおかずからなくなっていくものだから後に残るのはイマイチ人気がないおかずばかり。……、だからなんで黒豆をどんぶり2杯も作るんだよぅ(黒豆好きな人ごめんなさい)。
最後は強制的に食べさせられるのが子供のころのお正月風景でした。
で、ふと思ったのです。あの頃は小学生でしたから『頑張って食べる!』以外の手立てを思いつかなかったのですが、今の僕なら「よし、全然別の料理にアレンジして目先を変えてやる!」って考えたでしょうね(いや、実際毎年のようにやってるし)。
このエッセイではおせち料理を最後まで美味しく頂くべく、目先ががらりと変わるアレンジのヒントをご紹介したいと思います。
おせちのアレンジ・テク
サンドイッチにしちゃう
とりあえずパンにはさんでサンドイッチのスタイルにしちゃうとわりと一気になくなっちゃいます。小さめに切ってボードゲームなどやりながらひょいひょいつまんでいるとあっという間に皿が空になっていますよ。
しめ鯖のサンドイッチ
特に僕がお勧めするのはこの1品。
確か美味しんぼで主人公の山岡さん、栗田さんの結婚披露宴に海原雄山をどうやって呼ぶか悩んでいるエピソードで紹介されていた料理だったと思います。僕は疑い深い性格なので「ホントに美味しいのかな?」と半信半疑だったのですが、食い意地が張っているので試作してみたことがあるのです。
作り方は簡単。サンドイッチ用のパンをこんがりトーストして、バターとわさびをたっぷり目に塗り、薄く切ったしめ鯖を挟めばできあがり。
バターとしめ鯖が意外に合うのにびっくりしました。ちょっと感動モノの美味しさですよ。
作り方に難しいところはあまりありませんが美味しく作るヒントをいくつか書いておきます。
- パンは生のまま使うのではなくトーストするところがポイントです。しめ鯖は水分を多く含むのでびちゃびちゃになっちゃいます。
- パンの出来不出来でグレードが大きく変わります。出来の良くないパンではしめ鯖に力負けします。なので評判の良いベーカリーで購入するか自分で焼くことをお勧めします。
- しめ鯖を自作する場合は1時間ほど浅めに漬けるのがコツ。長時間漬けると身が固くなります。ハンバーガーでもそうですがかぶりつく系の料理は使っている全ての食材で歯の食感を均一にする(同じ力で噛み切れるようにする)のがセオリー。たとえばハンバーガーのバンズがバゲットだと食べにくいことこの上ないですよね^^;
- わさびをホースラディッシュに置き換えると洋風のテイストに変身させることができます。これはこれで楽しい。
ローストビーフサンド
これは「旨いに決まっているだろ」と言われそう。
ローストビーフに限らず焼き豚や鶏の照り焼きなんかも王道中の王道ですね。生の食パンでも良いのですがこちらもトーストすると風味が変わって楽しいですよ。そして、残っている野菜類のおかずがあれば薄く切って一緒にはさんでしまいましょう。ただし、酸味が強いものや甘い味付けのものはお肉とけんかしそうなので避けるべきでしょう。
パスタや麺類の具にする
おせち料理を食べている期間はあまり白いご飯などは食べないので飽きてきてくる理由の1つは「炭水化物」に飢えるからなんじゃないかと僕は睨んでいます。なので、The.炭水化物である麺類の具材に使うのはナイスアイデアかも。
ペスカトーレ
ペスカトーレは和食でいうとアラ炊きのような魚介のパスタです。元々漁師さんが売れ残りを使って作るまかないのような料理なので、使う魚介は特に決まりはありません。
なのでおせちの中でも魚介系のお料理を総ざらえ、かまぼこやクラゲの酢の物など使っても面白いと思いますよ。作り方はざっくりいうとこんな感じ。
- まず、にんにく&玉ねぎのみじん切り、鷹の爪、オリーブオイルをフライパンに入れて中火にかけ香りが立つ前炒めます。
- これに海鮮系おせちとトマト缶1/2個、白ワインを加えて10分くらいかけて半分の量くらいになるまで煮込めばソースの出来上がり(途中、水気が足りなくなったら水を追い足してください)。塩、ブラックペッパーで味を調えます。
- 茹でたスパゲティにたっぷりかけて頂きます。
美味しく作るヒントは次の2つ
- 元々、ごった煮のような料理です。具材のチョイスは大胆に。トマトが味をまとめてくれるので多少酸味が強くても甘くてもOKです。
- 元のおせち料理に結構濃い味が付いていますので味付けは、慎重に味見をしながら行ってください。
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しっぽくうどん
このブログにもレシピを投稿しましたが香川の名物に「しっぽくうどん」というのがあります。
茹でたうどんに野菜などの具材を載せたうどんなのですが、具材は何を載せてもOK。
年末に蕎麦を頂いたのなら、年始にうどんというのもありかなと思います。レシピはこちらを参照ください。
ラーメン
「おせちも良いけどカレーもね」というキャッチコピーじゃないけれど(って、相当古いな^^;)、おせちに飽きてくるとカレーやラーメンみたいなちょいジャンクな料理がむしょうに欲しくなります。
袋入りのラーメンを1つ用意して(味は塩でも醤油でも味噌でも豚骨でもお好みで)、トッピングにおせちを使ってとびっきり贅沢な逸品を作っては如何でしょう?
アレンジのコツを1つ挙げるとおせち料理以外に冷蔵庫の野菜をプラスすること。栄養価の幅も広がるし、味の付いていない(または薄い)具材を混ぜることでラーメンとおせち料理という味の濃いもの同士のせめぎあいを緩和できます。
丼にする
これも麺と似た発想ですね。ご飯の上に何かおかずを載せれば丼の体を成します。
具材にあまりにもまとまりがなければ親子丼のように卵とじにすると美味しいですよ。卵の味付けは薄めに、但し、きちんと味を付けるのがポイントです。
グラタンにする
和食が中心のおせち料理に飽きてくると洋食が欲しくなるのは人情。
ちょっと凝っていますがホワイトソースを仕立ててグラタンにしちゃうのも美味しそう。海老などを使えばテルミドール風の贅沢な1品が作れますよ。
更に凝ったアレンジとしてはこの写真のようにジャガイモを半分に切っておせちを混ぜ込んだクリームを載せて焼くというやり方もお勧めです。
これを作るときはジャガイモは先にレンチンしておいてください。
しっかり炭水化物も摂れるし、大きなグラタン皿と違って小ぶりなのでお腹の空き具合と相談しながら食べたいだけ食べられるところも魅力です。
スイーツにアレンジする
おせち料理には甘い味付けのものも結構あります。なのでスイーツにしちゃうという手もありですよ。例えば、こんなのはどうでしょう?
黒豆のクリームチーズ和え
黒豆にクリームチーズを加えて和えるだけ。……、えと、料理とすら呼べない代物ですが黒豆の醤油系甘辛さは濃厚なクリームチーズに実は良く合います。元々、黒豆は苦手という人でも結構食べられますのでレッツ・トライ!
黒豆と抹茶のパウンドケーキ
あなたがお菓子作りが好きならばケーキにしちゃう手もあります。
黒豆を使うなら抹茶のパウンドケーキなどお勧めです。作ったことがある方ならご存じだと思うのですが、レーズンパンやパウンドケーキは意外に体積が大きくてたっぷり黒豆を使ってます感を出したければかなり大量の黒豆が必要です。つまり、どれだけ黒豆が残っていても一気に消費してしまえます。
ここまで来るともうおせち料理の原型を留めていませんね。普通に紅茶と一緒にアフタヌーン・ティーできちゃいます。あ、ほうじ茶でお茶するのもお勧めですよ。
栗きんとんDEモンブラン
これは栗きんとんを作りすぎた年に作りました。お正月が明けて7日を過ぎても家族の誰も食べてくれなくて困っていました。そこで……
こんなのを作って娘たちの前に並べたところ、5分後にはなくなっていたという次第。まったく現金な奴らです。
これの作り方はこんな感じ。さすがにスポンジ生地を焼くのはそれなりに気合がいるので市販のものを使うか抜きでもOKです。かわりに大きめのビスケットを敷いても楽しいですよ。
[材料]
[モンブランパート]
- 栗きんとん:150gくらい(あるだけ全部。栗はのけておく)
- 生クリーム:100ml
- グラニュー糖:18g(大匙2)
- ラム酒:5g(小匙1)
[スポンジパート](めんどくさければ、市販のスポンジを使うかクッキーのトッピングにしてもOK)
- 卵:1個分(以降の配合は卵1個を62g(実測)として計算しています)
- グラニュー糖:38g
- 薄力粉:34g
- バター:9g
- 牛乳:14g
[作り方]
- スポンジを焼きます。バターと牛乳を合わせて電子レンジの弱で30秒ほどチン。あとは余熱でバターを溶かします。卵とグラニュー糖を合わせてしっかり泡立てます(泡立て器を上げると落ちた生地がしばらく形を残すくらい)。さらに泡立て器を弱にして3分ほど泡立てます。これに薄力粉を加えて混ぜ粉っぽさがなくなったらバターと牛乳を加えしっかり混ぜます。180度のオーブンで30分焼いたらできあがり。
- 生クリームにグラニュー糖を加えて8分立てに泡立てます。これに栗きんとんとラム酒を加えて混ぜればモンブラン生地のできあがり。1.のスポンジにモンブラン生地を絞り出します。その上によけておいた栗をトッピングすればできあがり。(※この時は栗好きの次女に栗を全部食べられていたのでトッピングできませんでした^^;)
まとめ
美味しいからと言って毎日大トロ、中トロの握り寿司やサーロインステーキばかり食べていたら飽きちゃいますよね。飽きる原因は感覚の疲労によるものじゃないだろうかと僕は考えています。
例えば不快な臭いがする環境にいると最初はすごく気になるのですが、だんだん気にならなくなります。これは人間の嗅覚が疲労して感覚が麻痺する(臭いをかぐ能力が低下する)からだそうです。
あるいは、特別濃厚な蟹のスープを飲んだ後に極上の蟹料理を食べても全然蟹の風味が感じられず美味しくないんだそうです。これも味覚が疲労して味を感じる能力が低下するからです。(と、この前「真・中華一番」で言ってました)
「おせち料理に飽きる」という現象もこの味覚の疲労が一役買っているのかもしれません。その結果、「いつもの夕飯が食べたい!」と体が求めているといったたぐいの現象じゃないかなと僕は思っています。
だったら、カレーやラーメン、洋食などにシフトするのが吉。その際に、残っているおせち料理をプラスすればお重の中身も消費されて一挙両得です。
なので、おせちのアレンジのコツはこのおせち料理を他の料理にアレンジするという発想ではなく今、あなたが食べたい料理にどうやってプラスするかを考えたほうが賢明です。
だって、いくらアレンジに工夫を凝らしても出来上がった料理があなたの食べたい料理でなければあなたは満足感を得られないと思いますので。
その点、サンドイッチや麺類の具材、丼やグラタンなどは合わせる具材の自由度が高いので特におすすめかなと思う次第なのです。
2019/12/31 Tue.
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