「すぐ食べられる物がなにもない!」
冷蔵庫を覗いては娘がよく嘆いています。
我が家の食の方針は「食べたければ作れ」なので完成品の真空パックや冷凍食品の買い置きが全くないんですよね。
なので何かちょっとつまみたいという時にはとても不自由です。
おやつですら
「クッキーが食べたければ焼け。ゼリーが食べたければ煮て冷やせ」
なのでさすがに度が過ぎているかなと自分でも思うのですがwけれどほんの200年くらい前まではこれが当たり前の暮らし。
冷蔵庫すらありませんでしたから僕らはずいぶん贅沢な不自由さを感じているものです。
食べたい時にすぐ食べられる──このニーズに応えるべくニコラ・アペールが瓶詰を考案したのは1804年。
今から丁度220年前のことです。
思えばこれが工業生産されるインスタント食品の第一歩だったんですよね。
彼はこの瓶詰でナポレオンが募集していた軍用食のコンクールに優勝しました。
けどそのうち
「瓶詰は重たい! それによく割れる」
という声が挙がって缶詰が考案されました。
「缶詰も重いしかさばる。それに開けるのが面倒」
という声にお応えして冷凍食品が登場したのは1900年代。
アメリカで冷凍冷蔵庫が家庭に普及しだした1920年代から徐々にいろいろな冷食が販売されるようになったそうです。
今から丁度100年くらい前ですね。
ちなみに世界初の冷食はジャム用の苺だったらしい。
「でもでも、戦地や登山に持って行くには冷凍食品は途中で溶けるから無理」
またまたそんな声が挙がりましていよいよ軽くて持ち運びが便利なインスタント食品が登場しました。
世界初のインスタントラーメンと言われるチキンラーメン発売は1958年。
今から66年前──わりと最近だな。
それまではお湯をかけただけですぐに本格的な麺料理が食べられる生活なんて思いもしなかったわけですからなんか凄い時代に僕らは生きているんだなと改めて思います。
「すぐ食べられる物がほしい!」
うちの娘のようなわがままをいう人たちのあくなき欲望がインスタント食品の技術を怒涛の勢いで進化させたわけです。
けど、そういった技術がなくても実はインスタント的に簡単にできちゃう料理というのは意外とあったりします。
キッチンが使える家で食事する分にはそれで充分じゃないかしらんというのが我が家の食の方針「食べたければ作れ」に繋がっているのです。
たとえばこの一皿だって切って、炒めて、味を付けるだけ。
僕的にはこれだって一種のインスタント料理だと思っちゃうのですが……やっぱりダメ?>娘
【材料】(2~3人分)
-調理時間:10分-
- 茄子:中サイズ1本
- エリンギ:1本
- バター:10g
[調味料パート]
- ポン酢醤油:7.5g(大匙1/2)
- 塩:1g(小匙1/6)
- 粗挽きブラックペッパー:少々
【作り方】
- 茄子はがくを取り5mm幅の斜め切りにして水(分量外)に5分晒します。エリンギは傘を切り落としてから縦半分に切り更に5mm厚の半月切りにします。傘は細切りにします。
- フライパンにバターを入れて中火にかけます。バターがほぼ融けたら水気を切った茄子とエリンギを加えてバターを吸わせながら茄子がしんなりするまで炒めます。
- 2.に[調味料パート]を加えて絡めながら水気がほぼなくなるまで炒めればできあがり。
【一口メモ】
- こってり系のバターとさっぱり系のポン酢って風味が綱引きしないか? と思えますが意外に合います。というか程よい酸味が利いたバター醤油味はクセになる旨さですね。
- もちろんおかずとしても美味しいのですが絶対ビールが欲しくなる味です。調理にかかる前に飲みたいお酒を冷蔵庫に入れておきましょう。
- 切る、炒める、味を付ける→完成というお手軽料理なのでおつまみが切れそうになった時でもパパっと作れてとても重宝する一皿です。こういうレシピの引き出しを増やしておくと冷凍食品やインスタント食品に頼らない晩酌ライフが楽しめますよ。