春には芽を。
夏には葉を。
秋には実を。
冬には根を食べなさい。
お料理時代小説「みをつくし料理帖」に出てくる言葉です。
野菜は季節ごとに美味しい旬となる部位が異なることを僕らのご先祖は経験から知っていたんですね。
いやいや夏に出回る夏野菜は葉じゃなくて実を食べるじゃんというなかれ。
それはちょっとした認識の行き違いだと思うのです。
まず、春夏秋冬が江戸の昔と今では時期が1ヶ月ほどずれます。
太陽暦を採用している現代の2~4月が太陰暦を使っていた江戸時代の春なのです。
同じように夏は今の5~7月。
8月~10月が秋なんですね。
なので僕らが夏野菜と呼んでいるものの旬は半分秋に足をかけているわけです。
加えて江戸の昔にはなかったトマトやきゅうりなんて野菜は当然みをつくし料理帖のあずかりしない想定外です(きゅうりなんかは昔からありそうな気がしますが実は本格的に普及したのは昭和になってからです)。
とまれ、今年は早々に梅雨が明けて夏がやってきました。
毎日暑いのはうんざりですが夏野菜は僕の大好物です。
水気をたっぷり含んでそのままかぶりつけるものがたくさんありますし、色が鮮やかなものも多くて楽しい。
火を通さなくても食べられるから短時間で調理ができて見た目も鮮やかな盛り付けになる──そんな夏野菜たちを使ってこんな料理を作ってみました。
【材料】(1人分)
-調理時間:5分-
- トマト:半個
- きゅうり:半本
- もずく:1カップ
- 塩:少々
[漬け汁パート]
- 酢:7.5g(大匙1/2)
- 濃口醤油:6g(小匙1)
- 砂糖:3g(小匙1)
- 塩:ひとつまみ
- すりごま:小匙1
- おろし生姜:ひとかけ分
【作り方】
- まな板に塩少々を振りその上にきゅうりを載せて手のひらで押し付けるように転がして板ずりします。きゅうりのヘタを落として薄くスライスします。トマトは1cm角のさいの目に切ります。
- [漬け汁パート]を器に合わせてよく混ぜます。これにトマト、きゅうり、もずくを加えて大きめのスプーンなどで和えればできあがり。
【一口メモ】
- 酢の物は夏のごちそう。色鮮やかで水気をたっぷり含んだ夏野菜を使えばそれはもう至高あるいは究極のごちそうですね。一口食べるだけで汗がすっと引くような気がします。
- 使う野菜はこれ以外にもオクラや揚げ焼きした茄子、かぼちゃ、とうもろこしなどを加えても美味しいです。野菜の色合い、コントラストに気を配れば盛り付けも楽しいですよ。
- 手持ちがあればだしの素少々を加えてください。旨味が加わって風味がキリッと引き締まります。