「本場」とは。
ある物事が本式に行われる場所を指す言葉です。
フランス料理の本場、イタリア料理の本場、本場のインドカレーなどなど。
この「本場」という言葉には威圧を孕んだ魔力が込められているんじゃないかなと僕は思うことがあります。
「本場のカルボナーラでは生クリームは使わないんだ。生クリームを使うのは日本独自。おそらく日本のイタリア料理店が皿単価を上げるために始めたことだろう。本場のカルボナーラで使うのは卵オンリー。しかも卵黄のみを使って卵白は捨てる。それによって濃厚なとろみが──」云々。
なんかこんな解説をされちゃったら反論しにくいですよね。
「本場がそうなんだから異論は認めない」
と最初から釘を差されているようでちょっと卑怯な気さえしますw
けどね状況を逆転させて想像してみてください。
「本場の味噌汁というものはね──」
どこかのレストランでイタリア人がこんなご高説を垂れていたらどうでしょう。
本場の味噌汁?
なんじゃそら。
味噌汁なんて家によって具材も作り方も味もぜんぜん違うぞ──なんて思っちゃいませんか?
「いや、ちがうちがう。味噌汁というものは日本人にとって……」
ちょ、もうやめて。
恥ずかしい!
そんなごたいそうな物じゃないから。
日本人だってカップにお湯を注ぐだけの味噌汁を日常的に飲んじゃってるから。
なんなら最後に出汁を挽いてまともな味噌汁を作ったのがいつだったかも忘れていたりするから!
そう。
誰がどんな縛りを定義しようが、誰がどんな権威付けをしようがカルボナーラはカルボナーラ。
味噌汁は味噌汁。
もっと自由な料理であってしかるべきなんだと思います。
南蛮漬けは一般には揚げた魚や肉に辛くて甘酸っぱいタレをかけた料理です。
けどね、主食材が魚であるべきって誰が決めた?
野菜を使った南蛮漬けがあったって良いんじゃないかなと思ってこんな皿を作ってみました。
けっこう美味しいじゃん。
そして低カロリーでとってもヘルシー。
とまれ、今度からカルボナーラの話をする時は周りに本場のイタリア人がいないか確かめてから口を開こうっと。
【材料】(2人分)
-調理時間:10分-
- 茄子:1本
- 揚げ油:48g(大匙4)
- 玉ねぎ:1/4個
- 人参:3mm厚のスライス2、3枚
- ピーマン:半個
- ごま油:4g(小匙1)
- 刻み葱:少々または大葉1枚
[漬け汁パート]
- 鰹出汁:15g(大匙1)
- 濃口醤油:18g(大匙1)
- 味醂:18g(大匙1)
- 酢:15g(大匙1)
- 砂糖:5g(小匙2弱)
- 鷹の爪(小口切り):半本
【作り方】
- 玉ねぎ、人参、ピーマンは細切りにします。
- [漬け汁パート]を合わせてよく混ぜ、1.を加えてよく和えておきます。
- フライパンに揚げ油を張って強火にかけ2分温めます。待っている間に茄子のがくを取り7mm厚の半月切りにします。油が温まったら茄子を投入して途中で返しながら焼き色が付くまで揚げ焼きにします(約1分30秒)。
- 3.の工程が終わったら茄子をかす揚げで掬いあげて油をよく切り器によそいます。上から2.をかければできあがり。冷蔵庫で冷やして戴きましょう。
【一口メモ】
- 味は……当たり前ですけど南蛮漬けの味がします。けど、魚の代わりに揚げ焼きにした茄子を使っているのでだいぶさっぱりした風味かな。主菜がお肉など重めの料理の献立の副菜にぴったりです。
- [漬け汁パート]に水溶き片栗粉でとろみを付けて冷ませばしっかり固まるのでお弁当のお菜としても楽しめますよ。
- 食欲が落ちる夏場はむしろ魚や肉の南蛮漬けよりむしろこっちの方がごちそうかも。おそうめんだけで済ませるのじゃなくてこういった皿を合わせると栄養バラスも良くなります。