宮部みゆきは現代物も時代物も書き分ける器用な作家です。
彼女の初期の江戸物短編集「初ものがたり」は主人公の茂七親分を高橋英樹さんが演じてNHKのドラマになりましたので記憶されている方も多いのではないでしょうか?
その中の一話に「白魚の目」というお話があります。
茂七親分は春先に獲れたての白魚に酢をかけてつるつるっと食べるのが大好物。
ところが、子分の糸吉は白魚が食べられないと言います。
生き物を喰っているという実感が生々し過ぎて好きになれない。
あの小さな黒い点々のような目で見つめられると箸をつける事ができないと。
それを聞いて親分は「馬鹿野郎あれは生き物を喰ってるんじゃねぇ。春を喰ってるんだ」と笑うのですが……
というお話。
生食用の白魚が安かったので買って参りました。
握るのは技術的にちょっと難しいかもと思い、丼のスタイルにして、香味野菜いろいろを加えてさっぱりした味わいに仕上げています。
で、自分も糸吉みたいに白魚の目を見た途端食べられなくなったらどうしようとか思っていたのですが、その目を見た途端に思ったことは「早く食べなきゃ白魚がぬるくなる」でした^^;
根が薄情にできてるんでしょうね(つか、食い意地張り過ぎ)。
ちなみに、宮部みゆきの「白魚の目」はビターエンドで閉じるお話ですがお薦めの1作です。
【材料】(1人分)
-調理時間:5分-
- すし飯:1膳分
- 白魚:適宜
- ポン酢:12g(小匙2)
[香味野菜パート]
- 白ねぎ(白いところ):3cmくらい
- 大葉:1枚
- 三つ葉:半束
- 生姜:ひとかけ
- 茗荷:半本
【作り方】
- [香味野菜パート]を微塵切りにしてすし飯によく混ぜ込みます。
- 白魚をこんもり載せてポン酢をかければできあがり。
【一口メモ】
- すっごくさっぱりして美味しいです。白魚は冷蔵庫でよく冷やしてぬるくならないうちに戴きましょう。
- このすし飯&香味野菜は他のお刺身でも結構楽しめそうです。変わったところでは炙ったささみなどもいけそう。