21世紀が始まった年。
うちの会社は東京に本社を持つことになりました。
いわゆる関東進出というやつですかね。
で、その頃組んで仕事をしていた相方と交代で週の半分ずつ東京に出張して新しいお客さんの開拓に勤しんでおりました。
もちろん、仕事ですし、ホテル暮らしではあるのですが初めての東京生活はなかなか新鮮でテンションが上がるものでした。
勢いランチもついつい目新しいお店を探しがちで新橋と浜松町の間くらいにあるトンカツの専門店に行ったりしましたっけ。
今思うと結構高級なお店でした。
ランチタイムをだいぶ過ぎていたこともあってお客は他におらず店内は静謐そのものでした。
目の前で揚げてくれるスタイルなのですが油を温めるご主人の目が真剣でこっちまで緊張しちゃいました。
小さなパン粉を油に放り込んでは浮き上がってくるまでの時間で油の温度を確かめていよいよカツを投入──いや、ホント目が怖いんですけど……どうぞと出されたロースカツ定食はその真剣な眼差しに似つかわしいキリッとした味わいでした。
あれから二十余年、福井の新名物らしいこの料理を作っていてふとその店の静謐さを思い出しました。
切れ味抜群の名刀の如き醤油の味わい。
この一杯はあの店の佇まいに通じる味わいがあるような気がしました。
【材料】(1人分)
-調理時間:10分-
- ご飯:1膳分
- とんかつ用豚ロース:1枚
- 塩、ブラックペッパー:少々
- 卵:1個
- 薄力粉:少々
- パン粉:適宜
- 揚げ油:適宜
- 大根:1cmの輪切り
- キャベツ、人参などの野菜類:たっぷりめ
[タレパート]
- 濃口醤油:24g(大匙1+小匙1)
- 味醂:6g(小匙1)
- 砂糖:6g(小匙2)
- かつおだしの素:少々
【作り方】
- 揚げ油を170度に温めます。豚肉の筋を切って塩、ブラックペッパー、薄力粉をまぶします。よく溶いた卵をくぐらせてパン粉をまぶし、再度卵をくぐらせてもう一度パン粉をまぶします。 ※卵液とパン粉を二度付けすることで衣が熱くなり火の通りが柔らかくなります。
- 1.のトンカツを揚げ油に投入し片面2分ずつ合計4分揚げます。揚げ上がったら肉を立てるようにして油を切ります。 ※肉を寝かせずに立てると油はよく切れます。
- 2.をやっている間に大根は皮を剥いておろします。野菜類は千切りにします。[タレパート]を合わせて電子レンジの500ワットで1分チンします。
- 丼にご飯をよそい、たっぷりの野菜の千切り、1cm幅に切ったカツ、大根おろしの順に載せていきます。上から[タレパート]をたっぷりかければできあがり。
【一口メモ】
- 甘辛く仕上げる一般的なカツ丼とは別物。少し甘めに調整した醤油のキリッとした味わいが楽しめる一杯です。甘さ控えめがお好きな方は砂糖の量を加減してください。
- 醤油カツ丼は2010年頃に福井県にあるお醤油屋さんで考案されたカツ丼だそうです。今では福井のご当地カツ丼になっているそうですよ。
- ポイントはたっぷりの野菜を使うこと。キャベツの千切りの代わりに大根のツマを使っても良いですし洋風にレタスを使うのもありです。
- [タレパート]の代わりにめんつゆを使うとかなりお手軽に作れますよ。