もうずいぶん前からの風潮だと思うのですが、ネットのつぶやきなどで職場の宴会に出たくないとヘイトする意見をよく見かけます。
一昔前の僕なら「いや、そういうところで人脈を作るもんだ」とか「学生じゃないんだから大人の付き合いと割り切らなくちゃ」とかおっさん臭い説教を垂れてたと思うのです。
けどね、近頃の職場の宴会を見ていると、思わず彼らのつぶやきに頷いてしまって「あんな宴会なら出なくてもいいかな」と思ってしまいます。
だって、本来の狙いのノミュニケーションとして機能していなくて個々人が勝手に飲んでるだけなんだもん。
思い出したように適当に隣の人と喋ってるだけなんですもん。
何より席によっては、ぽつんと孤立して家で飲んでいるのと変わらない人がいる。
そんな席があちこちあるのに幹事が気付いてない。一言で言えば楽しくない!!のです。
言っちゃなんですけど、入社3年目くらいからバブル期を迎えた僕らの世代が企画する宴会はもっとユニークで誰もが楽しめたものでしたよ。
それは別に金に物を言わせていたわけではなく寧ろ如何に安く上げるかは幹事の腕の見せどころ。
その上で、場の空気が温まって誰一人つまらないとは言わせない企画を知恵を絞って考えたものです。
あ、ヤダヤダ。おっさんの愚痴モードスイッチ入っちゃった。けど、めげずに書くのだ。
かと言ってビンゴゲームなどで長々と時間を取るのは愚の骨頂。
職場の宴会の主目的は普段しゃべらない人達との会話なのですから、「おしゃべりは止めてセンターに注目」なんてコーナーは最小限に抑えてました。
今の宴会の幹事の仕事を見てるとこんな流れですかね。
- 予算設定をして適当な店を探す。
- 店にコースと飲み放題を予約する。
- 部署内に案内を回す。当日集金をして後はご歓談下さい。
以上──僕に言わせればこんなのは幹事と言いません。ただのパシリです。
って、ドヤ顔であの頃は良かったと言っていてもつまらないので一つ宴会を企画してみましょうか。
目次
コンセプト
全員参加型宴会。
主目的
普段縁のない人と会話をする。
予算
4000円/1人徴収(職責による段差なし)。(最終的に3000円/1人を目指すが参加者にはシークレット)
店
グルメサイトなどで平均飲食代2000~3000円の店を探す。おしゃべりが主目的なので安い店で良い。
メニューを調べて平均皿単価が500円くらいの店が狙い目。
特に料理のコスパと味の評判が良い店を選ぶ(決まったら事前に食べに行くのがベター)。
数人ごとのテーブル席の会場がある店を押さえる。
料理と酒
コース料理はオーダーせず人数だけ伝えてアラカルトで注文する旨、伝えておく(これがこの企画の肝です)。
酒は飲める人が多ければ飲み放題を予約。ただ、メンツによってはバラで頼んだ方が安くつくことを経験則から知っています。
宴会の企画進行
好きな席に着席させ宴会のルールについて説明
ルール1
料理と酒は勝手にオーダして下さい。オーダーしたらお手元のチップを小皿に投入すること
投入するチップの枚数は料理や酒の値段によって違います。
300円未満なら1枚、500円未満なら2枚、500円以上なら3枚投入して下さい。
ルール2
最終的にそのテーブルのチップの枚数が一番少ないテーブルを本日のコスト・ウィニングテーブル(安上がりなテーブル)として素敵な賞品を差し上げます。
ルール3
但し、30分毎に何人かずつテーブルを移動してもらいシャッフルを行います。最後まで今の席に座っているなどと甘いことを考えないように。
逆に自分がシャッフルされることに賭けて高い料理や酒を注文するのもあり(今座っている席はライバル席になりますから)。
宴会開始
27分経過でシャッフルメンバーを指名。
29分経過で指名された人はスタンドアップ。10秒前からみんなでカウントダウンして移動(この辺のノリはなんかバブル期っぽい^_^;)。
シャッフルメンバーの選定方法
シンプルなところでは入店時に番号札を渡しておいてビンゴゲームのガラガラを回すなんてのが盛り上がりそう。
その場合は空札が出ないよう、ビンゴの玉➗人数分、複数の番号札を渡しておくとスピーディーです。
さて、1時間経過、2回めのシャッフルが終わったところで素敵な賞品のお披露目。
賞品は高価なものよりウケ狙いの路線で。
むしろ、市販品でなく意外な人の手作りお菓子だとかそういったものの方が面白いかも。部長の手作りクッキーとか──この辺は幹事の交渉力にかかっています。
ここで、女性陣にお菓子の試食をしてもらうと盛り上がる。
シャッフルも3巡目が近づくと勝敗の行方が気になり始めるところ。
まだシャッフルに当たっていない人が他のテーブルに偵察に行ったり、行きがけの駄賃に追加注文したり場は賑やかになる──ように幹事が上手に煽る。
幹事は時々、チップの少ない席に就き、敢えて高い料理をオーダーして場を荒らし(=盛り上げ)たりする。
このように常に全てのテーブルに目を配って、つまらなそうにしている人がいないか、料理や酒が行き渡っているか気にかけるのも幹事の大事な仕事です。
宴会終了。チップを数えて部長から賞品の授与式。そのまま部長に締めのお言葉を頂いてお開き。
精算
1テーブル6人、平均皿単価500円とすると。15品頼んだら1人あたり1250円。20品頼んでも1人あたり1666円。
2時間飲み放題単体の相場は1200円〜1500円くらいなので3000円前後(多分、3000円を切る)で収まります。
あと、酒1人平均1500円ってかなり呑助が揃っている印象なので下戸や女性、年配者が多目の宴会なら飲み放題を外すことで更に安くあげられる可能性大ですね。
徴収した会費は4000円ですので後日、キャッシュバック。
「今回の宴会は3000円で上がりました♪皆様安価な宴会へのご協力ありがとうございました」みたいな一斉メールを発信。
あるいは、キャリーオーバーとして次回宴会に持ち越すことを宣言。
「今度の宴会はめっちゃ安くつくよ。参加せんと損やで」と煽って参加率アップを図るのもあり。
企画の狙い
- 最初は自由に座らせるので顔見知りが集まりやすく場が温まり易い。そこからシャッフルしていくことで面識の薄い者同士の会話に繋いでいく
- 同じメンバーでの会話時間は長すぎず短すぎず30分に設定。これはオーダーした料理が来ない間に席を替わらせられるリスクを廃する意味もある。
- 参加メンバーには宴会価格は一般的な値段を提示。後日、キャッシュバックすることでお得感を強調する。
- 更に飲み放題を外せば下戸の人の割高感も薄くなる。
おわりに
ちょっと病気をしてただ今入院中。
暇を持て余していたので、一例ですが宴会の企画を立ててみました。
結構おもしろかった♪
いや、そこまでしたら幹事は大変過ぎだろうと思った方もいらっしゃったんじゃないでしょうか。
けどね、幹事ってのはウエディングコーディネーターなんかと相通じるものがあると思うのです。
- 綿密に企画を練り上げる。
- お店を厳選する。
- 宴会の進行役、盛り上げ役を務める。
- 浮いている人がいないか、料理や酒が行き渡っているか目を配る
- 最後はきっちり締めて、参加者全員から「楽しかった」と言ってもらう。
それができてなんぼ。それが宴会の幹事なのです。
僕がまだ新入社員だった頃、先輩からこんなことを言われました。
「宴会の幹事ができるやつは仕事もできる」
あの頃、僕も幾度となく宴会の幹事をさせて頂いて、プロジェクトの中での気配り、目配りを覚えていった気がします。
参加者はゲスト。幹事はホスト。ホストの力量でゲストを最大限に楽しませましょう。
そしたら、職場の宴会なんか出たくないなんてヘイトも、うんと減るんじゃないかな。
2020/01/29 Wed.