小学校の頃、「未開の部族の中には数を数えられない人々がいる」という話を聞いたことがある気がします。
子供同士の噂だったのか先生が雑談でしゃべったのか定かではないのですが、彼らの数の概念は、
ひとつ、ふたつ、いっぱい
だというのです。今考えると何だか未開の部族に対して大変失礼な話にも感じますが印象に残っています。
でも、数を数えられない人ならこの国にも山ほどいるんですよね
仕事をしていると日々、『課題』というものが積み上がっていきます。
その『課題』を潰していくのが僕のメインの仕事といっても過言ではないくらい次から次へと発生します
課題管理の苦手な人って結構いるのですが、大きな特徴がいくつかあります。
その最たるものが冒頭に書いた「数を数えられないこと」なのです。
彼らが課題の報告をする時よく口にするのが「課題がいっぱいあります」的な言葉なのです。
いやいやいや、日本野鳥の会だって野鳥を観察していて「野鳥がいっぱいいる」とは言わないでしょ。「野鳥があの木に52羽とまっています」といった報告をするはずだよ。と言ってやるのですが混乱している様子。
課題管理の第一歩は一覧表に課題を列記して番号を振ってやる事です。
で、「No.2の課題」とか「No.3の課題」と呼ぶことで初めて課題を見付けた人と他の人で課題が共有できるのですが、課題管理の苦手な人はこれが苦手みたいです。
仕方がないので一つ一つ聞きながら一覧表を埋めていくと「いっぱい」と言われていた課題はたいていの場合、3~5個程度に整理できるんですね。
冷静に数えてみるとびっくりするくらい少ない数ですんじゃうことが多いのです。
つまり、彼らの数の概念も「ひとつ、ふたつ、いっぱい」なわけです。
こうなってしまうメカニズムは容易に想像できます。
課題を目にした時、人は誰でもうんざりします。うんざりしながらもそれが仕事なら仕方がないから解消にかかります。
そこに別の課題が発生してしまうと、さっきに輪をかけてうんざりします。
うんざりしながら「せっかく、こっちの課題を解消しようとしているのにこっちのも何とかしなきゃ」と考えます。
そこにまた別の課題が発生するとパニックを起こし始めます。
「俺はどの課題から手をつけたら良いんだ~」ってね。
更にそこに別の課題が発生すると今度は思考停止を起こします。
「もう、どうにでもなれ」
この心理状態が数を数えらない原因です。
そう、本当に数えられないのではなく、数えること=課題を管理していくことを放棄しちゃってるわけです。
生きている限り仕事でも私生活でも課題や問題は生まれ続けます。
間の悪いことに課題が立て続けに生まれるというのも往々にしてあることです。
そんな時は一つ深呼吸して課題の数を数えてみましょう。
まず間違いなく10も20もあるわけではなく、せいぜい4つか5つ。
「なんだ、俺はこんなことでパニックになっていたのか」と笑っちゃいますよ。