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厨房日誌

出来すぎた都市伝説

都市伝説の定義って何でしょう?

噂話の1ジャンルではあると思うのですが、噂話と一つ大きく違う点があります。

それは噂話が短期間で消滅するのに対して(日本の慣用句では人の噂も七十五日と言われます)、都市伝説は往々にして何年、何十年も語り継がれて消滅しないものがあることじゃないでしょうか。

逆に噂話と共通する点は情報の発信源が分からないこと。

「いとこのお兄さんが学校の友人から聞いたんだって」といった風に又聞きの形式で語られるのが普通です。

僕が小学校の頃はノストラダムスや超能力が大ブームでしたので、耳にする都市伝説もオカルトテイストのものや怪談めいたものが多かった気がします。

口裂け女、夜中にグランドを走る二宮金次郎像、コックリさんにまつわるものなどなど。

ちょっと不気味なのですが、明らかにそれはないだろうと即断できちゃう他愛のない話がほとんどでした。


僕は結構、そういう話を聞くのが好きなので今でもちょくちょくネットで検索してみるのですが、中には非常に良くできた話を見掛けます。

たとえば「赤い部屋」と呼ばれる都市伝説。
引っ越してきた部屋の壁に小さな穴が開いています。

語り手が覗くと隣の部屋が見えるのですが赤一色の部屋なのです。

薄気味悪く思いながら語り手は荷解きを始めます。

それから数日、思い出したように穴を覗くのですが赤一色でいつ覗いても人がいる気配はない。

ある日、管理人さんに「隣の人はどういう人なんですか?」と尋ねたところ……

「ああ、病気を患ってる娘さんでね。ずっと引きこもっておられるんだよ。その病気のせいで目が真っ赤でね……」

まんま、ニーチェの『おまえが長く深淵を覗くならば、深淵もまた等しくおまえを見返すのだ』を具現化したような話です(^^;

あるいは「井戸」と呼ばれる都市伝説。

語り手は子供の頃、友人と喧嘩してはずみでその友人を死なせてしまいます。

彼は友人の死体を家の裏手の井戸に投げ込むのですが不思議なことに次の日に見に行ってみると死体はなくなっていました。

それからも、学校の嫌いな先生、先輩、長じてからは恋人、職場の上司など語り手は何度も人と諍いをしては相手を死なせてしまいます(って、どんなやつやねんというツッコミはなし)。

都度、家の裏手の井戸に死体を投げ込むのですが次の日に見に行くと死体はなくなっておりました。

ある日、語り手は母親と口論になり母親を死なせてしまいます。

で、例によって井戸に死体を放り込みました。次の日に井戸を見に行くと……
死体は消えずにそこにありました。

誰が今まで死体の処分をしてくれていたのかが最後の最後にわかる仕掛けです。

特に二つ目の話などに強く感じるのですが、これって本当に都市伝説なのでしょうか?

明らかに創作に長けている──もしかしたら創作を生業にしている人の手によるものじゃないかと思えて仕方がないのです。

それくらい物語の構築作法が理に適っていてオチも出来過ぎている気がするんですよね。

口裂け女が流行っていた頃、都市伝説は文字通り人づてにしか広がりようがありませんでした。

ところが今はネットがあります。

「こんな都市伝説を流行らせてやろう」と企んだら、あっと言う間に世界中に情報を伝搬させることだってできちゃうんですよね。

明確な作者がいる都市伝説──そんな異質な噂話がネットの世界を漂っているような気がしてならない今日この頃。

まあそれ自体、じゅうぶん都市伝説めいたお話ではあるのですが。

2020/03/14 Sat.

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