もしもタイムマシンを手に入れたならいつの時代のどこに行きたい?
なんとも魅力的な質問です。
- 観る事が出来なかった歴史的名試合
- 名優が演じる伝説の舞台
- 今はつぶれてしまった名店
- あるいは歴史上の大事件の目撃者になってみたい?
行きたい時代も場所もあまたあるので迷いますが根が食いしん坊なのでどれかひとつと言われれば明治時代の洋食屋さんなんて行ってみたいかもと思っちゃいます。
時は明治5年。
場所は東京京橋区采女町。
ここに東京初の西洋料理店「築地精養軒」が開業したのです。
この店は日本におけるフランス料理店の草分けでもあります。
「海軍士官たる者、洋食マナーを重視すべし。しかるに西洋料理は築地精養軒を利用すべし」
時の海軍大臣、西郷従道がそんなお達しを出したので士官たちも頻繁に通ったとか。
供されたディナーの献立例をネットで見つけましたがこんな感じだったらしい。
- 生ガキ
- 二種のスープ
- ノルマンディ風の鯛
- フォワグラとマッシュルームの冷製
- 羊のコトレット(カツレツ)
- パリ風牛ヒレ肉
- 口直しになるメロンのパンチ
- アスパラガスなどの野菜料理
- 締めくくりはマロンプリンなどのデセール(デザート)
品数も多いし豪華絢爛ですね。
けど、それ以上に興味があるのは洋食に慣れていない日本人を相手にどんな味付けを施したのかということ。
初代シェフを務めたのはカール・ヘスというスイス人のフレンチ料理人。
彼は後輩の育成にも力を入れていたそうで精養軒も三代目からは日本人がシェフを務めています。
もしかしたら最初は「これぞフレンチ!」てな料理を供していたかもしれないけれど日本人の嗜好を熟知する後輩たちにバトンが渡っていくにつれて少しずつ少しずつオリエンタルなエッセンスを持つ和風フレンチとも呼べる皿が生まれていったんじゃないかしらん──
なんて夢想するとなんだかワクワクします。
ホント、タイムマシンがあったらなぁ(って、他に使い道は思いつかんのか)。
築地精養軒は関東大震災で焼失しちゃいましたが支店として上野に開業していた精養軒が本店を引き継ぎ令和の今も営業を続けております。
上野精養軒のメニューの中にはフレンチだけでなくビーフストロガノフなんていうロシア料理も名を連ねているとか。
関東に住んでいる間に行く機会がなかったのはちょっと残念……
なんて思いつつ文明開化間もない頃に産声を上げた洋食屋さんに思いをはせながら思いっきりジャパニーズ・テイストなビーフストロガノフを作ってみました。
【材料】(1人分)
-調理時間:2時間12分-
- 牛こま:100g
- バター:10g
- 椎茸:1本
- 玉ねぎ:1/4個
- にんにく:ひとかけ
- 白ワイン:40g(40ml)
- 白味噌:12g(小匙2)
- 豆乳:200g(カップ1)
- レモン果汁:5g(小匙1)
[牛肉の下味パート]
- 塩、ブラックペーパー:少々
- 薄力粉:3g(小匙1)
- サラダ油:4g(小匙1)
[バターライスパート]
- ご飯:1膳分
- バター:5g
- 生パセリ(みじん切り):2株分
- 塩、ブラックペーパー:少々
【作り方】
- 牛こまは食べやすい大きさに切って[牛肉の下味パート]をまぶします。椎茸は薄くスライスします。玉ねぎ、にんにくはみじん切りにします。
- フライパンに牛こまとバターを入れて中火にかけ赤いところがほぼなくなるまで炒めます。これを一旦皿に取ります。
- 2.のフライパンを洗わずそのまま使います。椎茸、玉ねぎ、にんにくを入れて中火にかけ玉ねぎがしんなりするまで炒めます。これに白ワインを加えてひと煮立ちさせ豆乳、味噌を加えてひと煮立ちさせます。
- 3.に牛肉を戻して弱火で3分煮ます。待っている間に[バターライスパート]を全部合わせてよく混ぜ更によそいます。これにフライパンの中身を添えるように盛り付ければできあがり。
【一口メモ】
- 和の素材を使っているので和風と書きましたがテイストはまぎれもない洋食です。
- ロシア料理のビーフストロガノフは生クリームやサワークリームなどを使うのですが豆乳で代用してみました。茸もマッシュルームの代わりに椎茸とちょっと和風。いずれも旨味成分を多く含む食材ですのでダシが利いていて旨いのだ。
- [バターライスパート]
- の生パセリの手持ちがない場合は写真のようにドライパセリを仕上げに振るのもありです。