童話「カチカチ山」の原型は少なくとも室町時代にはあったようで江戸時代には5大昔話のひとつとして数えられるようになりました(残り4つはサルカニ合戦、桃太郎、花咲爺、舌切雀)。
この話で僕が一番ショッキングに感じるのはおじいさんが捕まえてきた狸で作った狸汁と言われて美味しそうに食べた料理が実は狸が惨殺して調理したおばあさんを使った婆汁だったという件(くだり)です。
近年はおばあさんは大怪我をしただけという改変がされているケースが多いですね。
僕はこの話を知ってから狸が食べられなくなりました(大嘘)。
この話は昔々は日本人も野生動物をいろいろ食べていたんだなぁということが窺い知れる一面も持っています。
それに比して今の僕らが食べる獣肉は牛、豚、鶏といずれも飼育されているものばかり。
野生動物の味を知る機会はあまりありません。
他方、ヨーロッパは狩猟が盛んな地域も多く家畜以外の獣肉が日常的な家庭料理のテーブルに供されることも珍しくありません。
うさぎの肉もそのひとつ。
フランス中部のブルゴーニュ地方では特産品のマスタードを使った兎料理が名物です。
ネットでそのレシピを見かけて作ってみたくなったのですがうさぎの肉は簡単には手に入らない。
そこで鶏肉を使ってこんな料理を試してみました。
【材料】(2人分)
-調理時間:10分-
- 鶏ささみ:4本
- オリーブオイル:12g(大匙1)
- 玉ねぎ:1/2個
- エリンギ:1本(なければ椎茸1本)
- にんにく:ひとかけ
- 白ワイン:50g(カップ1/4)
- チキンブイヨン(インスタントでも可):200g(カップ1)
- 牛乳:50g(カップ1/4)
- ディジョンマスタード:大匙1(なければレモン果汁15g(大匙1))
- クリームチーズ:40g(なければとろけるスライスチーズ1枚)
- 塩、ブラックペッパー:適宜
【作り方】
- フライパンに筋を取ったささみとオリーブオイルを入れてオリーブオイルをよくまぶします。そのまま弱火にかけて10分焼きます。ささみをひっくり返して更に5分焼きささみを一旦皿に取ります。 ※フライパンが冷たい状態から弱火で時間をかけて焼くことで肉の表面はカリッと中はしっとり火が通ります(コールドスタートと言います)。
- 1.をやっている間にエリンギは5mm厚にスライスします。玉ねぎは薄くスライスします。にんにくはみじん切りにします。
- ささみが焼き上がったらフライパンは洗わずにんにくを入れて弱火にかけます。これに玉ねぎ、エリンギを加えてさっと炒め白ワインを加えて中火で1分炒めます。
- 鍋にささみ、チキンブイヨン、牛乳と3.を合わせひと煮立ちさせます。蓋をして弱火にし、10分煮込みます。並行して煮汁をお玉一杯、クリームチーズを入れたボウルに取り煮汁の熱でチーズを溶かしておきます。
- 4.の鍋に溶かしたチーズ、ディジョンマスタードを加えます。味を見て物足りなければ塩、ブラックペッパーで整えます。そのまま蓋をせず中火にかけて煮汁にとろみが付くまで煮詰めればできあがり。
【一口メモ】
- マスタードと聞くと僕らはホットドッグに付けるような辛い辛子のような味をイメージしますがディジョンマスタードはいうほど辛くなく酸味が特徴です。しかし、このソースは絶品ですね。
- お肉はささみが手持ちにあったので使ってみましたがどうしても身がストリングチーズのように裂けてナイフが上手く使えませんでした(結局、かぶりついた)。この料理の鶏肉の部位はもも肉がオススメかな。
- 本来この料理ではクリームチーズではなく生クリームを使います。手持ちがなくそのためだけに買うのももったいなかったので今回はとろけるスライスチーズを使いました。これはこれで美味しいじゃん。
- マスタードは獣肉の臭み消しの効果があり野生動物の肉(ジビエ)で本領を発揮します。うさぎや鹿肉などを手に入れる機会があればぜひお試しあれ。
- 近頃は手頃なお値段でジビエ料理を楽しめるお店も増えました。機会があればぜひ訪ねてみましょう。プロの作る本物の味を舌で覚えておけば自分で作る時の指針になります。