『三つ数えろ』はハンフリー・ボガートが主演したハードボイルドタッチのサスペンス映画です。

タイトルに偽りなく、映画のクライマックスではボギーが悪漢に銃を向けながら「三つ数える間に外へ出ろ」と言ってカウントを始めるシーンがあります。
この作品に限らず映画やドラマでは緊迫感の演出にカウントダウンがよく使われます。
犯人が仕掛けた爆弾が遠隔操作で爆発する仕掛けではなく時限式になっているのも緊迫感の演出のため──
なんて言ったら映画がつまんなくなっちゃいますかね(笑)

まあ、拳銃を突きつけられたり、爆弾についた時計がカチカチ言っているのにリアルで遭遇したら嫌すぎますが、実はこの数を数えるというのは実生活ではかなり役に立つ手法でもあるのです。
例えばゴールデンウィーク明け、久しぶりに出社してメールをチェックしたらやらなきゃいけないことが大量に降って来てパニックになった──なんて経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
そういう時は一旦落ち着いて「やらなきゃいけないこと」を書き出してみましょう。
そしてそれに番号を付けながら数を数えてみましょう。

僕の経験では、山ほどあると思っていた「やらなきゃいけないこと」の数が10を超えることはまずありません。
せいぜい数個かそこらで拍子抜けしたことが何度もあります。
そう──「やらなきゃいけないこと」が"いっぱい"あると思うから手に負えない魔物のように思えちゃうのです。

それが、やっつけるべき魔物の数が具体的に見えた途端に気持ちが落ち着いて冷静に対処できるから不思議。
ぜひおすすめしたい手法です。
あるいは僕は朝食のあと、アップルジュースを一杯飲む習慣があります。

買い置きの紙パックの封を切った時によく「ストックが切れたし買ってこないといけないな」と考えます。
──で、いつまでに買っておかないといけないんだっけ? って不安になったりするんですよね。
こういう時も数を数える手法は有効です。
紙パックの容量は900ml。
ジュースを注いで飲むグラスの容量は約150ml。

つまり今、封を切った紙パックは6日で飲み切る計算になります。
それは机上の空論ではなく、実際に6日目で紙パックは空になります。
あとはジュースを買うスーパーに6日以内に行く予定があれば買い物リストにジュースを書き加えておけばOK。
もし、行く予定がなければどこかでスーパーに行く予定を組むか、ジュースなしの朝食を覚悟するかに必ずなります。
封を切ったばかりの紙パックは重たくて、当分なくなりそうにないなんて錯覚を抱きがちですが、こうやって数を数えることで具体的な未来が見えてくることもあるのです。

数を数える手法は料理をする時にも有用です。
料理にかかる前にまずレシピをよく読んで「この料理を完成させるためにやること」がいくつあるかを数えてみましょう。
そうすると調理手順の全体が俯瞰できて、次に何をすべきか迷って手間取らなくなりますから。
例えば今日の料理を完成させるためにやるべきことは4つあります。
- その1:鶏肉を切って小麦粉と調味料をまぶす。(下ごしらえ)
- その2:鶏肉を焼く(表面に火を入れる)
- その3:鶏肉を煮こむ(肉の内部に火を入れて、味を付ける)
- その4:チーズ、マスタードを加えて料理全体の味を完成させる(仕上げる)
といったところ。

数を数える時のコツは手順を簡略化して何をする工程なのかを明確にするのがおすすめです。
料理を段取り良く進めるにはレシピを暗記してからかかるのが鉄則です。
けれどレシピを一言一句丸暗記する必要はありません。
要は材料や調味料の「分量」と「何をいつするか」さえ覚えればOK。

この時、やることの数が具体的になっていれば手順に抜けや漏れが発生しません。
なので、レシピを暗記する際にはぜひ「(工程の)数を数える」ことをおすすめします。
「三つ数えろ」ネタは多くの映画に登場しますが、コメディ映画の場合は一味違います。
映画「サボテンブラザーズ」で主人公に銃を突きつけた悪漢が「三つ数える」と言ってカウントダウンしようとしたシーン。
「いや、100からにして」
と主人公がセコイ時間稼ぎを図るのですが、頷いた悪漢は「101、102、103」と数えて一瞬で一瞬で終わっちゃったのには爆笑しました。

まあ、現実のレシピでは工程を数えたら100もあった……なんてことは絶対あり得ません。
家庭料理ならせいぜい数工程ですから暗記も楽勝ですよ。
【材料】(1人分)
-調理時間:13分-
- 鶏もも肉(皮付き):150g(約半枚)
- 強力粉:適宜
- 塩、ブラックペッパー:少々
- オリーブオイル:12g(大さじ1)
- (あれば)ドライパセリ:少々
- (あれば)パプリカ:少々
[煮汁パート]
- 豆乳:100g(カップ1/2)
- 牛乳:20g(20ml)
- コンソメスープの素(顆粒):2g
[仕上げパート]
- クリームチーズ:30g(大さじ1.5)
- 粒マスタード:5g(小さじ1)
【作り方】
- 鶏肉は皮付きのまま食べやすい大きさに切って強力粉、塩、ブラックペッパーを薄くまぶします。
- フライパンにオリーブオイルを入れて中火にかけます。フライパンが温まったら鶏肉を皮を下にして並べます。そのまま1分半焼きます。ひっくり返してさらに1分焼きます。
- 2.に[煮汁パート]を加えてひと煮立ちさせます。蓋をして弱火で5分煮こみます。 ※吹きこぼれを防ぐため蓋は少しずらして、蒸気の逃げ道を作るように載せてください。
- 3.の蓋を取り再び中火にします。[仕上げパート]を加えてざっくり混ぜればできあがり。お皿に盛り付けて手持ちがあればドライパセリ、パプリカを振りかけていただきます。
【一口メモ】
- おせちに使ったクリームチーズが1月の後半になってもまだびみょーに残っていたので、夕飯にこの料理をチョイス。さすがに使い切りました。
- この料理の調理の流れは「肉の下ごしらえ」→「肉を焼く」→「肉を煮こむ」→「味を仕上げる」の4手順です。それを頭に入れておいて今、自分が何をやっているのか次に何をやるのかを考えながら進めると手が止まらず段取り良く調理できます。
- スープベースは牛乳の代わりに豆乳を使っているので旨味がグンと増します。
- お肉をソテーする際にまぶす粉は強力粉を使うのがおすすめ。焼いた時にパリっと仕上がります。

