ここ数年、深夜アニメの美術は目を見張るような進化を遂げていると感じます。
交通事故に遭った少年が異世界に転生して天下無双のスキルで魔物を倒し美少女たちにモテまくる──
なんて相変わらずトンチキなラノベストーリーであっても(笑)描かれる街並み、家の中の道具類など細部に至るまできちんと精緻に描かれていることが多いのです。
学園もののラブコメでも同じこと。
教室の風景、黒板の汚れ、ロッカーの傷、主人公がヒロインと見上げる空の雲に至るまで計り知れない情熱をもって描かれているのです。
これは技術革新もさることながら芝居というものが役者だけで成り立っていないということが再認識され背景や大道具、小道具の重要性が見直されてきたのかなと感じます。
美術の重要性はアニメに限ったことではなく劇場で観るお芝居にも同じことが言えます。
生の芝居は独特の迫力と臨場感があってあのワクワク感はテレビの中継では決して味わえないものです。
けどそのワクワク感は舞台に立つ役者たちの演技からだけもたらされるものではないのです。
絢爛豪華な衣装。
リアルな大道具に小粋な小道具。
それ以前の話として劇場自体が持つ独特の華やかさ。
観客たちは幕が上がるずっと前、切符をもぎってもらった瞬間から劇場という魔法の匣(はこ)の中でお芝居の世界に入り込んでいるのです。
料理の世界でも似たようなことが言えます。
調理法や味付けを演出に、使う食材を役者とその演技に例えるとするならば料理をよそう器や盛り付け方は劇場や大道具、小道具などの美術にあたるといえます。
いくら美味しい料理でも盛り付ける器がみすぼらしかったり盛り付け方が雑だったりすると食欲が湧きません。
逆に言えば盛り付けや器にちょっと工夫をすればチープな料理だって美味しそうに見せることができるのですよ。
その点、この料理を盛り付けているスキレットはすぐれもの。
料理が仕上がったらそのままテーブルに運んでお皿として使えます。
ちょっと武骨な鋳物のフライパンの中ではその器の熱で料理がぐつぐつと煮立っていて見るからに美味しそうに感じられるのです。
【材料】(1人分)
-調理時間:20分-
- ミニトマト:数粒
- 鶏もも肉:100g
- 玉ねぎ:1/4個
- ピザ用チーズ:30gまたはスライスチーズ1枚
[調味料パート]
- オリーブオイル:12g(大匙1)
- トマトケチャップ:7.5g(大匙1/2)
- 塩:ひとつまみ
- ブラックペッパー:少々
【作り方】
- ミニトマトはヘタを取って3mm厚にスライスします(1粒あたり4~5枚くらいになります)。鶏肉は一口大に切ります。玉ねぎはスライスします。
- フライパンにトマトを重ならないように敷き詰めその上に玉ねぎ、鶏肉の順に載せます。その上から[仕上げパート]を混ぜずに個々に加えていきます。最後にチーズを散らしたら蓋をします。 ※[仕上げパート]は混ぜ込まずにバラバラに加えることで鍋の中でムラができます。このムラが味の強弱になり食べる人を飽きさせません。
- 2.を弱火にかけて15分煮ればできあがり。
【一口メモ】
- 甘酸っぱいトマトと鶏肉、チーズのコラボは最高。わりと身近な材料だけでちょっとしたごちそう料理に仕上がります。お皿に移して盛り付けても良いですがフライパンをそのままテーブルに運んで直に食べるとワイルドっぽくてちょっと食事が楽しくなりますよ。
- 味の要は[調味料パート]の塩の加減です。心持ち少なめに加えて味見をしながら物足りなければ少しずつ追い足してください。
- 仕込んでしまえばあとはコンロにお任せの手間いらずな料理です。できれば夕飯の支度の最初にかかって火にかけてから残りの支度を始めるようにすると段取り良く夕飯を作ることができますよ。