2005年に公開された「ALWAYS三丁目の夕日」は昭和33年、東京タワーが建設中の頃の東京下町を舞台にした物語でした。
ノスタルジックな空気感と人と人との交流の温かさが相まって作品は大ヒット。
その後、パート3まで続編が作られることになりました。
作中、主要登場人物の一人であるヒロミさんがやっている居酒屋のシーンがあるのですが昭和の居酒屋感が出ていて美術さん頑張ったなぁと本編そっちのけで感動しました(そういうとこばかり目がいくやつw)。
カウンター席ばかりの小さな店舗。
客たちが飲んでいるのはビールか熱燗。
品書きに並んでいるのは焼鳥と作り置きの小料理が数品といったところでしょうか。
本作が封切られたのはチェーン店の居酒屋が登場して久しい時代でした。
三丁目の夕日に出てくるようなヒロミさんの店を知らない世代が知る居酒屋のイメージとはずいぶんかけ離れたシーン──極論を言えば時代劇で町人たちが酒を酌み交わしているシーンと変わらなかったのではないでしょうか。
だっておそらく彼らの思い描く居酒屋と言えば……
明るい照明に広々とした店内。
元気な声を立てながら店内を忙し気に歩き回る若い店員たち。
そして──飲んでいるのはサワー、酎ハイ、ハイボールと言った小洒落た酒。
何ページにもわたるメニュー表にみっしりと並ぶ写真付きの料理また料理。
ここに来ればなんでも食べられる──そんなイメージを持つ人が多かったんじゃないかな。
僕が社会人になった頃はまだヒロミさんの店のようなこじんまりとしたお店もたくさんあって僕はそういったお店もチェーン店のお店も知っている世代です。
けど……
「どっちのお店の方が良い?」
と訊かれたら困ってしまうんですよね。
一人で行くならヒロミさんの店の方が居心地が良いのは間違いありません。
けどチェーン店のお店の豊富な料理も魅力的だと感じるのです。
その辺は昭和の頑固おやじ的な意地を通す人じゃないので新メニューを次々繰り出すあの企業努力には素直に感動するのです。
コロナ禍以降、そもそもその居酒屋自体から足が遠のいてしまってここ数年はすっかりおうち居酒屋を楽しむことが多くなりました。
おうち居酒屋の良いところはその日の気分でヒロミさんの店的な料理でもチェーン店の居酒屋的な料理でも用意できるところ。
なんか時代劇に出てきそうな小鉢料理で熱燗を戴いている日があるかと思えばスペインバル風なタパスにビールで「Salud」なんてやっている夜もあります。
とどのつまり──
自分で作る料理で好きな酒を楽しめるわが家を居酒屋にするのが一番良きなのかもなんて思う時もあります。
これもそんなおうち居酒屋料理の一品。
ちょっとチェーン店の居酒屋風ですかね。
とはいえ、たまに人恋しくなると出かけていくのはヒロミさんの店的な昔なじみの小さな居酒屋で2時間ばかり懐かしい常連たちと馬鹿噺などして帰ってくることもあるのですが。
【材料】(1人分)
-調理時間:8分-
- 鶏むね肉:半枚(約150g)
- 片栗粉:4.5g(大匙1/2)
- ごま油:6g(大匙1/2)
[下味パート]
- 酒:15g(大匙1)
- 塩、ブラックペッパー:少々
[ねぎ塩タレパート]
- 青ネギ:2本
- ごま油:8g(小匙2)
- レモン果汁:10g(小匙2)
- 塩:1g(小匙1/6)
- 粗挽きブラックペッパー:少々
【作り方】
- 鶏肉は一口大より心持ち大き目に切って[下味パート]をまぶします。更に片栗粉をまぶします。[ねぎ塩タレパート]の青ネギは小口切りにします。これと[ねぎ塩タレパート]の残りを合わせてよく混ぜておきます。
- フライパンにごま油を入れて中火にかけます。これに鶏肉を重ならないように並べて蓋をします。そのまま4分蒸し焼きにします(途中で一度お肉をひっくり返しましょう)。
- 2.を深皿に盛って[ねぎ塩タレパート]をたっぷりかければできあがり。
【一口メモ】
- 味付けはシンプルに塩のみ。飽きが来なくて箸が進みます。ごま油の風味も良い感じ。
- 手早くできちゃうので晩酌の途中でつまみがなくなって口寂しくなった時などにもおススメの1品です。鶏むね肉がなくてもささみや、もも肉でも美味しくできます。何なら牛や豚肉、海老などでも楽しめますよ。
- この料理の風味の功労者は[ねぎ塩タレパート]のレモン果汁。この塩レモン風味が食欲をそそるのです。
- お好みで[ねぎ塩タレパート]におろしにんにくを加えるのもありですよ。