ご飯を炒めるいわゆる炒飯的な料理は明治になって中国から入ってくるまで日本には存在しなかったようです。
実は江戸時代の文献にも「焼き飯」という言葉が出てきたりするのですがよくよく読むと「焼きおにぎり」のことだとわかって脱力したりします。
明治以前に炒飯が考案されなかったのは考えてみると不思議な気がするんですよね。
きんぴらごぼうのように素材を炒める料理というのは存在していました。
料理に油を使う文化がなかったかというと天ぷらみたいに大量の油を必要とする料理がちゃんと存在していました。
米を炊いたご飯に至っては「それがないと始まらない」と言って良いほどの和食の代表選手です。
けれどご飯を油で炒めてみようとした人はいなかったみたい。
かやくご飯に代表される具材を混ぜ込んだかて飯の文化はありましたから「ご飯は白いまま食すべし」という不文律があったわけでもなさそうです。
思うにご飯と油は相性が悪いという思い込みがあって誰も試さなかったというだけじゃないかな。
世の中にはそういった思い込みは往々にしてあるような気がします。
で、誰かチャレンジャーな人がものは試しと作ってみたら「なんじゃこりゃ」というくらいすげぇ旨いことがわかって一気に普及するみたいなムーブメントが起きたのかもしれませんね。
開国がなかったら今でも日本に炒飯はなかったんだろうか?──ちょっと興味があります。
同じように見た目は気持ち悪いけど実はすげぇ旨い料理というのは他にもあります。
たとえば南蛮漬けやエスカベッシュ。
揚げ物をタレに漬け込む料理です。
サクサクに揚がったフライをわざわざタレ漬けしてベシャッとさせるって愚行以外の何物でもない気がします。
けど、酸味の利いた甘辛いタレを衣が吸って揚げ物の油っこい重たさを軽くしてくれるので食欲の落ちた夏場などは何よりのごちそうになります。
同系統の料理だとチキン南蛮なんかもそうですよね。
あるいは件の炒飯に餡をかけたあんかけ炒飯も初めて見た人はちょっと引いてしまうかも。
「パラパラが身上の炒飯になんでわざわざドロッとした餡をかけちゃうわけ?」
と文句を言う人がいてもおかしくありません。
けど一口食べたらあら不思議。
パラパラを通り越してちょっとパサパサくらいのご飯にとろみのある餡はウソみたいに合うのです。
これもきっとチャレンジャーな人がいて「なんじゃこりゃ」と歓声を上げた時に爆誕した料理なんじゃないかしらんと想像。
あんかけ炒飯の歴史は意外に浅いようですが今では本場中国でも福建炒飯という呼び名でポピュラーになっているとか。
僕も一度食べたらハマってしまって定期的に作ってしまいます。
餡の具材は何でもありだと思うのですが僕的には海老などの海鮮が良いなぁと思っています。
【材料】(1人分)
-調理時間:8分-
- ご飯:1膳分
- むき海老:数尾
- 野菜類:きくらげ、人参、ネギ、さやえんどうなど
- サラダ油:12g(大匙1)
- ごま油:8g(小匙2)
[卵パート]
- 卵:1個
- マヨネーズ:6g(大匙1/2)
[炒飯の調味料パート]
- 濃口?油:6g(小匙1)
- ホワイトペッパー:少々
[あんパート]
- 水:120g(120ml)
- 濃口醤油:6g(小匙1)
- 鶏がらスープの素:小匙1
- 水溶き片栗粉:9g(大匙1)分
【作り方】
- 、[あんパート]をそれぞれ別のボウルに合わせてよく混ぜておきます。
- 中華鍋かフライパンにサラダ油を入れて強火にかけ煙が立つまで温めます。これに[卵パート]を加えてさっとかき混ぜます半熟状態になったらご飯を加えて手早く混ぜ込みご飯を切るように炒めてパラパラにします。 ※家庭用のコンロは火力が弱いので鍋を煽らず火にかけたまま炒めましょう。鍋を煽ると一気に鍋の温度が下がってべしゃっとした仕上がりになります。
- 2.に[炒飯の調味料パート]を加えて手早く混ぜ込みこれを皿に盛ります。
- 3.の鍋を洗わずにそのままごま油を加えて強火にかけます。これにむき海老と野菜類を加えて1分ほど炒めます。これに[あんパート]を流しいれ具材を煮込みながらとろみを付ければ餡のできあがり。 ※水溶き片栗粉は底の方に固まってしまっていると思うので[あんパート]は再度よくかき混ぜてから流し込みましょう。
- 4.の餡を3.の炒飯にたっぷりかければできあがり。
【一口メモ】
- 海老のプリプリした食感が実に良き。「パラパラの炒飯になんでドロッとした餡をかけるの?」なんて思っている人はぜひお試しあれ。意外にパラパラ炒飯とトロトロ餡は好相性なのです。
- 餡にも味を付けているので炒飯自体の味付けは薄めにしてあります。物足りないようでしたら[炒飯の調味料パート]の量を心持ち増やしてください。
- 餡の具材はなんでもありですが僕的には海老やイカ、アサリのむき身など海鮮系がおススメです。贅沢に蟹身など使ったらめっちゃ美味しいだろうな。