見渡せば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕暮れ
これは百人一首に出て来る藤原定家の歌です。
実はこの歌は同じく百人一首の西行の歌をリスペクトして詠まれたものだと言われています。
西行の歌はこちら。
嘆けとて月やはものを思はするかこち顔なるわが涙かな
誰かが作った作品に敬意を表しつつ新しい作品を作っていくスタイルを本歌取りと呼びます。
あくまでもパロディ(揶揄)ではなくオマージュ(賛辞)であるところがポイント。
更に元ネタにはない新境地を拓く心意気が本歌取りの骨頂と言えます。
改めて二つの和歌を詠み比べると西行の歌が個人の嘆きを詠んだものであるのに対して定家の歌は茫々たる景色に普遍的な無常観が詠まれていてスケールが一段でかくなっていますね。
本歌取りは和歌の世界で生まれた用語ですが似た手法は他の芸術作品でもちらほら見かけます。
映画ならすぐに思い浮かぶのは「荒野の七人」かな。
黒澤明の「七人の侍」を下敷きにしながら実に魅力的なウエスタンに昇華させてました。
音楽ならOASYSの「Don'tLookBackinAnger」。
イントロがビートルズのImagineにそっくりなのですが不思議とパロディ感はなく。
ビートルズ愛に溢れた楽曲だと思います。
絵画の世界ではゴッホが葛飾北斎の構図を取り入れた作品を多数描いていることは有名です。
それは単なる模倣ではなくなんとかして北斎のあの画風を油絵に落とし込んで東洋と西洋の融合を図ろうとする強い野心が見え隠れしています。
料理の世界ですぐに思い付くのは和風カルボナーラ。
イタリア生まれのカルボナーラのソースをうどんや蕎麦の世界に持ち込む斬新さは凄い熱量だと思います。
もはやパスタ料理とはかけ離れた皿になっちゃってるけどwならば、更に発想を進めて麺すら使っていない料理に進化させるのはどうだろう──そんな発想からこんな料理を作ってみました。
しかし、これはもはや本歌が影も形もない気がしないでもないなw
【材料】(1人分)
-調理時間:16分-
- 豚バラスライス:100g
- 山芋:5cm
- 鷹の爪:半本
- にんにく:ひとかけ
- オリーブオイル:6g(大匙1/2)
- 塩:1g(小匙1/6)
- ブラックペッパー:少々
[豚肉の下味パート]
- レモン果汁:5g(小匙1)
- 鶏がらスープの素:小匙1/2
- ブラックペッパー:少々
【作り方】
- 豚肉は7mm幅の小口切りにして[豚肉の下味パート]と合わせて10分漬け込みます。
- 1.と並行して山芋の断面に大き目のフォークを刺してコンロの直火でまんべんなく皮を炙ります。山芋が冷めたら皮ごと7mm角の拍子木に切ります。にんにくはみじん切りにします。鷹の爪は小口切りにします。 ※山芋をコンロで炙った直後は熱々になっているので火傷に注意しましょう。
- フライパンにオリーブオイル、にんにく、鷹の爪を合わせて弱火にかけます。香りが立ってきたら豚肉を加えて中火にし、色が変わるまで炒めます。
- 3.に山芋と塩、ブラックペッパーを加えて1分炒めればできあがり。
【一口メモ】
- にんにくの風味に鷹の爪のピリ辛はまさにペペロンチーノ風。けど、麺は影も形もなくカテゴリーで言えばおかずやお惣菜と呼ぶべき皿に仕上がりました。けど、美味しかったからこれはこれでありだと思う。めっちゃビールが飲みたくなりますよ。
- 豚肉は生姜焼き用のロース肉を使っても美味しくできます。
- ペペロンチーノはとてもシンプルな味付けのパスタソースなのでどんな食材と合わせても不思議としっくりきます。夕飯の献立に困った時にはおススメのアイデア。冷蔵庫のあり合わせを使ってチャレンジしてみてください。