数年ほど前、淡路町というところで仕事をしたことがあります。
地名を聞いてもピンとこない方が多いのではないかと思うのですが、千代田区神田にある場所です。
秋葉原のすぐ近くというと分かり易いかな。
そこに松榮亭(しょうえいてい)という洋食屋さんがあったのですが、明治から続く老舗で、店の初代店主は帝大のドイツ人教師、フォン・ケーベルの専属料理人をしていた方だそうです。
ある時、ケーベル先生の教え子が先生のお宅を訪ねてきて、何か変わったものを食べさせて欲しいとねだったところ、彼があり合わせで作ったのがこの洋風かき揚げなのです。
ちなみにその生徒の名は夏目金之助。
筆名を夏目漱石というかの文豪です。
漱石は出されたその料理を大絶賛、後に開業された松榮亭の看板メニューになりました。
このメニューは今も残っていて、お店で戴けますのでアキバに出かけた際にはぜひお立ち寄りください……
って、店の回し者かい^^;
【材料】(1人分)
-調理時間:20分-
- 卵:1個
- 薄力粉:50g
- 水:10g
- 豚こま:50g
- 玉ねぎ:1/4個
- 塩:2g
- 揚げ油:適宜
【作り方】
- 豚肉は小さめのぶつ切りに、玉ねぎはみじん切りにします。卵は卵黄と卵白に分離して卵白を30秒ほどメレンゲ上に泡立てます。
- 全ての材料をボウルに合わせてゴムベラで練るように混ぜます(結構、硬い生地です)。揚げ油を160度くらいの低温に温めておきます。
- バットをひっくり返してその底に2.を載せ楕円形に成形します。こんな感じ
- ゴムベラでごれを押すようにして揚げ油にそっと落とし込みます。7分ほどそのまま放置しひっくり返して更に7分かけて揚げればできあがり。
【一口メモ】
- 味はほとんど付いていないのでソースかケチャップ必須です。外はカリッと上がっていますが中はふんわりしていてオムレツを揚げ物にしたような料理です。
- 夏目漱石が恩師宅で戴いて絶賛した料理なのですが、当時はそうとうハイカラな印象があったのでしょうね。21世紀の目線で見るとまかない料理に見えなくもないのですが^^;
- ポイントは低温で時間をかけて揚げること。玉ねぎは焦げやすいので要注意です。