店の入口が中世ヨーロッパ風のファンタジー世界とつながっている「異世界居酒屋のぶ」。
酒飲みの性で居酒屋噺が大好きなのとほんわかしたストーリーが気に入ってアニメもドラマも観ちゃいました。
同作は短編連作の形態を取っているので1話完結のお話がほとんど。
アニメとドラマでは同じエピソードを採用されているものが多かったのですが演出や脚本の切り口が微妙に違っていて興味深かったです。
その中でアニメにはなくてドラマでだけ採用された1話──店の大将の師匠が訪ねてくる話があります。
大将は店を始める前は料亭で働いていたのですがその店の板長が開店前に店の裏口から入って来るというエピソードです。
あ、店の入口は異世界につながっているのですが裏口は京都の路地裏に面しているという設定なのです。
「今、お前が俺に一番食べさせたい料理を出してくれ」 と言われて大将が出した料理は「真子鰈の煮付け」。
それを食べた板長は味に迷いがあることを見抜きます。
けれどそれは良い迷いだと言うのです。 料亭で身につけた技術と居酒屋の客の好み、そのギャップに悩みながらどこまでどちらに沿わせるか、味の柱をどこに置くべきか、その逡巡が迷いを起こさせ試行錯誤しているところだと指摘するのです。
板長はお通しに使ったタコで大将にスペイン料理のアヒージョを作らせます。
「ここは料亭やなくて居酒屋やろ。品の良い味だけが正解やないで」 そんな言葉に大将は一歩踏み出せるようになり店には洋風のメニューも並ぶようになったというエピソードでした。
で、アヒージョを作るシーンは完全にお料理番組と化していて手順も詳細に紹介されていたのでさっそく作ってみたという次第です。
【材料】(2人分)
-調理時間:15分-
- タコ:200g
- じゃがいも:1個
- イカの塩辛:10g
- にんにく:ひとかけ
- 鷹の爪:半本
- オリーブオイル(炒め用):12g(大匙1)
- オリーブオイル(煮込み用):20g(大匙1.5)
- 塩、ブラックペッパー:少々
【作り方】
- じゃがいもは皮を剥いて1cm角のさいの目切りにし、電子レンジの500ワットで2分チンします。
- 1.をやっている間にタコは大きめのぶつ切りにします(火を入れると身縮みするので大きめに)。にんにくはみじん切りまたはスライスします。鷹の爪は小口切りにします。種も使っちゃいましょう。
- フライパンにオリーブオイル(炒め用)とイカの塩辛を入れて中火にかけて1分ほど炒めます。これににんにく、鷹の爪を加えて弱火にし、香りが立つまで炒めます。
- 3.にタコとじゃがいもを加えて中火にし、じゃがいもに軽く焼き色が付くまで炒めます。
- 4.にオリーブオイル(煮込み用)をふりかけて蓋をし、弱火で3分煮込みます。味を見て物足りなければ塩、ブラックペッパーで味を整えてできあがり。
【一口メモ】
- オリーブオイルをたっぷり使うのでなんだかもったいないと思う向きもあるようですが騙されたと思ってお試しあれ。炒め用だけじゃなくてオリーブオイルは食べても美味しいのです。
- アヒージョは通常アンチョビ(カタクチイワシの塩漬け)を使うのですが代用品としてイカの塩辛を使うというのは目からウロコでした。確かに風味は似ているしこれはありです。クセのある生臭さが火を通すことで更に個性的な風味になってヤミツキな一皿を生み出しています。
- タコやじゃがいもが定番食材なアヒージョですが豚肉や鶏のレバーなんかで作ってもイケますよ。
- 元々、スペインの酒場料理「タパス」の一種ですのでお酒との相性もバッチリ。ビールもいいですがせっかくですのでスペインワインのコルクを抜いてはいかがでしょうか?